テラーノベル
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こんにちは♪ものものです!
謎の作品です。だいぶ殴り書きしちゃったので、読みたい方は読んでくださればとても嬉しいです☺️
それでは、どうぞ!
生まれたときから、その運命は決まっていたのかもしれない。
家族が皆事故で死んでしまうことも。
親戚中に厄介者扱いされ、孤児院に入れられることも。
その孤児院に売られてアメリカの地に送られることも。
全てにおいて不幸という不幸を投げつけられてきた人生。神?そんなものが存在しているならば、俺の人生は流石にやりすぎだろうと思う、少し後悔して欲しいくらいだ。
そんな不幸を纏った俺にも唯一、この世界を好きになれるものがあった。
「科学」だ。
科学は嘘をつかない。この世界のなぜ、どうしては全て科学によって証明できるのだ。
孤児院にいるときにそのことを知った時、身体全体が喜びに歓喜し、うち震えるようだった。
こんなに素晴らしいことが、この世に存在していいのか、と。
それから俺は毎日のように夜に広がる輝く空を見上げた。月、星…そしてその先に広がる宇宙と呼ばれる果てしない世界。そこに手を伸ばしたら…誰もまだ見たことのない素晴らしい世界が広がっているのだろうか。そう、思わない日は無かった。
不幸中の幸い、とはこのことを指すのだろうか。俺が売られたのはアメリカのいわゆる「裏」と呼ばれる施設で、そこで実験材料とされるはずだった。…俺の「科学」に対する飢えにも似たような衝動をある科学者が目に留めるまで。
そいつは俺に言った、実験材料としてここで働くか、それとも自分から科学を、但し世間一般では闇と呼ばれる部類の科学を学ぶか、と。
俺は迷わず後者を選んだ。科学を知ることが出来るなら、それに触れられるなら、どんな形であっても構わない…実際俺の「これ」は最早飢餓以外の何物でも無いのだろう。
返事を聞くとそいつは、不気味な笑みを作った。そして一言。
『そうか。』
と。
科学、は自分の予想していたものよりも何倍も素晴らしかった。世界の仕組みに触れ、世界の仕組みにすらも凌駕する…そんな科学に飢餓は無くなるどころか増すばかりだった。
そいつは俺が質問すると何でも答えてくれた。分からないときは科学の本や論文を読ませてくれた。…初めて施しのようなものを受けたときは嫌悪感でいっぱいだったが、今はそんなことどうでもいい。ただ、科学を、そして科学のその先を…。
そいつとの関係はかなり歪だったと言うべきだろう。質問をしたら何でも答えてくれる、衣食住や科学のことは全て保証してくれる。だが、知り合いというには明らかに情が無かった。皆無だった。同じ場所にいる他人、と言った方がしっくりくるほどだ。そんなことは、物心つく頃から与えられていない俺からすれば何の障壁でも無かったし、科学さえあれば別に関係なかった。
数年経って俺が8歳になったとき、アメリカ政府に施設のことがバレて壊滅させられた。そのときにそいつも殺された。
ずっと他人だったが、最期の言葉だけは今も耳に焼き付いている。
『Senku, look ahead, don’t stop, keep going.』
言われなくてもわかってるわ。
施設の被害者として保護された俺は、自分の知識量と吸収力の強さで10歳にしてハーバード大学に主席合格した。周りのレベルに合わせることを意味なしと評価し、ただ自分の学びたいことを学ぶ、それだけに集中した。
ウィーン ガチャガチャ
ドーン💥
『あ”ー、まだ精度と威力のバランスがとれてねぇって感じか。また制御部分のとこ修正しないとだな…』
レールガンの射撃をするためにある土地で実験をしていた。勿論、レールガンが自作だ。多少の重量はあれども、威力は普通のレールガンのおよそ2.5倍。殺傷能力MAXの代物だ。
今は1キロ先のりんごに向かって撃ってみたが外れてしまった。恐らく制御部分の細かなズレからきているものなのだろう。
それを修正するために機械を分解しようとした、そのときだった。
『おい、お前。それ、機械のせいじゃねぇよ。』
『…あ”?どちら様だ、テメェ。』
身長は自分より5センチほど高く、金髪の青眼…いや、光の角度によって色が変わる、多色性の瞳か。顔のパーツ一つ一つが完璧に顔に収まり、瞳をマッチ棒が乗るほどのまつ毛が覆っている。腰には大量の棒付きキャンディと水鉄砲のようなものが見えている。…誰だ?
『それ、レールガンのせいじゃなくて、扱ってる奴の腕が原因だ。 』
そう言うと奴はスタスタとこちらに近づき、レールガンを手に取ると獲物に狙いを定めた。
空気がピリつく。
パシュ!!
『は、…すげえな!!テメェ!!!』
りんごは跡形もなく粉砕されていた。
『だから言ったじゃんよ、扱う奴の問題だって。』
奴の名前は「スタンリー・スナイダー」と言った。どうやら自分と同じ年齢らしい。興味がなくて知らなかったのだが、全米射撃大会の20歳までの部では1位を取っていたそうだ。それを褒めるとスタンリーは少し照れくさそうな顔をした。
この日からスタンリーとはほぼ毎日共に実験をする仲間となった。と言っても、スタンリーに科学の知識はないため実験の補助として手伝ってもらっていた。なんせ科学者は想像の通りヒョロガリ軍団の集まりだ。重い実験器具などは持ち上げることすらできない。スタンリーは鍛えているらしく、簡単にそれらを持ち上げてしまう。いつも飄々とした顔をしてるので、そんな力はどこから来るのかといつも思っていた。
そんなスタンリーも驚きで棒付きキャンディを落としてしまうことがあった。あれはいつものように実験をし、片付け終わった時のことだ。
『千空、終わったなら帰るぜ。』
『ああ、悪ぃ。少しトイレに行ってもいいか。』
『オーライ、俺も行く』
『じゃあ、行くから 』
途端にスタンリーは顔を青白くさせて俺の腕を掴んだ。
『っ…何だよ、いきなり』
『こっちのセリフだっての!アンタ、そっちは女子トイレだぜ!?男子トイレは逆だ!』
必死な形相をして話すスタンリーを見て、思わず吹き出した。ああ、そういや、言ってなかったな。てか、気づいてなかったのかよ。
『ああ、言い忘れてたな。俺は、「女」だ。』
『…は?』
思わず棒付きキャンディを落として唖然としたスタンリーを見て、俺が盛大に笑ったのは言うまでもない。そして、我に返ったスタンリーが今まで女なのに危険な実験を繰り返していたことに対して何時間も説教をするまで、あと数分。
あれから俺は科学者として最年少でNASAへ入り数々の研究に携わり、スタンリーは高校を飛び級で卒業した後、熱烈なさまざまな軍からのアプローチの中、その中でも選ばれた者しか入れない海軍の特殊部隊に所属した。
もう俺たちもあっという間に20歳になった。
『千空、happy birthday』
『もう20歳か。あっという間だな。』
月日が経つのは存外早いもので、お互いに休暇が取れたら一緒に時間を過ごすことを繰り返すうちに日本で言うところの成人となったようだ。ここでは詳しくは語らないが、この時の俺たちは所謂「恋人」の関係にあるらしい…らしいと言うのは、日本での成人までは全く手を出さなかったからだ。勿論キスも。
というわけで、今日は愛する恋人に文字通りぐちゃぐちゃにされ、次の日一歩もベッドから出られない生活を送ることになるのだが、まあそれもまたの機会にするとしよう。
『せーんく、何見てんの?』
『ああ、これはな…』
スタンリーがソファに座る俺の後ろから気配なく抱きついてくる。最初こそ、驚きすぎてギックリ腰一歩手前まで行ったが、慣れというものは恐ろしく、もう何も動揺しなくなっていた。スタンリーはそれが不満らしい。
話を戻す。今俺が見ていた、正確に言えばメールを見ていたのだが、それは日本から来た一通のスパムメールだった。ある日突然、NASAに送られてきたメールは日本の小学生にも関わらず、専門知識で埋め尽くされた、けれどどこか拙い質問だった。他の職員はただの大人のイタズラだとメールを捨てようとしていたのを俺が止めたのだ。
『それ、俺が答えとく』
よくよく内容を見ていると、自作のロケットがうまく飛ばない理由が分からないとのことだった。それも、おもちゃではなく、本物の宇宙まで飛ばすロケットだ。俺は心の中で歓喜した。まだ小学生にも関わらず、このような思考を既に持っていることが喜ばしかった。ただ、一つ気になることがあった。日本の小学生であることは元を辿ればすぐに分かったのだが、名前が「Xeno」。まあ、俺もアメリカで育ったが生まれは日本のために名前も日本由来だから、特に何かいうこともないのだが。
「ゼノ」とは、メールのやり取りをする中でどうやら師弟関係というものになったようだ。何か分からないことが見つかるたびに流暢な英語で返信してくる。おそらく国語はあまり得意ではないのか、話の脈略はバラバラなのだが。それ以外にも、ゼノの周りのことや日本のこと、俺からはアメリカのことや最新技術についてよくメールを交わしている。メールの中では流石に本名は憚られたため、『Dr.S』と名乗っている。
この「ゼノ」とのやり取りの話をし出すと、スタンリーは眉間に皺がよって折角の美形が台無しになる。以前そのことを告げると、『じゃあ千空が俺の機嫌、直してくんね?』と言ってベッドルームに連行された時は俺も走馬灯を見かけた…と思う。それ以降は特に指摘しないようにしている。乱れて意識が朦朧としている俺に『他の男なんか見たら、孕ませて、二度と家から出られないようにしてやんよ』と言った時のスタンリーの顔は今でも忘れられない。
さて、今日もメールを見て思わず表情を崩してしまった俺に忍び寄って来たみたいだ。
『せんくー、まだやり取りしてんの?その「ゼノ」って奴、千空のお気に入り?』
『まあな。でも、1番のお気に入りはすぐそばにいるけどな。』
『っは、やんじゃん。』
他人から見たら、まさにイチャイチャと言わざるを得ないだろう。しかし、この2人に取ってこのような会話は日常茶飯事であり、今更照れて恥ずかしがったりはしないのだ。
千空は窓越しにまるい月が浮いている空を見た。空を見る時の千空は、どこか神秘的でそれでいて空の何かに縋っているような顔である。昔と何も変わらない空だけが、千空の味方。あの時はそう思っていたけれど、今は少し違うのかも…しれない。
『空はいつも俺を見てる…か。』
まだ前の作品が終わってないのに、新しい作品!?と思いましたよね…。実は今途中のあの作品を書いている時に、今更厨二病を発症してしまい、こんな長いものになってしまったというわけです。続きは、私のやる気が出たら出す予定です。
最後まで読んでくださってありがとうございました♪
ものもの
6,023
しぐ
201
#2次創作
しぐ
201
コメント
1件
わあ、ものももさん、新作読ませていただきました!🌷 千空の「科学」への飢え方、すごく生々しくて引き込まれました。不幸な生い立ちの中で唯一の光が科学で、その先に宇宙があるっていう描写が美しかったです。スタンリーとの出会いも、女子トイレのくだりで思わず笑っちゃいました(笑)。あの飄々とした射撃の天才が、千空にだけは必死になるギャップがたまらないですね。 「空だけだった」が「今は少し違う」に変わるラストの一文、じんわりきました。続き、楽しみにしてますね!