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[あっ、見て〜綺麗だよ〜]
白い息が出る冬の特に特別でもない普通の日。君は楽しそうに街を歩いて行く。今日は珍しく雪が降っていた。まるで雪が作った白の絨毯のような足元。君が違う世界に行ってしまいそうで、少し不安になった。
[お〜い、早くおいで〜]
[…、あ、うん、今行く〜]
遠ざかる君を慌てて追いかけた。
[きれい…]
君が見ていたのはクリスマスツリーだった。 もう、クリスマスか、と内心驚く。そりゃ寒いわけだ。今日は、今年で一番寒いらしい。そして、夜遅いから余計に寒くて、手が凍ってしまいそうだった。
[寒いか?]
君はポケットに手を突っ込んでいた。…少し震えている気もする。呼び出した本人が薄着で着てどうするんだよ(笑)
[平気だよ。]
なんて無茶して嘘を付く。君はいつだってそうだ。人に頼ることを知らない。一人で全てを抱え込む。まるでこの世に頼れるのは自分しかいないと言うように。……でも、今は俺がいる。今まで一人ですべてを抱えることしかできなかった君を俺は救える。…なんて君は気づかないと思うけどな。
[平気じゃないだろ?ほら手、貸せ。]
[え…?、あっ]
もう君が一人でいないように、俺が手を握っていてやるよ。きっと、凍えるほど冷たく振る雪のように未来は多くの苦しいことや辛いことが待っている。けど、その痛みが君の世界を埋める前に、俺がまた手を引いて、ずっと傍で温めてやるよ。強く手を握って離れないように…もう一人にならないように俺が傍にいてるから、離れないでずっと一緒にいよう。