12月
寒さに耐えながら、キラキラと光る街中を歩く
『春千夜〜』
春千夜「あ??」
『あの白のクリスマスローズ綺麗』
春千夜「また花かよ」
『あの花言葉はね〜』
春千夜「”私を忘れないで” だろ」
『おぉー!すごいじゃん!他にも意味あるけどね!』
春千夜「何回も何回も花みかけては花言葉聞かされてたらいやでも覚えんだよ 」
『じゃあそれだけ長く春千夜と一緒にいるって証拠だね』
春千夜「お前はすぐそうやって… 『あ!あれ可愛い!買ってこうよ!』
春千夜「…はぁ」
『もうすぐクリスマスでしょ?
その飾りにどう!?』
春千夜「クリスマス過ぎたら使えねぇだろ 」
『来年また使おうよ!』
春千夜「無駄遣い。また九井に言われるぞ」
『えー、竜胆と蘭だったらノリノリですぐ買ってくれるのに』
春千夜「なにグズグズしてんだ早くレジ行くぞ」
『ツンデレめ』
『たっだいま〜!』
蘭「おかえり〜♡」
竜胆「何買ってきたんだ?」
『じゃーん!』
蘭「クリスマスの飾り?」
『正解!』
竜胆「へぇ、三途と一緒だったのによく買えたな」
『まぁね!!私にかかればこれくらい!』
『そういえば他のみんなは?』
竜胆「…あー、、」
蘭「仕事だよ♡」
春千夜「…」
『あれ?今日仕事なかったんじゃ…』
蘭「急遽ね〜、たまにある事じゃん?」
『そっか!いつものか!』
蘭「そうそう、
だから◯◯は気にしなくていいんだよ〜」
『なら先にご飯の準備でもしよっ!
お花も買ってきたから飾ろうかな』
竜胆「今日はどんな花買ってきたんだ?」
『クリスマスローズ!』
『花言葉はね、私を忘れないでって意味なの!』
竜胆「クリスマスローズか、クリスマスにピッタリな名前だな」
『でしょでしょ?それにこの花言葉、春千夜が当てたんだよ!』
竜胆「へぇ〜」
春千夜「んだよ。ニヤニヤすんな」
春千夜side.
春千夜「おい、◯◯に隠してたら逆に◯◯が危ない目に合うんじゃねぇか?」
竜胆「馬鹿言うな。◯◯の事だからまた自分を責めるだろ」
蘭「まぁあいつらがここに来る事はないでしょ、来たとしても俺らがいるじゃん」
春千夜「…だとしても、もっと安全なところに行くべきだ」
蘭「いや。あいつらはどこにいても血眼になって探してくるよ」
春千夜「だからこそ隠したい。俺にとって◯◯は_____」
俺にとって◯◯は、家族以上の存在だ。
恋人??
そんな浅い関係じゃない。
◯◯がある敵組織の娘だと知った時は衝撃だった。
それにその組織から◯◯が逃げてきたという事実も。
それに誰よりも____
◯◯side
『みんなご飯できたよ〜!』
蘭「おいしそ〜」
竜胆「いつもありがとな」
『もちろ______』
竜胆「なんだ!!?」
一瞬にして周りが見えなくなり
煙が広がる。
春千夜「おい!!!◯◯!!どこだ!」
『はるちy_____』
バンッ
春千夜の名前を呼びかけた途端、
お腹に激痛が走る。
それと同時に
後ろに置いてあった白い花が血で赤く染まる。
春千夜「◯◯!!!」
蘭「クソが…全部手のひらで転がされてたのかよ」
それを合図にするかのように部屋中に銃声が鳴り響く。
蘭「かはっ…」
竜胆「…!!兄ちゃん!!!!」
するともう一度
バンバンッ
次は喉と…足だろうか。
もうどこに何発撃たれたのか分からない。
しかしこんな状況でも、
どこか冷静な自分がいた。
体に力が入らない。
自分の周りに生暖かい液体が広がっていくのがよくわかった。
春千夜「◯◯っ!!!」
煙も少しずつなくなってきたのか、
春千夜の表情がよく見える。
『…』
春千夜「おい、、なんだよこの血…」
『…』
春千夜「なぁ…、、早く医者に、」
『…』
春千夜は何を言っているのだろう
裏社会にいる私たちは医者に見てもらう事はできない。
決して闇医者だとしても、もう不可能だ。
春千夜「なんか言えよ、!」
『…る、、』
喉を撃たれたからか、
上手く言葉が出てこない
春千夜「ちょっと待ってろ…すぐ医者を呼んで______」
クリスマス当日
春千夜「◯◯、あの花枯れてるぞ」
すると◯◯は優しく微笑んで花にそっと触れる
春千夜「次はなんの花買いに行く?花じゃなくても、お前の好きな物なんでもいい 」
春千夜がそう言うと、 とっくに枯れているクリスマスローズを指差す。
春千夜「またこれか?」
ゆっくりと頷く◯◯
春千夜「好きだな、それ。」
春千夜「買い物ついでに、花買ってくる」
そう言うと◯◯は嬉しそうに笑う
竜胆「…おい」
春千夜「あ?」
竜胆「どこ行くんだよこんな早くから」
春千夜「お前には関係ねぇ」
竜胆「はぁ…時間までには帰ってこいよ」
春千夜「◯◯寒くないか?」
◯◯は相変わらずの笑顔で首を横に振る
すると◯◯は少し前に行き、春千夜に向かって 手招きをした。
春千夜「なんだ?こっちこいって?」
そのまま◯◯の後をついて行く春千夜。
かじかんだ手をポケットに入れながら空を見上げる。
空はあの日のように澄み渡っていて、
雲ひとつない青空だった。
そして◯◯は足を止める。
その前には1つのお墓が立っていた。
春千夜「??墓?」
すると◯◯は何かを取り出し、
春千夜に差し出した。
春千夜「……スノードロップ」
春千夜「そうか、そういう事か」
春千夜「俺らはずっと一緒だよな」
春千夜「今までも、これからも。」
春千夜「愛してるよ、◯◯______」
数日後
蘭「あー、さむ」
竜胆「兄ちゃん薄着すぎじゃね?」
蘭「冬の寒さ舐めてたわ、そのコート借して」
竜胆「無理。自己責任。」
蘭「兄ちゃん悲しい」
竜胆「もう着いたから少しの間我慢だな」
蘭「…だな」
竜胆「…」
竜胆「元気か、◯◯」
蘭「三途にいじめられてないかな?」
竜胆「花持ってきたから、ここ置いとくな」
蘭「はぁ〜、賑やかな2人がいなくなって梵天お通夜モードすごいんだからね?」
竜胆「まぁヤク中がいなくなって明らかに金の減りがなくなったから一発殴りたいけどな」
蘭「もうさぁ、俺◯◯ちゃんの事好きだったんだよ?」
竜胆「…あぁ。俺もだよ。」
蘭「あ、俺は普通の好きとかじゃなくて、恋愛感情の方の好きね??」
竜胆「…は???初耳なんだけど」
蘭「まぁね。誰にも言ってないし」
するといきなり風が強くなる。
竜胆「三途怒ってるぞ、兄ちゃん」
蘭「えーいいじゃん。一緒のお墓にしてあげたじゃーん」
竜胆「ま、本来血縁関係じゃない限り一緒の墓は無理だからな」
蘭「反射舐めんなよ♡♡」
竜胆「それじゃ、そろそろ俺らは行くか」
蘭「えーもう?」
竜胆「これ以上騒がしくするのもな」
蘭「まぁ、また来ればいいか」
竜胆「またな。◯◯、三途。」
そう言って蘭と竜胆はその場を後にした。
途端に静まり返ったその場所に、
頬を撫でるような優しい風が吹く。
そして
竜胆が置いたシオンの花が風に揺れる。
花言葉は
“追憶”
“あなたを忘れない”
END.
コメント
3件
すき 久しぶりに上手い作品みれた
感動しました(༎ຶ⌑༎ຶ)