「夏と涙」
私の名前は、柚菜。私は、好きな人がいます。名前は彗(けい)
優しくて、毎日笑顔で、面白くて。みんなから好かれるような存在です。
私は、その子とはいわゆる幼なじみで、家も近く、よく一緒に学校に通って居ます。
でも、彼の家からは毎日のように暴言が飛び交い…
でも私には何も出来ませんでした。
それでも、毎日毎日、笑顔に振る舞い、そんな彼に惹かれる子達がたくさんいます。
今日も、校舎裏に呼び出されていたし、
そして、今日は終業式、一学期が終わって夏休みに入る。
私は突然誰かに名前を呼ばれた。
「柚菜!」
柚菜「彗?どうしたの?」
彗「あのさ!8月14日のお祭り!一緒に行こーぜ!」
柚菜「え、なんで私…?」
彗にはもっと色んな人がいるのに、なぜ私なのか、気になった。
彗「そんなん、一緒に行きたいと思ったからに決まってんじゃん…//」
ドキッ
私は、自分の鼓動が早くなっていることに気が付いた。
柚菜「え…」
彗「で、この日空いてる?」
柚菜「空いてるけど…」
彗「じゃあ、一緒に行こ」
柚菜「あ、うん分かった…」
なんでこんなことになったのかはよく分からない。
でも、好きな人と一緒に夏祭りに行けるなんて思ってもいなかったため、とてもその日が待ち遠しい。
でも、事件は唐突に起こった。
彗が死んだのだ。
ボールを取りに行こうとして道路を飛び出た男の子を庇い、自分が代わりに引かれてしまった。
私は、なんで彗がこんな目にならないといけないのか分からなくて、神を恨んだ。
でも、優しくて放っておけない彼に似ているなって、思った。
もう彼は戻って来ない。
私の記憶の中にはしっかりと、彼との時間が記憶されている。
一緒に遊んだ時間、毎日同じ道を一緒に歩いて帰った時間。
沢山の記憶に刻まれた彼との時間が、ずっと頭から離れず、一晩中泣きじゃくっていた。
まだ、お祭りも一緒に行けていないのに…
柚菜「なんで、彗なのっ…優しすぎるよ…泣」
こんなこと言っても彼に届くはずがないのに…
「ごめんね柚菜。祭、一緒に行きたかった…」
え?今、彗の声が…
柚菜「彗っ?彗、いるんでしょ?いるなら返事してよっ… 」
いるはずも無いのに、彗の事を呼んでしまった。
こんなにも私は彗の事が好きだったんだ…
彼の気持ちは分からない、でも少し照れたあの日の彼の顔は一生忘れる事は無いだろう。
でも、私はその数日後、鬱病を起こし、体を壊し、この世を去ることになった。
初めて、違う世界にやってきた。
もしかしたらこっちの世界には彗がいるかもしれない。
でも、探そうにも老人ばかりで見当たらない。
諦めようとした瞬間…
「柚菜?」
聞き覚えのある声が聞こえ、振り返ると彗が立っていた。
久しぶりに会う彗を見て、私は自然と涙が零れてきた。
柚菜「彗…っ、なんで、先に行っちゃうの…」
彗「ごめん、柚菜…本当は一緒にお祭りに行って、言おうと思ってたんだ…俺と付き合って下さいって。 」
柚菜「え…」
彗「でも、言えなかった…」
柚菜「ほんと、に?私の事好きだったの…?」
彗「もちろんだよニコッ」
私は彗の笑顔を見た瞬間もっと涙が出てきてしまった。
柚菜「会いたかった…」
彗「ごめんね…」
柚菜「私も、彗の事大好きだったよ…」
彗「あ、え…?泣」
久しぶりにみた彼の泣き顔は、光に照らされとてもこの世のものとは思えないほど、綺麗で美しかった。
もう、この恋は叶わないかもしれない。
でも、来世でも彼とまた出会えることを私は毎日願っている。
ℯ𝓃𝒹
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