テラーノベル
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44
莉愛
さゆとむ
3
記念すべき第2話!
スタート‼️
第2話
翌朝。
「――起きろー!」
「ん……?」
少女が目を開ける。
「朝……?」
「そうだ!」
目の前には大樹。
「朝飯だぞ!」
「……え?」
少女は慌てて起き上がった。
「もうそんな時間!?」
「うむ! 千空たちはとっくに作業を始めている!」
「えぇ!?」
少女は急いで外へ出る。
すると――
「遅ぇぞ」
「千空!?」
千空はすでに作業を始めていた。
「お前、昨日この世界に来たばっかだろ。無理して早起きする必要ねぇぞ」
「え?」
「体調崩されたら面倒だからな」
「……」
少女は少し驚く。
(千空って……意外と優しい?)
「何ニヤついてんだ」
「なんでもない!」
「ふーん」
千空はそれ以上追及しなかった。
「ほら、朝飯食ったら仕事だ」
「何するの?」
「まずは――」
千空が少女に木材を渡す。
「これを運べ」
「……」
「…………」
「えっ、これ全部!?」
「100億%冗談だ」
「もう!」
千空が笑う。
「今日は村の手伝いだ」
「了解!」
少女は元気よく返事をした。
◆
「○○、こっちを頼めるか?」
「もちろん!」
「じゃあ俺は向こうをやる!」
「私も!」
大樹と一緒に作業を始める。
少女は村の人たちに挨拶をしながら歩き回った。
「おはよう!」
「おはようございます!」
「今日もよろしくね!」
いつの間にか。
村の人たちも少女に笑顔を返すようになっていた。
「元気な子ねぇ」
「そうだな」
「千空が連れてきた子だろ?」
「可愛い子じゃないか」
少女は照れながら笑う。
「えへへ……」
そこへ。
「おーい!」
クロムが走ってくる。
「○○!」
「クロム!」
「ちょっと来い!」
「何?」
「見せたいもんがある!」
「待って、今作業中――」
「大丈夫だ!」
大樹が笑う。
「俺がやっておくぞ!」
「え、でも……」
「行ってこい!」
「ありがとう!」
少女はクロムについていく。
「じゃーん!」
クロムが取り出したのは、小さな鉱石。
「これ、昨日見つけたんだ!」
「わぁ……!」
「綺麗だろ?」
「うん!」
少女は目を輝かせる。
「これ、何に使うの?」
「まだ分かんねぇ!」
「え?」
「だから調べるんだ!」
クロムは楽しそうだった。
少女も笑う。
「じゃあ、一緒に調べようよ!」
「おう!」
二人が盛り上がっていると――
「おい、クロム」
「げっ」
千空が現れた。
「仕事サボってんじゃねぇぞ」
「サボってねぇ! 研究だ!」
「ならいい」
千空は鉱石を見る。
「……ほう」
「何か分かる?」
「これは――」
千空が説明を始める。
少女は真剣に聞いていた。
「なるほど……!」
「お前、飲み込み早ぇな」
「本当?」
「ああ」
千空は少しだけ笑う。
「使えるじゃねぇか」
「えへへ!」
すると。
「千空!」
コハクの声。
「どうした?」
「村の外れに行ったら、妙な足跡があった」
「足跡?」
少女が反応する。
「動物?」
「分からない」
コハクは腕を組む。
「だが、人間のものにも見えた」
「……」
千空の表情が変わる。
「人間、ねぇ」
クロムも身を乗り出す。
「新しい村人か?」
「可能性はある」
千空は考える。
「だが――」
そのとき。
少女がぽつりと言った。
「……司帝国?」
「!」
千空、クロム、コハク。
三人の視線が少女に集まる。
「○○」
千空の声が低くなる。
「なんでその名前が出てくる?」
「……」
しまった。
少女は唇を噛む。
「知ってるのか?」
「……うん」
「司帝国を?」
「うん」
クロムが驚く。
「お前、やっぱり何か知ってるんだな!」
「……」
少女は俯く。
「ごめん」
「何謝ってんだ」
千空は淡々と言った。
「知ってるなら話せ」
「でも……」
「言いたくねぇなら無理に言わなくていい」
「……え?」
少女が顔を上げる。
「ただし」
千空は少女を見る。
「俺たちに危険が迫ってるなら、それだけは教えろ」
少女は少し考えてから頷いた。
「……分かった」
「よし」
千空は立ち上がる。
「じゃあ、調査だ」
「私も行く!」
「ダメだ」
「え?」
即答だった。
「危険かもしれねぇ」
「でも――」
「だからダメだ」
「……」
少女がしょんぼりする。
すると。
「私も行く」
コハクが言った。
「え?」
「○○一人を残すより、私が同行した方が安全だ」
「コハク……!」
千空は少し考える。
「……分かった」
「やった!」
「ただし、俺の指示には従え」
「はい!」
少女は元気よく返事をした。
森の中。
コハクが先頭。
その後ろを少女。
さらに千空とクロムが続く。
「足跡、どこ?」
「この先だ」
コハクが指差す。
少女が近づこうとすると――
「待て」
千空が腕を伸ばして止める。
「え?」
「ここから先は慎重に行く」
「……分かった」
少女は千空の後ろに下がる。
すると。
「……あった」
地面に残る足跡。
「人間だな」
クロムが言う。
「かなり新しい」
コハクが周囲を見る。
「誰かが近くにいる」
少女は不安になった。
「……怖いか?」
コハクが聞く。
「ちょっとだけ」
「なら私の近くにいろ」
コハクが少女の前に立つ。
「大丈夫だ」
「……うん」
千空も振り返る。
「怖くなったら言え」
「千空も?」
「当たり前だ」
「……ありがとう」
その瞬間。
ガサッ――!
「!」
全員が振り向く。
茂みから飛び出してきたのは――
「わああああ!!」
「動物!?」
クロムが叫ぶ。
少女も驚いて千空の腕を掴む。
「きゃっ!」
「落ち着け」
千空は冷静だった。
「……ただの鹿だ」
「…………」
少女は恐る恐る顔を出す。
本当に鹿だった。
「び、びっくりした……」
「ククク」
「千空、笑わないで!」
「悪ぃ悪ぃ」
しかし。
そのとき。
コハクが森の奥を見た。
「……待て」
「?」
「今、誰かいた」
空気が変わる。
「クロム」
「おう」
「戻るぞ」
「分かった!」
千空も頷く。
「○○、俺の後ろから離れるな」
「うん!」
四人は急いで村へ戻った。
村に帰ると。
「おかえり!」
大樹が手を振る。
少女はほっとした。
「ただいま!」
すると大樹が少女を見る。
「怪我はないか!?」
「大丈夫だよ!」
「本当に!?」
「うん!」
「それならよかった!」
大樹は心底安心したように笑った。
その横からゲンが顔を出す。
「いやぁ~、随分心配されてるねぇ」
「え?」
「みんな○○ちゃんのこと気に入ってるみたいだよ?」
「みんな……?」
少女が周りを見る。
大樹。
クロム。
コハク。
村のみんな。
そして――
千空。
「……」
少女は少し照れくさそうに笑った。
「そっか……」
この世界に来て。
まだ二日目。
それなのに。
もう、自分を待ってくれている人がいる。
少女は胸の奥が温かくなるのを感じた。
「……私」
小さく呟く。
「ここに来てよかったかも」
その言葉を聞いた千空は――
何も言わずに笑った。
そしてゲンは。
「……あらら」
小さく笑う。
「これはますます放っておけない子になりそうだねぇ」
科学王国の仲間たちはまだ知らない。
この少女がこれから――
科学王国にとって、かけがえのない存在になっていくことを。
終わりー
次回もお楽しみに!
コメント
3件
あおいろさん、第2話読了したよ〜!🌸 千空の不器用な優しさがめっちゃ伝わってきて胸きゅんした😭💕「言いたくねぇなら無理に言わなくていい」ってセリフ、千空らしさ全開でグッときた…!そしてクロムとの鉱石研究シーン、二人とも楽しそうでこっちまで笑顔になっちゃったよ✨ 最後の「ここに来てよかった」って少女の言葉、じんわり来た…科学王国の仲間たちに少しずつ受け入れられていく過程が丁寧で、この先がますます楽しみ!次回、司帝国の話が動きそうな予感…ドキドキする!