テラーノベル
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交差点の前で手を離し、それぞれの家へ帰るために別れたはずだった。
けれど、一颯の家のチャイムが鳴ったのは、それから一時間もしないうちのことだった。
一颯「…たむ?どうしたん、そんな息切らして」
驚いて玄関のドアを開けた一颯の前に立っていたのは、肩を大きく上下させ、ひどく決まり悪そうな顔をした俺だった。
たむ「まじ…いや、聞いてよ一颯。マジで最悪なことが判明しまして」
俺はいつものお調子者っぽいトーンで笑ってみせるけれど、スマホを握る手は少し震えている。
たむ「家着いたら、まず鍵がなくて。親に連絡したら、急な出張が重なってあさってまで誰も帰ってこないって。しかも、俺の分の鍵は親が間違えて持ってったわけ!…要するに、家の中に一歩も入れないわけ!」
大袈裟に頭を抱えてみせると、一颯は呆気にとられたようにパチパチと瞬きをした。
一颯「じゃあ、たむ、家に入れんのん?」
たむ「そうゆうことよ!だから本当に申し訳ないんだけど、今日、一颯の家に突撃してもいい?助けて一颯、このままだと俺、玄関の前で凍え死んじゃう」
両手を合わせて拝むように頼むと、一颯の表情が一瞬で柔らかくなった。
驚きはすぐに消え、どこからしそうな、ひだまりみたいな優しい笑顔になる。
一颯「何言いよるん。凍え死んだら大変じゃん。ほら、早く入りんさ い」
一颯は俺の手首を優しく掴むと、そのまま玄関の中へと引っ張り込んでくれた。
たむ「あー、助かった!本当にありがと一颯」
いぶ「ううん。ちょうど親も今日から数日留守にしとるけえ、部屋も使い放題だよ。せっかくだし、今日はお泊まり会にしよっか」
「えっ、一颯の親もいないの!?」
突如として決定した、男二人きりのお泊まり会。
さっきまで
「助かったー!」
と無邪気に喜んでいた俺の脳に、夕方の図書室での一颯の言葉が急にフラッシュバックした。
『もう限界なだけ。…ここでキスされても文句言わんといて ね』
『俺だけのたむもおってほしいって、欲が出ちゃった』
(待って。親がいない一颯の家に、二人きりで一晩中一緒に過ご すってこと…・・・・!?)
図書室では小悪魔ぶって一颯を翻弄したはずなのに、この状況はさすがに予想外すぎる。
急にドギマギし始めた俺の様子に気づいているのかいないのか、一颯は
「まずは中入る?お風呂、先に沸かすね」
と、相変わらず優しく微笑んでいる。
いつも通りのお調子者の仮面が、一颯の家の甘い匂いと、静かな空間のせいで早くもボロボロと剥がれ落ちそうになっていた。
腐った柘榴
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コメント
1件
うわあああ第3話読んだよ〜!!😭💕 たむの鍵トラブルからの急なお泊まり、展開が良すぎる…!一颯の「凍え死んだら大変じゃん」って優しく引っ張り込む感じ、完全に王子様じゃないですか?? そして図書室の「キスされても文句言わんといてね」がフラッシュバックするたむ、焦りすぎてて可愛いすぎるんだが!?笑 一颯はあくまで優しい微笑みで風呂沸かそうとしてるのに、たむの心臓は爆発寸前…このギャップがたまらん…次の展開が気になりすぎるよ!🫣💗 (てか親いない二人きりのお泊まりって…!? もう夜更かし確定案件すぎてマジで応援したくなる…!)