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ジルさんは、正男さんの弟にあたる人らしい。
どうやら牧場の事件の解決に協力してくれるらしく、自身が知っていることを洗いざらい話してくれるそうだ。
ジル「まずは、あの場所を見に行った方がいいな。着いてきてくれ」
そう言って旅館の正面玄関を再び開ける。
そこには、馬を二頭繋げた簡易的な馬車が待っていた。
ジル「俺の相棒たちだ。安心して乗ってくれ」
私たちは、彼の言われるがままに馬車に乗ると、馬は静かに歩き始めた。
ジル「…親父が死んで、遺書には兄貴に牧場を継いでほしいと書いてあったんだ。…事件があった牧場の、な」
夕方になる頃、めぐみの牧場らしき場所に着き、ジルさんはそう言って馬の首元をひと撫でした。
すると、二匹は静かに立ち止まり、再び微動だにしなくなる。
馬車から降りたジルさんは、門の鍵を解除し、軋む音を立てながら開けた。
ジル「ようこそ、俺たちの牧場へ。…いや、俺は出てったから兄貴の牧場だな」
私たちが調べたかった牧場。
そこは牛や豚、鶏の鳴き声一つない、生命が感じられない程静かだった。
拭い取れない違和感に声が出ないと、顔を引きつらせながらジルさんは重い口を開く。
ジル「…今から見せるのは、兄貴が死んでた場所だ。かなり酷いもんだ、勇気があるやつだけ見た方がいい」
そう言ってズカズカと歩いて行く彼を、私たちは追いかけるように歩く。
ふと、私は馬が気になって振り返ると、鳴き声も上げず、一歩も動かず、ただじっとこちらを見つめていた。
カゴメ「これは……っ?!」
般若「…ああ、酷ぇな」
阿形「うっ…俺、無理かも…」
案内された養豚場は、とても酷い有様だった。
鉄の柵は大きく曲がり、壁や地面には蹄で蹴られたような抉れた跡。
そして中央付近には、赤黒い血痕が大きく染み込んでいた。
隈取「やべぇな、人の仕業だとは思えねぇよ」
隈取くんがそう言ってる隣で、狐くんは鼻をひくひくさせながら血痕へ近づく。
狐「これは…」
カゴメ「狐くん?何かわかりますの?」
狐「ええ…何となくですが、魔物化した動物がいるみたいです。それと…僅かですが、他にも魔力のにおいが…」
ジル「…やっぱり、ただの事故じゃないんだな」
ジルさんは、ため息混じりに呟く。
ジル「頼む、俺の兄貴をこんな酷ぇ目に遭わした奴をとっ捕まえてくれねぇか?兄貴だけじゃねぇ、家族同然だった牛も豚も鶏もだ、この通り!」
そう言って、地面に頭を擦り付けジルさん。
正男さんのこと、牧場の動物たちのことをどれ程大切にしていたのかが痛いほど伝わってきた。
おかめ「わかりました。ジルさん、頭を上げて下さい。俺たちがなんとかしてみせます。いいよね?みんな」
般若「ああ、もちろんだ!」
隈取「犯人捕まえて、一発ぶん殴ってやる!」
狐「ええ、私たちに任せて下さい」
阿形「うん!絶対見つけてやる!」
カゴメ「ジルさん、安心して下さい。犯人を必ず見つけ出しますわ!」
私たちの言葉を聞き入れ、ジルさんは私たちに何度も「ありがとう」とお辞儀をした。
ジル「…今日はもう遅いから、ここで止まってくれて構わない。…俺は、しばらく宿に居ることにするよ」
宿までの距離を知った私たちは、ジルさんを一人で帰しても良いのか不安になった。
般若「日が暮れます、一人で良いんですか?」
ジル「相棒がいれば大丈夫だ。そんなことより俺は、ここに居たくねぇからな…すまねぇ、あとは頼んだ」
そうして、この牧場に私たち六人が残り、事件の真相を確かめることにした。