こんにちはー。主です。
最近、タブレットメインで執筆していて投稿が億劫になっていたのですが、今日タブレットの方でログインできたので嬉しいので連投してます!笑
ほんとに妄想の垂れ流しなので温かい目でご覧ください。最近は投稿が少なくてお待たせしたと思うので、楽しんでもらえると嬉しいです。
それでは本編、どうぞ。
tn.side
あれからどれほど時が経っただろうか。ぐるさんが「少し休みを取る」とだけ言って出かけてしまったあの日から。少し、と言っていたし、大して時間もかからないだろうと思っていた。にも関わらず一か月が経とうとしている。さすがに国の運営が滞り始めたとき とある手紙が来た。「お前らは薄情だ。総統がこんな目にあっているというのに誰も助けに来ないんだな。」その文とともに写真が入っていた。あいつは縄でしばられ膝をつく、似合わない格好をしていた。凛々しく美しいあいつには似合わない。似合ってはいけない、させてはいけない。その写真一枚で心の底から腹が立った。この一か月、俺はどんな気持ちで総統代理をしていたか。あいつらはどんな不安を抱えて仕事をしていたか。グルッペンは、どんな気持ちで、「休みを取る」と言ったのか。なぜ俺を、頼らなかったのか。俺はお前の頼れる右腕じゃなかったのかよ。そんなガキみたいなことを思う。この写真一枚でどこにいるかは大体把握できた。地下牢のような場所だから特定はできないだろうと考えたのだろうが、俺はこの国に定着する前はいろんな土地を巡っていた。わからないわけがない。一番性悪で、国の統制がなっていない、恐怖政治を行う屑の国。権力がすべての俺が一番嫌いな国だ。
tn 「大先生、ロボロ、これからG国に行ってくる」
廊下を出て、広間にいた二人に声をかける。急にそんなことを言い出すからか質間攻めにされた。
ut「なんでそんなこと言い出すん」
「お前あの国嫌いやん」
大先生の顔は少しやつれていて、隈がひどい。ぐるさんは俺たちの絶対的リーダーで、大切な仲間だ。そんなやつが消息を絶ったらこうなるのも仕方ないだろう。俺も寝れていないわけだし。もちろん、飯は作って出しているけど食べられているのは半数ほどだ。大先生は俺の次に、ぐるさんとの付き合いが長い。こいつも相当心配なのだろう。ロボロも言葉は発しないものの、驚きと不安を隠せないようだ。
rbr 「もどって、くるんだよな、」
「お前は、戻ってくるよな」
tn「グルッペンを取り返してくる」
「お前らも、準備できたら追いかけてこい」
ut「場所、わかったんか、」
喜ぶ元気もないし、敵国に乗り込む気力も残ってないのは確かだ。
あそこは狂った軍人が多い。いきなり突っ込んで、俺が勝てる可能性はまぁ低い。でも、俺は今すぐ行動したい。この一瞬のうちにもぐるさんが痛めつけられていると思うと暴れ出しそうだ。二人とも死なない可能性なんてわからない。生還できるかなんて考えてない。
tn「生きて帰れるかはわからない、二人とも生きて帰るのはほぼ希望論だ、でも、俺はじっとしてられない」
ロボロと大先生の前に写真を出す。二人とも当たり前に言葉を失った。二人の拳は震えていた。怒りが大半だろう。この写真を見て喜べる奴なんていない。
tn 「今、一緒に来ても全滅するだけや、準備して、覚悟して、そのあと合流しよう」
それだけ言って城をでた。G国はここから約二日の距離にある。今の俺がどれだけのポテンシャルを持っているかはわからないが、以前の俺なら三時間あればつくはずだ。まずは冷静に自分を分析しながら歩こう。いきなり走るといざという時の体力が心配だ。えっと、まず睡眠は二週間前からまともに取れていない。食事は三週間前から。戦闘訓練は一週間前からやっていない。それで..筋力の衰えは感じないが体力は少なからず落ちていそうだ。まず城から出るのも久しぶりだ。勝率は47%ほどか。よし、ここから走ろう。計画なんて立てていない。勝機がどこにあるかなんて着かないとわからない。なんとも言えない状況だ。ただ俺が願うのは、我が総統の無事だけだ。走り始めて四時間ほど。やはり体力は落ちていて、到着時間は予定と少しずれた。門の近くの林から様子をうかがう。いくらこの国に来たことがあるとはいえ、滞在時間は三週間ほどだったし二十年以上前のことだ。場所が分かったっていうのも大幅な範囲が分かっただけ。この国の一番の特徴は、国の周りを壁が囲んでいること。出入りを大幅に制限し、外界と触れ合えなくし、この国が一番いい国なのだと錯覚させる。だから、政治がうまくいくわけだ。俺はその壁を利用する。壁の厚さは5mから8mほど。人が歩くのには十分だ。外周をぐるっと回っていれば記憶と一致する場所が見えるだろう。
mb「敵だぁぁぁ」
tn「っ!」
思ったより早かったな。見える敵は二十人弱。すべて男性であり、武装は剣、銃の二種類。インカムと同じ仕組みの連絡機器を持っているようだ。
冷静にものを見つつ、国内の環境も見つつ、敵をさばく。さすがにブランクありでこの大人数を相手にするのは骨が折れる。右わき腹に刺し傷をもらったがなんとかできた。全員が気絶したとき、刺さったままのナイフを抜いて連絡機器を拝借し一言。
tn「制圧完了しました、応援を呼んだのですが、引き返していただきたいです」
mb「了解した、ご苦労」
こんな簡単に騙されていて大丈夫か、この国の警備。まぁ、いい。ぐるさんの居場所は分かった。
rbr『とんとん、今どこにおる』
tn「おお、意外と早かったな」ゴホッゴホッ
むせた勢いで傷から血があふれる。これ以上失血すると動けなくなる。
rbr『大丈夫か』
tn「そこまで心配しなくてええよ」
「場所は、外壁の上や」
「門の入り口を正面に見て一時くらいのところにいる、グルさんは俺がいるところの足元の集落にいると思う」
「先行ってる」
rbr『え、ちょ!』
ロボロの静止を無視し、外壁から飛び降りる。およそ10mからの落下。普通の人間なら間違いなく死ぬ高さだ。俺らの国の幹部は、全員これくらいはできるように訓練した。
さて、乗り込もうか。目星をつけていた家に入る。内装を見て、それは確信に変わった。国の中で外装の決まりはあるようだったが内装はそれぞれだったことは特殊な仕組みだったのでよく覚えていた。近くの階段を下りていけば徐々に話し声が聞こえてくる。
「ほんとに可哀想だね、まだ誰も迎えに来ないじゃないか」
「そんなこと関係ないだろう」
「俺たちは君の右腕くんに興味があるんだよ」
「早く来てもらわないと」
「興味、といいつつずっと殺したそうな顔をしているように思うが?」
「この生意気な」
もう片方の声は見知らぬ声だったが、残る声は、低いバリトンボイス。気品のある強気な喋り方。間違いなくぐるさんの声だった。気が立ちそうだったのを落ち着かせる。音のならないように、気づかれないように気配を消し、ドアへ近づく。ドアへ耳を寄せれば中の音が鮮明に聞こえる。
gr「ッ、くっ、」
どうやら先ほどの煽りで、さらに暴力を受けているらしい。腹が煮え切りそうだ。いつ乗り込むべきか。このタイミングをミスれば、俺もぐるさんも死ぬ。そんなことわかってる。でも、!
ーーどかっーー
俺はいてもたってもいられずにドアを蹴り開けた。大人げない行為に思える。なんて落ち着きのない行動だろうか。俺を視界に入れた敵兵に向けて言う。
tn「許されると思うなよ」
mb「許しを請うなんてするわけがないだろう」
「俺はこの時をずっと待ってたんだ」
「お前に全てを壊された、あの日から」
そういわれ、過去に思考を巡らせる。何かこの国で特別なことをしたことがあっただろうか。
tn「あぁ、」
一つだけ思い当たることがあった。昔、この国で戦争が起こったことがあった。たった一度の戦争だったが、その間に内乱も同時に起こり、俺がなにもしなければ国民がほぼ全滅していただろうもの。その中で俺が接敵したやつの一人がこいつだったか。
tn「お前そんなこと引きずってたんやな」
mb「そんなこととはなんだ!」
「あの時の俺は国の主戦力で、一番隊を任されていたんだぞ!」
「お前にたかが一回まぐれで負けただけなのに、歩兵にまで地位を下げられたんだ!」
こんなもの、ただの八つ当たりにすぎない。だが、その八つ当たりがぐるさんを巻き込むのなら、“ただの”ではなくなる。俺に責任があることだ。若いころの軽い判断で、他国の戦争に首を突っ込んだからはじまったこの八つ当たり。俺が終わらせなければ意味がない。
mb「俺はお前を許さない」
tn「ほぉ」
「俺も、ぐるさんに手を出されたからな」
「許さんぞ」
俺のその言葉とともに切りかかられた。それに対し、俺も粛清剣で応戦する。一か月のブランクは正直大きいもので、余裕で戦っているように見せるように気を付けてはいるが出ている力は前までの半分ほど。前にこいつと戦った時のほうが強いまである。それにこいつも気づきつつある。早く済ませなきゃな。くそ、。俺は一対ーとなるとこんな怪我をするわけがない。俺はそれほど、訓練してきたし戦闘も重ねた。こんなやつに一撃食らうとは、。半分じゃ効かないほど落ちている。今戦争を持ちかけられたら、負けてしまうかもしれないな。
mb「何を考えているんだ」
「集中しろよ」
こいつ、気づいたな。くそっ、一人に必死になりすぎだ。周りの状況まで気が向かない。
tn「くっ、」
一撃、また一撃と傷を増やしていく。こんな雑魚相手に、!
mb「ぐあっ」
一瞬の隙をついて、懐に入り、大きく切り裂く。さすがにこれで動けないだろう。
gr「トントン、後ろだ!」
tn「ぇ、」
後ろと聞いて、すぐに振り返るがどうも遅かったようだ。頭を鉄バイプか何かで殴られた。そこまで消費した体力と疲労の蓄積により、 抵抗の余地なく倒れた。援護要員として誰かを配置していたのかそこから、二三人入ってきて俺を殴るなり蹴るなりしてきた。意識を失いかけている俺はもちろん抵抗などできない。
gr「やめろ!」
「トントン!!」
「トントンから離れろ!」
「おい!!」
ぐるさんが必死になって声を荒げている。ぐるさんは縛られているため動けない。ごめん、ぐるさん。俺はお前がいないと、全力を出せないし、勝つことも普通に生活することすらできないんや。お前に忠誠を誓ったあの日から。そんなぐるさんをこんな目に合わせてすまん。揺らぐ視界のなか、ただそれだけを思っていた。
tn「ぐる、さ、」
ーーバンッーー
rbr「トントン、無事か?!」
銃声とともに、攻撃が止みロボロたちが入ってきた。ショッピとチ一ノがぐるさんに駆け寄って縄をほどいている。その様子をみて安心して、そのまま意識を手放した。
rbr.side
rbr「あ!おい!」
返事もなくトントンは目を閉じた。呼吸はしているし、意識を失っただけだろう。全く…俺らがどれだけ心配したと思ってるんだ。
gr「ロボロ、トントンは、」
rbr「生きとるよ、疲れただけやろ」
gr「そうか、」
shp「トントンさんも心配ですけど、自分の心配したらどうです」
cn「ほんとや!」
「俺らがどれだけ心配したと思っとるん」
gr「すまないな、」
そうしょげる俺たちの総統。ようやく助けに来ることができた。
tn「ッ、ゴホッゴホッ、」
トントンが咳込んだ時に一番に反応したのはグルッペンだった。自分だって体中が痛むだろうに。
gr「トントン、?」
「大丈夫か?」
tn「だめに、きまっとるやろ、」
「あほ」
gr「あぁ、」
その空間は、こいつら独特なものでここ最近はあまり見なかった光景だった。
rbr「ほら、帰るぞ」
gr「あぁ、帰ろう」
「肩貸すか?」
tn「お前もけが人やろ、ショッピ、頼む」
shp「あ、はい、」
「どうぞ」
tn「さんきゅ」
トントンはグルッペンに気を遣ってかあまり話しかけなかった。元気がないというか、覇気がないというか。ここまで気を遣いあっているのは見たことがない。
tn.side
なんて、声を掛けたらいいのだろう。そもそも話しかけていいのか。 俺は、この件の犯人といってもいいほどのミスをしていたわけでそれが許されるかなんてわかったものじゃない。そう迷っていればぐるさんが先を越す。
gr「トントン、ありがとう」
tn「は、?」
突然のことにそんな言葉が出る。急に何を言い出すのか。問いただすのは簡単でも、その意図を理解するのは難しい。俺は感謝されるよりも怒られるのかと思っていたからなおさらである。
gr「俺があんな出て行き方をしたから、誰も助けに来ずに死ぬものだと思っていた」
そんな悲しいことを言い始める。俺は、あの手紙が届かなかったらどうしただろうか。あと一週間は捜索に本腰を入れなかっただろう。 ぐるさんはその間も、苦しみ続ける。
tn「感謝なんてするな」
「この件は、俺の、無責任な行動によって、引き起こされたもの」
「こんな危険にさらして、感謝なんてされる筋合いはないんや」
俺はうまく回らない頭で、息絶え絶えに頑張って言葉を紡ぐ。その中で昔あったことを、少し話した。
gr「トントン、それはお前が俺に忠誠を誓う前の話だ」
「俺は、お前のその行動は正しかったと思う」
「お前が動かなければ、この国の国民はほとんどが死んでいて、国自体滅んでいただろう」
「お前の行動が、人々を救ったんやろ」
「俺は、いい判断だったと思う」
「トン氏、お前は俺の右腕だ」
「誇りに思う」
歩きながら話しているから、顔は見えない。こんなに恥ずかしいことを、どんな顔で言っているのだろう。俺は、どんな顔で聞いているのだろう。“誇りに思う”そんな単純な言葉が、心に、身に染みていく。
tn「お前も、ぐるさんも」
「俺の誇りや」
「俺は、ぐるさんに忠誠を誓ってよかったと思う」
俺も珍しく素直なことを言う。回らぬ頭に任せ、恥ずかしいことを告げる。今回のことでよくわかった。俺たちは、ただでさえ命の重みを知るべき仕事をしている。俺らの命は、軽いのに。だからこそ、伝えられるうちに言えることは言わなきゃならない。
tn「心底、お前が、お前の国が好きや」
gr「…ふっw」
「俺も、お前がいるこの国が好きやで」
周りにいる奴らなんて気にも留めず、そんなことをいう。出会ってから今まで、一度も言わなかった言葉。
gr「お前のことも好きやしな」
tn「くふっw」
「まぁ、俺もやで」
俺が隣に並ぶと、少し赤い耳で満足そうに笑った。二人で十年ぶりに煙草に火をつけて、新しく名前の変わった関係を始めた。
おわり
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