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knkz
葛葉:友達
叶:好きな人
⚠︎︎下手注意
昔から、自分は壊れていると思っていた。
きっかけなんていくつもある。
人に裏切られたことも、逃げ場のない家の中で息を殺していた夜も、思い出そうとすれば脳に住み着いている記憶がよみがえってくる。
だからもうどうでもよかった。
人を信じなくていい。
笑えてればいい。
ただ”普通”でいれればいい。
そうやって”自分”を隠してきたんだから。
喜びも怒りも悲しみすら、雨に流されたかのように、薄れていった。
それでも、涙だけは時々勝手に出てくる。
理由もなく、ただ、俺の目からこぼれ落ちる。
叶「葛葉?」
名前を呼ぶ声が聞こえ、現実に引き戻される。
西日が差し込む静寂な事務所の控え室。
ソファに座ったまま、ぼーっとしていたらしい。
目の前には、少し眉を寄せた叶がたっていた。
葛葉「何…?」
叶「”何”じゃなくて聞いてた?」
葛葉「聞いてた…」
叶「絶対聞いてないでしょ!!」
即答されて、僅かに視線を逸らす。
こういうところが面倒臭い。
適当に流してくれればいいのに、叶は本当に感のいいやつだ。
葛葉「……ちゃんと聞いてたけど?」
そう言って、口角を持ち上げる。
鏡の前で今まで作り上げてきた、昔からの癖みたいな笑い方。
俺はそれが憎くてしょうがない。
叶「…その笑顔毎日思うけど変」
葛葉「は?」
叶「その顔無理してる時の顔だよ」
一瞬、言葉が詰まる。
葛葉「……そんなわけねぇだろ」
叶「してるよ…」
叶の言ったことは、図性だった。
でも、バレる訳にも認める訳にもいかない。
葛葉「うるせえ…」
短く吐き捨て、視線を落とす。
それ以上俺の境界線に踏み込まれたくなくて、会話を切るように。
けれど__
叶「ねぇ」
逃げる隙もなく、名前を呼ばれた。
叶「僕の前でくらい本当の葛葉でいて…」
俺には、その言葉の意味がわからなかった。
葛葉「……っなにそれ」
叶「そのまんまの意味」
葛葉「本当の俺ってなんだよ」
葛葉「今の俺も本当の俺だよ?」
俺は少し狂ったかのようにクシャッと笑う。
叶「そんなことわかってる…」
叶「ただ、無理してまで笑わないでってこと」
胸の奥が、急にズキズキと痛みだす。
葛葉「意味わかんねぇ…ッ」
わざと、突き刺すような言葉を言う。
叶「わかるでしょ 」
葛葉「わかんねぇって言ってんだろ…!」
少しだけ怒鳴った声に、空気が静まり返る。
200
それでも叶は、引かなかった。
叶「じぁいいや!」
あっさりとした声で言う。
叶「僕が勝手にそう思ってるだけだから」
そしていつも通りの顔に戻った。
踏み込んでるくせに、無理やり入ろうとはしない。
その距離感が、余計に厄介だった。
──理解されたくない。
でも、理解されないのは苦しい。
そんな矛盾を、ずっと抱えている。
_夜の帰り道_
夜の空気は、少しだけ冷たくて冷えていた。
叶「送ってくよ」
葛葉「別に子供じゃないし…」
叶「顔色が悪い人に言われても説得力ない」
後ろを歩く足音が離れない。
葛葉「ほんとしつこいんだけど」
叶「うん、僕はしつこいよ?」
葛葉「……チッ」
あっさりと認めるその態度にムカついて、思わず舌打ちをする。
葛葉「……なんで」
ぽつりと言葉が零れた。
叶「ん?」
葛葉「なんで、飽きもしないで俺に構うんだよ」
自分でも、こんなこと聞くつもりはなかったのに、何故か聞きたくなってしまった。
叶「構ってるつもりはないけど?」
葛葉「嘘つけ…」
数分の沈黙。
叶「……じゃぁ、気になるから、、」
軽い口調のはずなのに、その言葉だけが妙に引っかかった。
葛葉「…」
叶「放っておいたら、どっか遠いところに言っちゃいそうで怖い 」
心臓が、また僅かにズキッと痛む。
葛葉「……別に、どこも行かねぇよ… 」
叶「そう?」
葛葉「…多分な」
叶「”多分”なんだ…?」
叶「それより早く帰ろ」
葛葉「ん、」
暗いところや夜道はあまり好きじゃない。
静かになると、過去が近づいてくるから。
逃げ場の無い記憶が、 何度も繰り返され、
押しつぶされるみたいに、息が苦しくなる。
──あの時と同じだ。
そう思った瞬間、視界がグラッと歪んだ。
葛葉「ッ、はっ……」
呼吸が上手くできない。
胸が締め付けられているように苦しい。
叶「葛葉?」
名前を呼ばれても、呼吸が乱れて返せない。
叶「ちょ、待って大丈夫じゃないよね?」
腕を掴まれる感触。
それだけで、体がびくりと強張る。
葛葉「…触んなッ……」
絞り出した声は、自分でも驚くほど声が震えていた。
怖い訳じゃない。
ーーいや、違う。
“怖い”んだ。
触られることが、過去と重なる。
叶「ごめん…」
すぐに俺の体から手が離れる。
叶「ここ、座れる…?」
静かな声。
無理に近づかない距離。
それが俺にとっては安心できた。
葛葉「…… 」
答えられないまま、その場にしゃがみ込む。
叶「ゆっくりでいいよ。深呼吸しながらね。 」
葛葉「すぅ〜はぁ〜ー…」
言われた通り少しずつ呼吸を整える。
葛葉「……ごめん」
叶「なんで謝るの? 」
葛葉「だってめいわk_」
叶「迷惑なんてかけてない。 」
当たり前みたいに言われて、言葉を失う。
葛葉「…怒んねぇの?」
ぽつりと、言葉が零れる。
叶「なにに?」
葛葉「……」
何も言わずに人差し指を自分の方に向けて自分を指す。
叶「怒る理由なんてある?」
本気でわからない、という顔。
葛葉「……」
俺は何も言えなくなる。
だって怒られると思っていたから。
飽きられると思ったから。
それが”普通”だったから。
でも、こいつは違う。
葛葉「……変なの、」((クスッ
思わず小さく笑ってしまった。
叶「よく言われる、w」
同じように、軽く笑い返される。
その瞬間、ほんの少しだけ。
凍っていた何かが、緩んだ気がした。
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見てくださってありがとうございました!!
ノベル初心者なので書き方わかってないです。
読んでるうちに書き方が変わるかもしれないですけれど気にしないで読んでください。
もしかしたら間違ってるところもあるかも
(名前あった方が読みやすいですよね?)
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