ーーーーーーーーーーーーーーーー
「大丈夫、大丈夫だよ」
男の子はずっと女の子に笑いかけていた。
「………」
女の子はお姫様抱っこをされながら、その男の子の顔をぼんやりと眺めていた。
「かっこいいなぁ……」
女の子は小さくつぶやいた。
だけど、男の子はそれが聞こえていたように
「えっ?そんな……君の方が素敵だよ?」
男の子は笑顔で女の子に言ってきた。
「……!?」
女の子は頬をほんのり赤く染めていく。
そして女の子は少し照れてしまった自分が嫌で自分の頬を叩いた。
「…!だめだよ!!せっかくの可愛い顔が傷ついちゃうよ!あと、疲れてるでしょ?休んでいて!!」
女の子は『こいつ、王道な男だなぁ』と思った。
「……分かった…」
女の子は確かに疲れていたので今回は男の子の言う事を聞いて男の子の腕の中で寝た。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「んん?!」
えっ?えっ!?夢だよね!?いや、…ここが夢!?
私ーななっし〜は、自分の頬を両手で叩こうとした。が…さぁーもんに両手で止められた。
「何でいるの!?」
私はさぁーもんが隣にいることにびっくりした。
「……ななっし〜…疲れてるね……?さては」
「そ、そりゃあ疲れてますけれど……」
私は、さぁーもんが出てきたことでここは現実ということがわかった。
だって、嫌いな人が夢に出でくるわけないもんねっ!!
………何か、自分が最近おかしい気がする……。
突然妙な夢を見るのだ。
夢にしてはリアルだけど……。
オレンジ髪の男の子が私を助けてくれる夢。
まるで昔こんな事があったよって教えるような夢だった。
だけど私はそんな事は一切覚えていない。
と言うか…私は小さい頃の記憶がほとんどない。
おばあちゃんが言ってたけど、確か前に記憶喪失になってまだ戻っていない……とのこと。
まぁ、私はそんな事は信じてないけど……。
「……ななっし〜って……これ、…怖くないの………??」
「えっ?怖い?」
私は、さぁーもんに話しかけられたことで我に返り前を見ると、沢山のお化けがいた。
「あ〜……。お化けはそんなに怖くないや」
私が怖いのはどっちかと言うと、、虫…。
「ななっし〜はすごいなぁ……。俺、こう言うの叫んじゃうタイプかも」
「………」
ごめん、全然そんなタイプに見えないや。
どっちかと言うと驚かす側に見える……。
「………あれ、ななっし〜、あれ何?」
「えっ?あれって? って、、えっ?」
私は、固まった。
上を見ると……、、でっかい蜘蛛……。
「ギャァァァァァァ!!!!」
皆の耳が壊れるぐらいの私の絶叫が響いたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「あ……………怖い……。虫、無理……」
私はびくびく何処か知らない場所に閉じこもっている。
さっき、虫が出たことからさぁーもんを置いてここまで逃げてきた。
だけど……、、、
「戻りたくなぁぁーい……!」
本当に戻りたくない……。
虫から逃げたい
できる事なら逃げ出したい……。
でも…一人でゴールしては行けないのだ……。
なぜなら……!
一人でゴールしてしまったら、ペアの人とデートしなきゃいけなくなるからだ!!
これ、…私のせいであるルールだよね!?一人で来ないでっていう!!
絶対、これないとさぁーもんを置いて来るからっていう!確信を突いたやつだよね!?
まぁ、大正解!!
でも……!これあるせいで私…ここから歩けないんですけどぉぉぉ!?
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーさぁーもん視点ー
……
ななっし〜が消えてしまった……。
俺は作り物の蜘蛛を見ながらため息をついた。
……ななっし〜、今何処にいる?
…………ここのお化け屋敷無駄に広いからなぁ……。探すのに一苦労だ…。
怯えてないかな…。
お腹とか空いてないかなぁ…。
今すぐななっし〜に会いたい。
できる事ならずっと離れないで見守りたかった。
ななっし〜には俺が手を伸ばして掴める距離ぐらいにまでいて欲しかった…。
……これはただのキモいやつか……。
「ななっし〜?何処にいるのー?」
俺は大きな声を上げながら隅々まで見てななっし〜を探していた。
………ななっし〜が隠れる場所は、何処だ……?
こんな広い建物の中、全てを探していてもきりがないのは承知の上だ。
だから、出来るだけ場所を絞り込みたい。
ななっし〜が隠れるなら……。いや、…俺が隠れるなら何処だ…?
……………
「…人気(ひとけ)のない場所……だよな」
俺は、お化け屋敷で何も置いていなかった部屋を探すのだった。
ななっし〜が心配……
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「こ、怖ぁ……」
私はさっきまでお化けは怖くないとか言ってたけど、一人になるとさっきとは別の世界のように怖く感じる。
「……さぁーもん…さんを置いていかなければよかったなぁ……。あの時手を繋いで一緒に逃げとけばー……?」
手を繋いで……?
……わ、私何想像しちゃってるの!?
手とか、繋ぐわけないじゃん……!
陽キャと……!
もうやだっ…!
一人で想像して一人でこんがらがってる自分もやだ!
「やだっ!」
と、私が立ち上がったら…
「ななっし〜!!居た!やっと見つけた!!」
と、さぁーもんが走って抱きしめてきた
「へっ!?」
な、何!?
私、何かそんなに心配かけてた……?!
「ななっし〜!」
「ちょ、ちょっ!?何ですかね!?」
私は戸惑いを隠せない。
そして何故か心臓の鼓動がいつもより早くうるさくなっている。
「もう、離さないから……!」
「ん〜?!?何で!?」
本当に、何ですかね!?
ひとまず、
「離れてください!」
流石にこのままは恥ずかしいです!
「やだっ」
「ん〜??こいつ生意気!!」
本当に離れてくれないの??
「な、何でっ!?」
「だって、…何か少し離したら、すぐどっか行っちゃいそうなんだもん」
「まぁ、…確かに……」
離してもらえたらすぐゴールしに行って、さぁーもんに話しかけられないようにどっかバレないところに行くねぇ……。
「俺、…もうななっし〜は離さないから」
うーん……でも、こんなに心配される筋合いはないかなぁ……。
と言うか、これはもうドキドキどころじゃなくて、うっとうしいまで来てるんですが??
もう良いや。
ここまで来たら力ずくで離れよう。
私は腕に力を入れて頑張って離れた
「ななっし〜?」
「よーし…案外簡単に抜けれたなぁ…」
「……」
「じゃあ、…そろそろ行こうか…!」
私が声をかけたら
ダンッ
突然、さぁーもん……さんの手が私の真横に来た
んっ?んっ??
これって、まるで少女漫画とかで言う、
壁ドンですよねっ!?
私が壁の方に寄りかかってるばっかりに!!
「えっ、えっ?な、何ですか!?」
陽キャの顔がこんな近くにある時点で凄く嫌なのに、それがさぁーもんさんとか……!
嫌すぎて発狂物ですよね!?
あっ、でも、ファンクラブの人に殺されそう☆
さぁーもんファンの皆様、今だけは許してください!!これは、こいつのせいなんです!!
「……ななっし〜は、尽くす男は嫌い?」
う〜ん、、、お前なら嫌いかなぁ。
なんて、言えるはずもなく……。
「………」
私は黙った。
そして…
この雰囲気を壊すものがいた
「………えっと……なんか…だめな雰囲気…?」
凸さんが現れたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「………」
「………」
私とさぁーもんは言葉を交わさず二人で歩く。
今、…皆と別れて二人で家まで帰っている。
……めっっっちゃ気まずい……。
何か喋りかけてもらえないと、気まずいね……。
いや、…それよりも気まずい原因があるのだけど……。
そして…やっとさぁーもんが口を開いた
「…ごめん、ななっし〜……。嫌だったよね」
あっ…多分、壁ドンとかのやつのことだ……。
「えっ……?いや、…まぁびっくりはしたけど……」
謝られるとは思ってなくて私は口を引き結ぶ。
「…俺さ…ななっし〜が好き」
………えっ?
「えっ…?」
………………この、この、タイミングですかぁぁぁ!?
その前に、言ってる意味がわかりません!?
ななっし〜って言う食べ物あったっけね!?
うん、ない!!
なら、これは……
…………私に言ってる……?
はぁぁぁぁぁ!!!!????
今、ここで言うとかどういう神経でしょうか!?
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!