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#闇ノシュウ
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#Mysta Rias
( '×' )
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妊娠・出産のパロディです。
苦手な方はお控えください。
ルカさんとシュウさんのお話です。
現実と異なります。男性は妊娠しませんし、作者は妊娠や出産についての知識もございませんので、完全なるフィクションとして、お楽しみください。
まだシュウのお腹が大きかった頃の話。
秋も終盤の夜、予定日の1週間前。
ルカとシュウは、夕飯の二人でゆっくり過ごす時間を大切にしてた。
今赤ちゃんが蹴ったよ、とかショッピングサイトでコレ可愛いね、とか。
赤いブランケットを二人で半分して、部屋の明かりを暖かくして、話していた。
3人でクラスにはちょっと狭い部屋。小さな窓から、満天の星空が2人を覗いていた。
「もう少しだね」
ルカはシュウのお腹を撫でた。
「そうだね」
少しの不安と大きな期待を秘めた頬。そっと口付けた。
シュウは目を見開いていたけど、ルカはそんなシュウに笑顔を見せた。
「俺、洗濯してくるね」
ルカはそう言って離れた。
キッチン横の洗面台、洗濯をしながら、今日一日のことを思い返していた。
今日は、入院に必要な道具をカバンに詰めた。
シュウは途中で寝ちゃったけど、クローゼットに眠っていた懐かしい写真を見て、ルカはなんとも暖かな気持ちになった。
そして、忘れ去られていた服や小物を洗うのだ。
懐かしい気持ちのまま、洗濯機のスイッチを押した。
ゴゴゴゴと動き出した洗濯機のすぐ後、シュウはルカを呼んだ。
「んー、多分破水したみたい。病院に電話したんだけど、来てくださいって」
…。!?
シュウは冷静に報告した。それは、ルカを必要以上に驚かせないようにするためだった。
でも、ルカはシュウ以上に驚いていた。
「え、え、え?い、い、今?」
「OK、OK、OK、落ち着こう、落ち着こう、病院に行こうか」
この慌てっぷりがシュウの不安や緊張を少しだけ和らげた。
「うん、お願い」
車中、シュウは苦しそうにしている時間が多かった。うめき声と強く握られたブランケットから、その痛覚をルカは感じる。何かしてあげたい。代わってあげたい。でも、何もしてあげられない。そルカは、かける言葉を迷いながら、不安そうな目でシュウを見た。
「シュウ…。大丈夫、大丈夫。大丈夫?大丈夫だよ」
自分に言い聞かせているのか、シュウを励ましているのか、シュウの額には汗が滲んでいた。
ルカのハンドルを握る手にますます力が入った。
病院に着くとすぐに診察が始まる。ルカは立ち入りが許されなく、シュウも赤ちゃんも無事でいるように願った。待合室から見える満天の星空に。
しばらくして、医師と看護師がルカの元に来た。
「落ち着いて聞いてください。赤ちゃんに胎児機能不全の症状が見られます。胎児機能不全とは、出産時に赤ちゃんの呼吸が苦しくなってしまうことです。今、赤ちゃんが下がってきていますが、臍の緒が巻きついてしまい、呼吸が苦しくなっています。非常に危険な状態ですので、緊急帝王切開が必要です。」
ルカの頭は真っ白になった。血の気が引き、顔が引きつっているのが自分でもわかるほど。
そして、追いついた現実に涙が滲んだ。
「…お願いします。2人を助けてください。」
震えた声で、大きな声で、先生に頭を下げた。
医師は頷き、「分かりました。最善を尽くします。」と。
看護師に連れられ、ルカは様々な書類にサインをした。
手術室前、ルカは祈るばかり。
このランプが消えたあと、2人に会えるように、と。
時計も回り、星も月も位置を変える。
ルカは1人、暗い廊下で涙を流した。
痛っ…。
それが起きた時の感想だった。何も無いようだ。栄養も重さもダルさも本当に何も無いように感じられた。
シュウは、昨日のことを思い出した。
…生きてる。赤ちゃんは、生きているだろうか。
不安で胸がいっぱいになった。
その時、足音が近づき、カーテンが開いた。
「おはようございます、目を覚ましたんですね!」
若い女性の看護師が目を潤ませて言う。
すかさずシュウは聞いた。
「あの!赤ちゃんは?」
「無事産まれましたよ!」
シュウは安堵の涙を見せた。シュウは子供がそんなに好きじゃなかった。
でも、ルカと出会ってこの人と生きていた証を残したい、…子供が欲しいと初めて思えた。
シュウの夢がまた一つ叶った。
そんなシュウを見て、看護師さんが言った。
「検索とか色々しなきゃいけないんですけど…、先に赤ちゃんに会いに行きますか?」
シュウは食い気味に答えた。
「行きます」
体を起こすのにも、切った後が酷く痛み、1人じゃ起ききれなかった。
看護師さんに手伝ってもらい、車椅子で移動した。
新生児室の前に着いた時。
「ここからは歩いて行きましょうか」
にこやかな笑顔で言われた。
無理だろ。これは。歩くのは。
看護師の言葉を疑ったが、優しさに溢れた笑顔で言うので、痛みに耐えながらも一歩、一歩、ゆっくり足を進めた。
新生児室に入ると、見慣れた金髪の男がいた。
ルカだ。
ルカはある保育器を覗いている。
先に声を掛けたのは看護師さんだった。
「ルカさん、シュウさん、目を覚ましましたよ」
ルカは勢いよくこっちを振り向き、潤んだ瞳でシュウを見た。
「…シュウ!」
すごい勢いで抱きついてきそうだったので、釘を刺す。
「待って!全身痛いんだ。」
ルカはハッとし、しゅんとする。
「…ハグはダメ?」
そんな姿を見て、今更かもしれないけど、不安になった。
「…優しくして」
ルカは今までにないくらい優しいハグをした。
そして、涙声でゆっくり呟いた。
「シュウ、ありがとう。赤ちゃん産んでくれて。生きててくれて。ありがとう。ありがとう!」
ルカはたくさんのありがとうをシュウに伝えた。シュウは頷きながら、ルカに体を預けた。シュウもまた、たくさんのありがとうをルカに伝えた。
そして、シュウも保育器を覗いた。
保育器に指を入れた。
小さな命がそこにある。
その命はシュウの指を握った。
暖かな体温に触れ、シュウは泣き出してしまった。
何の涙なのか、分からない。
安心したのか、喜びなのか、感動なのか、愛おしさなのか。
でも、確かなのはこの感情は暖かい。
心の奥を満たしてくれる。
この先、どうなるかなんて分からない。実際自分もこの子に会えるかわからなかった。でも、信じていれば、信じてくれる人がいれば、きっと大丈夫。
そう思える人に出会えた。
この日は2人にとって、かけがえのない日になった。
朝焼けの色の中に輝く命がそこにあった。
コメント
1件
うわあ……一気に引き込まれました。妊娠・出産をテーマにしたBLスピンオフ、というだけで既に尊いのに、ルカさんの慌てふためく姿とシュウさんの冷静なようでいて不安を抱える描写が丁寧で、胸がぎゅっとなりました。 特に、手術室の前で一人祈るルカさんのシーン、そして「ありがとう」を重ね合うラストの温かさに涙が出そうです。小さな命がシュウの指を握るシーンも、最高に美しかったです。素敵な作品をありがとうございます!