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こちらで、本作品は終了となります! 最後まで読んでくださった方、ありがとうございます!! 続きが出るのが遅いなど、多々不満はあったかとは思いますがお気持ちに添えた作品であることを願っています。
莉犬ver
誰か、泣いているの?
そこにいるのは、誰?
遠くで誰かが俺を呼んでいる気がする。
まぶたは重くて開かないのに、耳の奥に柔らかい声が届く。
ひそやかに、でも確かに、俺の名前を呼んでいるような気がした。
あの日から、俺は目がさませない。
目は覚めていないけれど、声は聞こえる。
さとちゃんと、ころちゃんが何かを話し合っているみたい。
俺のこと、まだ見捨ててないんだね。
正直、だいぶあの時は精神がまいっていたから
自暴自棄になってあんなことをしてしまったけれど、
今になっては後悔だけが募っている。
まぁ、そんなの意味ないんだけれど。
ん、冷たい。
なんだろう。
何かが頬を伝う感覚がする。
俺、タヒんだのかな。
亡くなった人って冷たくなるっていうし…。
まぁ、そうだよね。
生きているかも怪しいんだもん。
そりゃあ、そうしたくもなるよね。
るぅと「莉犬?」
るぅと「ずっと気づけなくてごめんね」
るぅと「相方失格だね」
るぅと「でもね、会えて嬉しいよ莉犬」
るぅと「莉犬?また、話したい」
るぅと「またゲームしようよ」
るぅと「莉犬…莉犬ッ…ポロポロ」
あーぁ、ついに幻聴まで聞こえちゃう
ようになっちゃった。
やっぱり…そうなんだろうなぁ、
思ったより、あっけない人生だったな。
まぁ、ある意味濃かったのかな。
きっと俺は元々、生まれるはずじゃなかった
生き物だったのだから。
こんな終わり方だって仕方ないような気がする。
「あんたなんて生まれてこなければやかった」
お母さん、良かったね。
ついにお母さんのお願い叶ったね。
ほんとうはね、いっぱいいっぱい伝えたいことあったんだよ。
辛くて辛くて仕方なかったんだ。
毎日、性別のこと家庭のこと学校のこと。
ずっと悩み続けてたんだよ。
でも、大人になっていろんな世界を知ったんだよ。
この世界には、クリエーターって人がたくさん居てね、あの時は想像できなかったやうな
仕事が沢山あるんだよ。
手術もして、最低限俺はなりたい俺になれたんだ。
ほんとうはね、もう少しやりたかったけど。
愛してくれたあの子達との約束はやっぱり破れなかったんだ。
一生守るって。
ずっとずっと愛し続けるって。
だからね、俺自分の声を守り続けたんだ。
今、何百人ものリスナーさんが居て、俺達を沢山沢山愛してくれるんだ。
もちろん、それってスタッフさんだとか、
なーくんだとか色んな人の頑張りもあるけどさ。
でも、1番頑張ったのは俺だと思うんだ。
どう?かっこよかった?
俺、最初はお母さんをこのステージに絶対
呼ばないって思ってたの。
でもね、きてくれた時嬉しかった。
褒めてくれたら、より一層嬉しくて。
おうち帰ったら嬉しくなって泣いちゃったんだよ。
ななもり「莉犬くん、一緒に頑張ろうよ」
ななもり「俺は、君を置いてかないよ」
ななもり「ずっと待ってるからね」
ななもり「俺は莉犬君のこと信じてる」
あー、やっぱりこれ走馬灯なのかな。
もうお別れなんだなぁ、。
そんなことを思うと心がぎゅってなって、
涙が溢れそうになったんだ。
さとみver
本当に悪かったと思う。
あの時止められれば、今俺たちはこの場にいない。
莉犬も今まで通りに笑って暮らせてたはずなのに。
莉犬「ッ…」
気が付けば莉犬の目からは溢れるばかりの涙が溢れていた。
るぅと「莉犬!?莉犬!?」
そんな莉犬を見て、るぅとはずっと莉犬の名を呼び続ける。
思わず俺もそんなるぅとを見て声をかけてしまう。
さとみ「莉犬ッ莉犬、悪かった」
さとみ「俺あの人から、もうお前のこと」
さとみ「しか考えられない」
さとみ「お前を忘れられる日なんて、」
さとみ「なくなったんだよ」
さとみ「俺、また莉犬と飲みたい」
思ったことを口に出せば出すほどに思いは溢れて、涙が出る。
顔がぐしゃぐしゃになることなんて、お構い無しに莉犬にずっと叫び続けた。
莉犬「さ、と、」
うっすらと目を覚まして、そっと口を開いて話す君。
その姿は懐かしくて、愛おしくて、…」
さとみ「莉犬…!!!」
ななもり「莉犬君、わかる?」
ころん「莉犬君、おはよう…ポロポロ」
ジェル「心配かけさせんでや…笑」
るぅと「莉犬ッ…莉犬ッ…」
るぅと「莉犬起きたの?」
るぅと「莉犬?」
莉犬「るぅ、ち、ゃ、」
莉犬「あり、がと、」
莉犬「さ、ちゃ、あり、ぁと」
莉犬「じぇ、ぅ、く、ぁり、がとぉ」
莉犬「なー、く、ぁり、がと」
俺は涙を拭きながら、
震える手でナースコールを押して医者を呼んだ。
これは奇跡だと、医者が言った。
もう、体に異常はないのだと。
そう教えてもらった。
莉犬は起きた後またすぐ寝ちゃったけれど、
次の日行った時にはもうピンピンに起きていた。
それからは、体力作りでみんなで走ったり、
莉犬を誉めあったり、とにかく皆んなでいるようにした。
〇〇
あと何回、君に会えるかな。
そんなの考えたくもないけれど、
はじまるがあるということは終わりがあるということだから。
一瞬の時間も取りこぼさないように、
壊れないように、大切に抱きしめたい。
君が好きだよ。
愛してる。