テラーノベル
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𝐚𝐭𝐭𝐞𝐧𝐭𝐢𝐨𝐧 .
✦ 二次創作 。
✦ 口調迷子 。
✦ 曲パロ要素 。
✦ VTA 要素 。
︎✦︎ 初投稿 。
地雷は 👋🏻゛
ご理解いただける方のみ 、 閲覧お願いします 。
「 」 小柳
『 』 星導
「 𝟎𝟎██ ___ . 」
これは 、 存在したかもわからない 、 知らない俺の物語 。
『 ぴょんも俺も、 もうすぐ卒業じゃん 。 』
空き教室 、 自習後の静かな雰囲気を切り裂くように 、
淡々とした声で告げる彼 。
アイスを咥えながら見つめてくるその瞳は、エメラルドグリーンで透き通っていた 。
彼の言う通り 、 俺らは今年で卒業 。
長かったような短かったような
でも、確かにここでした経験や学びは、ためになるものばかりだった 。
ふと気になって 、 彼に質問を問いかける 。
「 …そうだな。 星導は将来とか決めてるのか? 」
『 いや、特には…。 』
濁した回答をする彼 。 気まずかったのか
質問に質問で俺に返す 。
『 何、ぴょんは決めたの 、? 』
「 俺も特には決めてねぇけど 。卒業したらクラスの奴らと会える機会も少なくなるかもな。 」
数秒の間沈黙が流れる 。
どれほど時間が経ったのだろうか 、 星導が口を開く 。
『 俺やだな。 ぴょんと疎遠になるとか 』
彼から出てくる、弱々しく呟いた一言に俺は吃驚した 。
普段からふざけてて 、 一聞いたら十返してくるような奴が 、
珍しく弱音を吐いている 。
しかも 、 それが俺に向けた言葉だという事実を知り 、 うれしくなってる自分がいた 。
「 はは、 笑 めずらしくね? お前がそんなこと言うの 。 」
『 だって、ぴょんは… 』
「 俺は卒業しても 星導とは疎遠になる気はねぇけど? 」
俺の思っていたことを少しぶつけてみる 。
実際星導と疎遠になる気もないし 、
これから話したいこととかやってみたいことだって
たくさんあるのも 、 紛れもない事実だ 。
『 ほんと…、? 』
「 そこで嘘つくと思うか? ホントだわ 。 」
『 ふふ、そっか 。 じゃあいいか 。 』
「 星導は、 俺から離れない? 」
『 何その聞き方重くない? 』
『 離れるわけないじゃん 。 ずっと一緒ね 』
満足気に微笑む彼 その姿は自分によくわからない感情を与えた 。
ずっと一緒 。 その言葉が 俺を安心させた 。
『 じゃあ、俺もう帰るね 。 』
椅子から立ち上がり 、 支度をする姿を見て少し名残惜しさを感じる 。
『 ぴょんも早く帰るんだよ 』
『 また明日 。 』
「 ん、 また明日な 。 」
『 あ、あとぴょん 。 俺の事 忘れないでね 、 。 』
「 …、? 」
明日が痛快になってしまう魔法の言葉をかけて 、
彼は手を振り 、 踵を返して 俺に背を向けた 。
〝 忘れないでね 〟 その言葉の意味はあまりよくわからなかったが 、
俺はその背中を見えなくなるまで見送った 。
︎✦︎
その日から 何かがおかしくなった 。
学校に行っても 、 星導は居なかった 。
欠席なんかじゃない 。
アイツの机も椅子も名前もない 。
それどころか クラスの奴らも 。
誰もアイツの存在を覚えていなかった 。
俺だけが唯一覚えていた 。
星導のことを聞いても 、
〝 知らない 〟と答える 。
元々何もなかったように不自然に空いた教室の空間 。
それでも何事もなく接してくるクラスの奴ら 。
幻想空間に居るような感覚だった 。
俺は何が起きたかわからなかった 。
メッセージもあれからずっと既読がつかない 。
星導の家は 空き家になっていた 。
鍵が空いていたのでひっそりと中に入ると 、
俺がよく遊びに行ったあの部屋は寂しいほど静かだった 。
そんなわけが無いのに 。
昨日まで隣で笑っていた彼の存在が虚像になる 。
これは現実では考えられない事だった 。
あれからどれほど月日がたったのだろう 。
『 俺の事 忘れないでね 、 。 』
あの言葉がひどく頭にこびりつく 。
考えれば考えるほど悪い方向に物事を考えてしまって
「 …星導 、なんでだよ …… っ 」
どこに向けるでもない問いが 、
夜の静寂に溶けて消えていく 。
誰も答えない。誰も知らない。知っていたのは俺だけだった。
俺だけが 、覚えてるのに 。
それが、苦しかった。
ポケットに入れていたスマホを取り出す 。
開くたびに、止まったままの画面が映る 。
あの日送ったメッセージが、既読のつかないまま浮いていた 。
『 明日も、学校で 。 話そうな 。 』
送ったのは、あの日の夜 。
「 また明日 」と言葉を交わしたあと 、
アイツが見えなくなる直前 、
何か引っかかって つい送ってしまったひとこと 。
そのひとことが、ずっと帰ってこない
呼吸の仕方がわからなくなる。
胸の奥が、ぐちゃぐちゃに絡まって、解けない。
「 なんで… 、なんで勝手に いなくなんだよ … 」
視界が滲んで、スマホの画面がよく見えない 。
手が震える。
わかってる。どうしようもないことだって 、
でも、それでも、
「 俺だけ覚えてんの、 ずるいだろ 、…っ 」
声が割れていく。堪えきれなかった 。
目から、 熱い雫がこぼれ落ちて 頬を伝って、膝に落ちた 。
泣きたくなんてなかった 。情けないとも思ってた 。
でも 、
「 …忘れねぇよ、 そんなの 、… 忘れられるわけねぇだろ 」
堰を切ったように涙が零れる。
嗚咽まじりに呟きながら 、
ひとり、夜の部屋で声を殺して泣いた。
アイツが残した、たったひとことの魔法を 、
今も、胸の奥で何度も、何度も反芻しながら 。
その願いだけが、唯一の救いのように 、
ずっと、俺の中で生き続けていた 。
︎✦︎
あれから 、何事もなかったかのように卒業式は行われた 。
空はやけに晴れていて 、
みんな笑って写真を撮っていたけど 、
俺の隣には 、あいつの姿はいなかった 。
返ってこないことは分かってる 。
でもそれでも、どこかで信じてたんだ 。
卒業式の日、ふらっと現れて
「 ぴょん、来たよ 」とか言って笑ってくれるんじゃないかって 。
…けど、それもなかった 。
それからの日々、俺はずっと、
星導に語りかけながら過ごすようになった 。
起きて、ベッドの天井を見ながら言う。
「 おはよう︎星導 。 今日、晴れてるぞ 。アイス日和じゃね? 」
駅まで歩く途中、イヤホン片方外して言う 。
「 やっぱこの曲、お前が言ってた通りだったわ 」
部屋に戻ってきたら、スマホを置いたまま、ぽつりと呟く 。
「 …今日も来てなかった 」
返事なんて、あるわけない 。
既読がつくわけもない 。
でも、それでも俺はやめられなかった 。
今でも毎日 、アイツのメッセージ画面を開いてしまう 。
履歴の中で一番上に固定してある
「 星導 」の名前を 、タップする 。
いつか奇跡みたいに、既読がついてないか確かめるために 。
でも画面は、何も変わってない 。
『 明日も、学校で 。 話そうな 。 』
それだけが 、そこにずっと残ってる 。
削除もできないし 、見ないこともできない 。
これを消してしまったら、星導が本当に居なかったことになる気がして 、
俺はこの画面を今日もまた、指でそっと撫でるしかできなかった 。
「 …なぁ 、星導 。 お前さ 、今どこにいんの 」
言っても届かないことくらい、わかってる。
でも、それでも、言わずにいられなかった。
「 …お前が居ねぇと、 俺、だめだわ 」
時間だけが進んでいく。
周りは新生活に浮かれていて、俺ひとりだけが取り残されてるみたいだった 。
言葉にできない悲しみが 、ふとした瞬間に押し寄せる 。
あのアイスの味も 、あいつの声も 、笑い方も、
ぜんぶ、思い出すたびに痛くなるくせに、何度も思い出してしまう 。
どこかで希望を信じてる自分がいて 。
︎✦︎
君は現れた 。
買い物に出かけた時 、
レジ前の行列に並んでいた俺は 、ただ何気なく前を見ていた 。
何も期待していなかった 。
何も、思い出すはずがなかった 。
けれど
『 袋、いらないです 。 』
悲しいくらい、よく知っている声だった。
レジの前に立っていたのは、一人の男 。
さっと小さな飲み物とアイスを受け取って、店員に軽く会釈している 。
その後ろ姿。肩のライン。髪の揺れ。
そして
声の響きが、あの時のままだった。
鼓動が速くなる 。
……まさか 。そんな 、わけがない 。
でも 、俺の足は勝手に動いてた 。
「 ……ほし、るべ?、 」
思わず声に出していた。
男が振り返る。
その顔を見た瞬間、呼吸が止まった。
星導 、 こいつは間違いなく星導晶だ
あの日と同じ 。俺だけが知ってる あの目をしている 。
『 ……? 知り合い、ですか? 』
男が困ったように眉を下げる 。
まるで、本当に知らない人を見るように 。
同じくらい よく知ってる顔だったから 。
その言い方も、顔の作りも 。
現実がぐらぐらと揺れていた。
その声が、風に揺れてやさしく耳に残った 。
俺のことは覚えてない 。
けど 、 あの日あの時 君にやるべき事があった気がして 。
君の記憶が 戻ってしまえば 。
俺はまだ、諦めきれていなかった 。
本当はずっと一緒にいたいんだよ 。
この人が、ただの “ 他人 ” であっても 。
それでもきっと、会うべきだったんだと 、胸が確かに言っていた 。
そうだよ 星導 お前に
恋したんだ 。 おいていくなよ 。
もう 、 忘れさせねぇから 。
大好きだよ 。 星導█ 。
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