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Trick or Bite!
ハロウィンということで吸血鬼パロです(*ˊᵕˋ*)
10月31日、午前7時15分。
🩷「……💛、今日ほんとに仕事?」
💛「うん。昨日も言ったでしょ」
🩷「リモートにはできない?」
💛「できないよ。今日は会社行かないと」
🩷「……そっか」
🩷は小さくため息をついた。
今日はハロウィン。
街中が仮装した人々で賑わう、年に一度のイベント。
しかし、吸血鬼にとっては少し意味が違う。
普段は人間に正体を隠して暮らしている吸血鬼たちが、堂々と街を歩ける日。
本物の牙も、赤い瞳も、ハロウィンの仮装だと思われる。
そのため、毎年10月31日には、普段よりも多くの吸血鬼が街に現れる。
そして、その中には人間との契約に関する決まりを守らない者もいた。
🩷「……何時に終わる?」
💛「今日はちょっと遅くなるから、20時くらいかな」
🩷「20時……」
💛「うん」
🩷「……迎えに行く」
💛「え? いいよ、そんな」
🩷「よくない。夜に一人で帰らせたくない」
💛「でも、🩷だって予定あるでしょ?」
🩷「💛を迎えに行くより大事な予定なんかないよ」
💛「……ふふ、そっか」
🩷は生まれながらの吸血鬼。
純血種と呼ばれる、強い力を持つ存在だ。
一般的な吸血鬼とは違い、視線だけで相手を威圧することができる。
一方、💛はごく普通の人間。
会社に勤める社会人であり、🩷の恋人でもある。
現在、二人は同じ家で暮らしていた。
🩷「……💛」
💛「ん?」
🩷「首、見せて」
💛「……また?」
🩷「確認したいだけ」
💛が少しだけ首を傾けると、🩷はその首筋に目を向けた。
そこには、黒い紋章が刻まれている。
🩷だけが持つ、固有の紋章。
吸血鬼と人間が正式に吸血契約を結んだ証だ。
その印は吸血鬼にしか見えず、契約者以外が勝手に血を求めることは禁じられている。
🩷「……うん。ちゃんとある」
💛「消えたりしないって(笑)」
🩷「わかってるけど」
💛「心配性だなぁ」
🩷「💛限定」
💛「……なにそれ(笑)」
🩷は💛の髪を優しく撫でた。
🩷「仕事終わったら連絡して。会社の前まで迎えに行くから」
💛「うん、わかった」
🩷「絶対、一人で帰らないでね」
💛「はーい」
🩷「……約束」
💛「約束」
💛は笑って、小指を差し出した。
🩷も小指を絡める。
💛「じゃあ、行ってきます」
🩷「いってらっしゃい。気をつけてね」
そう言って、🩷は💛を送り出した。
⸻
午後8時03分。
💛「……終わったぁ」
会社の建物を出た💛は、小さく伸びをした。
外はすっかり暗くなっている。
街には魔女や悪魔、ゾンビなど、さまざまな仮装をした人々が溢れていた。
中には吸血鬼の格好をした人もいる。
けれど、そのうち何人が本物なのか。
人間である💛には見分けがつかなかった。
💛「……🩷、まだかな」
スマートフォンを取り出し、🩷にメッセージを送る。
💛:仕事終わった!会社の前にいるよ
すぐに返信が届いた。
🩷:もうすぐ着く。そこから動かないでね
💛「……ふふ」
朝からずっと心配していた恋人を思い出し、💛は小さく笑った。
そのときだった。
男性「……ねえ」
💛「……え?」
突然、背後から声をかけられた。
振り返ると、見知らぬ男性が立っていた。
黒い服に、少し長めの髪。
そして、暗がりの中でわずかに赤く光る瞳。
男性「君、人間?」
💛「……はい?」
男性「……すごくいい匂いがする」
💛「…………」
その言葉に、💛は思わず一歩後ずさった。
こいつは、吸血鬼だ。
男性「ねえ、ちょっとだけ血をもらえない?」
💛「……すみません。無理です」
男性「なんで?」
💛「俺、もう契約してるので」
男性「ああ、知ってる」
💛「……え?」
男性の視線が、💛の首元に向けられる。
男性「黒い紋章……純血種の契約者か」
💛「…………」
男性「随分珍しい相手と契約してるんだね」
💛「……もうすぐ迎えに来るので」
男性「へぇ……」
男性は面白そうに笑った。
男性「でも、今はここにいないんでしょ?」
💛「……すみません。待ち合わせしてるので」
男性「じゃあ、それまでに少しだけ」
💛「……嫌です」
男性「そんな冷たいこと言わないでよ」
仁人は男性から離れようとした。
しかし。
男性「待ってって」
💛「……っ!」
突然、腕を掴まれる。
💛「……離してください」
男性「ちょっとだけでいいから」
💛「離して、!」
男性「そんなに嫌がらなくても——」
🩷「……おい」
低い声が、二人の間に割って入った。
男性「…あ?」
🩷「俺のものに触れるな」
💛「🩷、!」
そこに立っていたのは、💛が待っていた恋人だった。
けれど、その表情は普段とはまるで違う。
笑っていない。
声を荒らげているわけでもない。
ただ、冷たい目で相手を見据えていた。
男性「……なんだよ、お前」
🩷が一歩近づく。
🩷「離れろ」
男性「……っ!」
男が🩷と目を合わせた瞬間、その表情が強張った。
身体が動かない。
まるで、見えない何かに押さえつけられているようだった。
🩷「紋章、見えてたろ」
男性「……っ、はい……」
🩷「純血種の契約者だって、わかってたよな?」
男性「……まさか、本当に来るとは……」
🩷「……それで?」
男性「…………」
🩷「俺のものに手ぇ出して、ただで済むと思った?」
男性「……っ、すみません……!」
🩷「……離れろって言ってるんだけど」
男は慌てて💛の腕を離した。
🩷「二度と近づくな」
男性「す、すみませんでした!」
🩷が視線を外すと、男は逃げるようにその場を去っていった。
その姿が見えなくなると、🩷はゆっくり💛に向き直った。
🩷「……💛」
💛「……うん」
🩷「大丈夫、?」
先ほどまでの冷たい声とは違う。
いつもの、優しい🩷の声だった。
💛「……大丈夫だよ」
🩷「腕、痛くない?」
💛「うん。ちょっとびっくりしただけ」
🩷「ほかには何もされてない?」
💛「うん。🩷が来てくれたから」
🩷は💛の腕をそっと確認し、ようやく息をついた。
🩷「……ごめんね。もっと早く来ればよかった」
💛「🩷のせいじゃないよ。ちゃんと助けてくれたじゃん」
💛が笑うと、🩷も少しだけ表情を緩めた。
💛「……それに、🩷が怒ってるところ、久しぶりに見た」
🩷「……怖かった?」
💛「ううん。何回か見たことあるし。でも今日は結構怒ってたね」
🩷「……当たり前でしょ」
🩷は💛の手を優しく握った。
🩷「俺の大事な💛に、勝手に触ったんだから」
💛「…………」
🩷「……帰ろっか」
💛「……うん」
二人は手を繋ぎ、ハロウィンで賑わう街を歩き始めた。
⸻
午後8時35分。
💛「ただいまー」
🩷「ただいま」
ようやく自宅に戻ってきた二人。
💛が鞄を置こうとした、その瞬間。
🩷「……💛」
💛「ん?」
ぎゅっ。
💛「……わっ!」
🩷に後ろから抱きしめられた。
💛「🩷?」
🩷「……ちょっと、このまま」
💛「……うん」
💛は鞄を置き、🩷の腕にそっと手を重ねた。
しばらく、二人とも何も言わなかった。
🩷「ほんとに、無事でよかった」
💛「……うん」
🩷「あいつが💛に触ってるの見たとき、頭真っ白になった」
💛「…………」
🩷「怖かったんだよ。💛に何かあったらって思ったら」
💛はゆっくりと振り返った。
💛「……俺も、ちょっと怖かった」
🩷「……っ」
💛「でも、🩷が来てくれて安心した」
💛は🩷の背中に腕を回した。
💛「助けてくれて、ありがと」
🩷「……うん」
💛「今日の🩷、甘えただね」
🩷「……💛の前だけだよ」
💛「知ってる(笑)」
🩷は安心したように、💛の肩に顔を寄せた。
⸻
午後9時10分。
二人はソファに並んで座っていた。
テレビではハロウィンの特集番組が流れている。
💛「そういえば、今日ハロウィンだったね」
🩷「…そうだね」
💛「なんか、いろいろありすぎて忘れてた」
🩷「俺は忘れてないよ?」
💛「え?」
勇斗が、いたずらっぽく笑った。
🩷「……💛」
💛「ん?」
🩷「Trick or Bite!」
💛「…………」
💛「……なにそれ(笑)」
🩷「ハロウィンだから」
💛「普通、Trick or Treatでしょ?」
🩷「俺、吸血鬼だもん」
💛「ふふ、そうだったね」
🩷は💛の顔を覗き込んだ。
🩷「お菓子より、💛の血がいいな」
💛「もう(笑)」
🩷「……だめ?」
💛「……いいよ。🩷なら」
🩷「……ありがと」
🩷は嬉しそうに笑った。
🩷「疲れてるなら、今日はやめとくけど」
💛「大丈夫。嫌だったらちゃんと言うから」
🩷「……うん」
🩷は💛の返事を確かめてから、そっと首元に顔を寄せた。
そこには、🩷だけの紋章が刻まれている。
二人が自分たちの意思で結んだ、特別な契約の証。
💛が小さく頷くと、勇斗はいつものように穏やかに吸血を始めた。
⸻
しばらくして。
🩷「……ありがと、💛」
💛「……ん」
🩷「気分悪くない?」
💛「大丈夫だよ」
🩷「……よかった」
🩷は安心したように笑い、💛の髪を撫でた。
二人の間に、穏やかな空気が流れる。
けれど。
💛「……ねえ、🩷」
🩷「ん?」
💛「……なんか忘れてない?」
🩷「え? なにが?」
💛「…………」
🩷「……💛?」
💛「……わかんないならいい」
🩷「嘘、ちゃんとわかってるよ(笑)」
💛「……もう、意地悪」
🩷「ふふ、ごめんね」
🩷は💛の頬にそっと手を添えた。
🩷「こっち向いて?」
💛「…………」
🩷「💛?」
💛「……早くして」
🩷「ふふ、はいはい」
🩷は嬉しそうに笑って、💛に優しくキスをした。
🩷「これでよかった?」
💛「……ん、」
🩷「かわいい」
💛「もう」
🩷「大好きだよ、💛」
💛「……俺も」
🩷はもう一度、💛をぎゅっと抱きしめた。
窓の外では、まだハロウィンの賑やかな声が聞こえている。
人間と吸血鬼。
違う種族として生まれた二人は、今日もこうして同じ時間を過ごしていた。
🩷「来年のハロウィンは、一緒に過ごしたいな」
💛「仕事休めたらね」
🩷「今からお願いしとこうかな」
💛「誰に?(笑)」
🩷「💛の会社の偉い人」
💛「やめてよ(笑)」
🩷は冗談めかして笑ったあと、💛の手を握り直した。
🩷「来年は、家でのんびりしようね」
💛「…うん。そうしよ」
🩷「約束」
💛「約束」
💛が小指を差し出すと、🩷もそこに小指を絡めた。
朝と同じ、小さな約束。
今度は一年後のハロウィンに向けて。
🩷「……ねえ、💛」
💛「ん?」
🩷「来年はお菓子も用意しといてね」
💛「血だけじゃ足りないの?(笑)」
🩷「💛からもらえるものなら、なんでも嬉しいから」
💛「……ほんと、欲張り」
🩷「💛限定な」
💛「……ふふ、知ってる」
窓の外では、まだ仮装した人々の楽しそうな声が響いていた。
けれど二人にとっては、賑やかな街よりも、この静かな部屋の方がずっと居心地がいい。
吸血鬼にとって特別な夜は、恋人たちにとっても忘れられない夜になった。
Happy Halloween!
— End —
コメント
1件
もなかさん、読ませていただきました! ハロウィンの吸血鬼パロ、めちゃくちゃ良かったです……! 🩷の「💛限定」な独占欲と、💛を思うがゆえの過保護っぷりがもう尊くて。紋章の設定とか、吸血鬼にとってハロウィンが特別な意味を持つっていう世界観の作り込みも大好きです。“Trick or Bite” のオチに思わずほっこりしました。ちゃんとキスまで持っていく流れ、憎いですね(笑)。1話でこれだけ甘さと守る強さが詰まってるの、素敵です。続きも楽しみにしてます!
もなか
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もなか
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