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指切り

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指切り

1 - 第1話

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2024年10月28日

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ここのところ、渡辺は平和である。周りが静かで、仕事に集中している。だが、こういう時に厄災は足音を消して忍び寄ってくる。



舞台も、もうすぐ千穐楽。

自分でも頑張ったなと思っている。

ツアーの練習もしながらだったから、身体が思うように動かない時もあった。

目黒がマッサージしてくれて、今日まできた。



今日は、夜の部だけで、昼に買い物に出た。

時間があまりないから、昨日の夜に、どこで何を買うか決めていた。

FENDIの店、目黒に服を買う予定。

タクシーで店の近くに止めてもらい歩く。店内を覗いて、急いでタクシーを拾った。

自宅の近くに帰ってきて、タクシーを降りた。

さっき見たのが忘れられない。



店内で、目黒が女性に服を選んでもらっていた。

梨花さんじゃない。知らない人。

渡辺はソファに寝転がる。

目黒の身体に服を当てて2人は笑って話をしていた。




渡辺ー俺、買わなくていいようになっちゃった。



寂しげに呟く。

自分じゃなくて、あの女性が服を買うだろう。

舞台とツアーの練習で酷使している身体のケアをしてくれたお礼に服を見に行ったけど、もう服はいいやと思う。



ぼんやりしてると、そろそろ出かける準備をする時間になっていた。

気を引き締めて、劇場に向かう。

今は舞台のことだけ考えよう。

共演者に「元気ないな」と言われてしまった。

「大丈夫だ」と言いながらステージに向かう。



家に真っ直ぐ帰りたくなくて、サウナに行って、焼き肉食べて帰って来た。向井に電話したら時間あると言うから一緒に行って来た。



向井ーしょっぴー、ちょっと元気ないな?

渡辺ー疲れたかな。

向井ーもうすぐ千穐楽やもんな、よう頑張ったな。大丈夫か?

渡辺ーツアーの練習があったから、ちょっと大変だったけど大丈夫。

向井ーまたサウナ行こな?

渡辺ーん、じゃあまた。

向井ーほな、また。



2人でタクシーに乗り、渡辺が降りて、向井はそのまま自宅へ帰る。

渡辺が家に帰って来たら、玄関に靴。目黒が来ている。

渡辺がリビングに入ると、コーヒーを飲みながら目黒が待っていた。



目黒ーおかえり、遅かったね。

渡辺ーただいま、康二とサウナ行って焼肉食べて来た。

目黒ー明日は昼の部でしょ?

渡辺ーん。

目黒ー終わったらリハに来る?

渡辺ー行く、時間ないし。

目黒ーその後、うち来る?

渡辺ーいや、買い物に行く。千穐楽に差し入れするから。

目黒ー慎太郎くんと?

渡辺ーん、約束してる。

目黒ー分かった。

渡辺ー今日は何?

目黒ー昼間買い物に行ってたんだけど、翔太くん見た気がして。

渡辺ー俺じゃない、ずっと家にいたし。

目黒ーそう?見間違いかな。

渡辺ーだろうな。




帰れとも言えないし、会話が続かない。

目黒が立ち上がって渡辺の前まで来る。

身体が軽く震える。



目黒ー何もない?

渡辺ーない。

目黒ー俺に言うことない?

渡辺ーない。

目黒ー帰るね。

渡辺ーまた明日。



目黒は渡辺にそっとキスして帰って行った。

その場に座り込む。

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