※花咲病の解説についてはオリジナルの要素が含まれています
「おはよ、!」
あぁ、ヤバいな、あれから吐き気が収まらなくて、水すらも飲めてない。…今日のレコ、失敗しないと良いんだけど、
「おはー」
いつもと変わらずに平坦な返事を返してきたのはwki。いつも来るのが早いのは僕だが、今日は珍しくwkiが一番みたいだ。
「mtkはまだ来ない?」
「うん。…先出ちゃったからわかんないけど、多分ちょっと遅刻してくると思う。」
「おけ。じゃあ練習してよーっと。」
…wkiと居る時は大丈夫だな…問題はmtkか。…どうしようもないよな、
「っごめん!遅れた、おはよ、!」
「おはー」
「おはよ、!ッ…!」
あ、これ、やばいやつだ。トイレ行かないと、
「ッちょっと、レコの前にお手洗い行ってくるね、!」
「「はーい」」
「っう゛、ぐ、ゲホ、ッゴホ、」
やだ、吐きたくなんか無いのに。…なんで僕がこんなことに、
「ッ、おぇ゛、ッ」
フワ、
あぁ、もう嫌だ、…レコ中は、耐えるしか無いか。……よし、行くか。
「ごめん、!おまたせ!」
「はーい」
「じゃあ始めよっか。…じゃあwkiから。」
「…よっし、」
レコはwkiからか。…良かった。
…?あれ、珍しくwkiが注意されてる。…え゛、もしかして今日、mtk機嫌悪い感じ、?
…あ、wkiが泣きそう。…mtk、レコのときだけ辛辣になるからなぁ、それだけ命かけてるってことなんだろうけど、
「もう良い。先にryoちゃんにやってもらうわ。」
「ッ……分かった。呼んでくる。」
「ryoちゃん…次だよ、」
「wki…大丈夫、?」
「…大丈夫だよ、ryoちゃんも頑張って、」
…wki、大丈夫じゃないな。…そんな泣き腫らした眼で言われても、……よし、僕がwkiの分まで頑張るしか無いよね。
「じゃあ始めます。」
〜♫、
「あ、」
やばい、ミスった。
「…ryoちゃん、練習してきた?…wkiは練習してきたって言い張ってたけど。」
「した。練習はちゃんと。」
…あー、気持ち悪くなってきた。…mtkの前じゃ吐けないだろ。
「それにしては、全然出来てないけど?…もう一回お願いします。」
〜♪、…
「ッ、」
気持ち悪い。…吐きそう。でも、言えない、
「…はぁ…また間違えたね。…ホントに練習してきた、?」
「ッ、してきた、よ」
気持ち悪さに思わず顔をしかめる。
「なに、?…その表情。気分悪いんだけど。」
「っあ、ちが、ちがくて…」
ホントにそろそろ耐えられない、
「…mtk、一回お手洗い行かせて、」
「はぁ、?レコ中に?無理があるだろ」
mtkの言う通りだ。…だけど、今は耐えられそうにない。
「…ごめん、ッ」
レコーディング室から飛び出し、トイレへ走った。
「ッ、ゴホ、う゛、ぉえ゛…、」
ふわ、
「ryoちゃん、レコ。途中で抜けるとかありえないんだけど。」
「あ、…」
まずい、mtkだ。
「ッ、…ぅ゛ぇ、ゲホッ、」
「…早く。みんな、待たせてる。」
「ちょ、と待って…ッぉ、え゛…」
mtkは僕が吐いていることに気づいていないようだ。
「…はぁ、…開けるよ、?」
「え、ちょ、待っ、!」
がちゃ、
「え、」
あ、終わった。鍵、閉めてなかった、…これ、どう弁解すれば良い、?…どうしよう、
「なにこれ…花、?」
「ッ!mtk、絶対触れないで!」
「っえ、ご、ごめん…」
珍しく声を荒げた僕にmtkは驚いている。そんな中、またもや吐き気が襲ってくる。
「ッ、ごめ、」
「え、ryoちゃん…?大丈夫、?」
「…ぅ゛、ぉえ゛、」
ふわり、
「え。…花、吐いた、の、?」
「…、」
まずい、バレてしまった。
「…忘れて、…僕は大丈夫だから。」
大丈夫じゃないけど。…でも今はとにかく、忘れて欲しいのだ。
「大丈夫じゃないでしょ。」
「…大丈夫だよ。」
そう言って、僕は笑った。…きっと、酷い顔をしていただろう。
「…今日はもう家帰りな。…体調、良くないんでしょ。」
「…分かった。ありがとね。」
僕はmtkの脇を通り抜け、足早に荷物を取り、家へと向かった。
「は、ぁ、」
どうして。こんなことに。…これから、どうすれば良い、?
…花咲病、調べてみるか。
【花咲病】
片思いや、心の奥底の感情を拗らせることでなる病気。
体から花が生えてきたり、花を吐いたりする。その花の種類は場合によって違い、その花の「花言葉」が心の奥底の感情と一致していることがあると言われている。
両思いになる、またはその感情が薄れ、失くなることで白いユリが吐き出され、症状が止まる。
「…花言葉、」
僕が吐いた花は、…月下美人、
月下美人の花言葉は、…危険な快楽。…、これが、僕の心の奥底の感情と一致している、って?…確かに、mtkと付き合っていても、そういう恋人らしい行為はあまりしてこなかった。でも、僕もそれに不満は抱いていなかったはずだ。…なのに、?
…あぁ、そういうことか。…僕が求めてるものの本質は快楽ではなく、「寂しさ」を埋められるもの。…夜に飲まれないように、寂しさを紛らわすために。…心底、面倒臭い体だと、思った。…このままではバンド活動にまで影響が出てしまう。…要は、寂しさを消すことができればこの症状は止まる、ということだろう。…でも、二人には迷惑をかけられないから。






