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3.胸に秘めた思い
出会いは唐突だった
彼に叱る大人は居ない、彼を正しく導く大人も居ない。彼の金髪金眼は今では彼のチャームポイントであり、美しさなのだが。
あの時の鋼のは…淀んでいた。
確実に濁ったような目。全てに諦め、全ての感情に心の中で葛藤し続け、疲れ果てたような…一瞬、自分も、大切な存在がいなくなってしまったらという考えもよぎってしまう。
鋼のの目の焔をともしたのは、この私だ。
鋼のはそれからすくすくと成長して、なんだか親になったような、いや親戚かな?そんな感覚だった。中尉やハボックなどもきっとそんな気持ちだっただろう。どんどん成長し、数ヶ月に1回しか現れない。不思議な彼らは人々を魅了した。
そして私も魅了された1人、
彼らが来る度心が弾む。少しの言い争い。鋼のが突っ走り、アルフォンスくんがそれを止める。そんな所を見るだけでとても愉快で、満たされる。
少し気になったことがあった。それはなんだか鋼のが凄くかわいくて、かっこよくて、なんとも形容し難い存在になって言ったことだ。鋼ののことを考えれば心が弾み、鋼のの名前を言えば彼が振り向いてくれる。そんな当たり前のことが嬉しくて、たまらなかった。
私は恋をしたことがなかった。
よく“女たらし”だ。“女好きだ”“とっかえひっかけしている”など言われるが、それは一時的なもの、一緒にディナーに行ったり、セフレになったり、といったものばかりで、恋人という存在を作ったことは無かった。彼女たちのことを愛していることは確かなのだが、彼女たちへ真剣になれることは無かった。どちらにとっても都合の良い、そんな関係だけであった。
だからこそ、1人の少年にこんなにも熱をあげてしまう自分に驚きが隠せない。
彼ら、いや私たち含め、このアメストリスを救った英雄となった。
そんな鋼のへの永く、重く、初めてな思いは
今世でも深くこびりついてしまっている。
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