「 消費期限 」
もとぱ( 死ネタ
愛にも消費期限という物はある。
君の口癖だった。
じゃあ消費期限が伸びるように頑張るね、と返すのが僕たちの日常だった。
消費期限は伸びることなく終わった。
愛を沢山伝えたのに、君は遠く、何処かへ行ってしまったのだ。
これは、今は星になった君に伝える愛の言葉。
大森side
拝啓 、若井滉斗様へ 。
出会いは中学生の頃。
キラキラ輝く貴方の瞳、表情。
人気者で、僕とは大違いな存在。
程遠くて、何度も近づきたいと思ったけど、無理でした。自分から声をかける勇気は無かったのです。
僕は教室の隅から、見飽きた本を見ながらも、あなたを見つめていたんですよ。
机に左手の重心を友達と話す姿も、友達と肩を組む姿も、
全部僕は見てきました。
でも貴方から声を掛けてくれて、高校の時、お付き合いが始まりましたね。
クラスが一緒になって、隣の席だった時には僕の手を勝手に取って、恋人繋ぎをしてきた。
友達にバレて大騒ぎになったし、僕は人気者のあなたの事が好きな女性に陰口言われて大変だったんですよ。
でも貴方の事が好きだったから、なんにも苦ではなかったです。あなたの瞳が見れるだけで幸せでしたから。
今はお元気ですか?
愛にも消費期限はある、それが貴方の口癖だったけれど、愛の消費期限は切れていましたのですか?
僕にはそう思えやしませんでした。
貴方が僕を見つめる瞳は、愛おしい物を見る蕩けた瞳だったから。
その瞳が、顔が、仕草が、
とても愛おしく、酷く辛かったのです。
病気って事は知っていましたよ。
貴方の部屋を掃除していたら見つけた病院からの書類。
思わず涙が溢れて来ました。
病名は 、________
調べてみると、命に関わる病気だと知りました。
書類を見なくとも、夜中に聞こえる貴方の泣き声と嗚咽から、何となく察してはいましたけどね。
元貴、元貴、と泣く貴方の声を聞くにも気が引けてしまった。
辛かったでしょう。苦しかったでしょう。
僕も辛かったです。病気を患ってまで、苦しみに耐えながら仕事に出ていく貴方の後ろ姿を見るのが。
毎晩毎晩、僕の名前を呼んでは泣いているあなたの声を聞くのが。
僕の前だけでは、僕の瞳を見て笑うあなたを見るのが。
いっそあなたと死んでしまおう、そう考えもしました。
でもできなかった。病気の書類を見たことも言い出せない僕が、一緒に死のうよ、なんて、そりゃ言い出せませんよ。
貴方ならよくわかっているでしょう?僕が臆病な事を。
さて、言いたかったことはただ1つなのです。
貴方に会いたい。それだけ。
「 ひろ、ひろと っ “ … んく、っ …ひ、う” …、あいしてるよ、っ”… 」
#1.「 星 」
読切にするか連載にするか迷ってます。どっちがいいかな。
本当は浮気しちゃった若井さんとひとりぼっちになった大森さんの話だったのに、いつの間にか死ネタになってる、だと。
題名変えようかな。