※創作、在り来り 注意※
昨日、僕は何かを無くした
でも。分からない。それが何なのか、
一本の着信が来て、そこからは覚えていない。
僕は何故か病院にいて、気づいた頃病院を出た。
その後ゆっくりと実家へと足を運んだ。
古い横開きの扉を開いて記憶に強く残る部屋へと進んだ。
僕の部屋。懐かしい和風の部屋。一人暮らしをする前はずっとここで過ごしてきた。
僕の実家には部屋がいくつかある。僕の部屋、リビング、両親の部屋。
でも、僕の記憶にはない部屋がもうひとつそこにはあった。
一歩中に入ったら、和室なのに無駄に可愛らしい家具がある部屋。
使用感が溢れる部屋。
気になって好奇心のまま両親に聞いた
「なぁなぁ、親父あそこにある部屋いつの間に___」
あからさまに父は視線を母に移して、母も僕を見つめていた。
「ん?どうした?」
僕は昔から好奇心旺盛だったからか、なんの躊躇もなく聞き続けた。
「あれはねぇ、昔からある部屋なのよ」
そう僕に伝える母の言葉に僕の記憶が全てフラッシュバックした。
妹。僕には妹がいた。可愛らしいJKだ。僕は家族全員大好きだった。そんな妹はもう亡くなった。
「え__?いよ。一葉は?」
一葉。僕の唯一の妹。彼女の死のショックから僕は全ての記憶を無くしたのだ。
「ただいま〜!」
ガラガラッと扉が開いて綺麗な制服に包まれる女子高生。
一葉。そこには一葉が居た。
「え?一葉?」
僕は驚きのあまり声に出して言った。それと同時に周りを見渡すと不思議なことに両親は御堂打にしない。死んだ一葉がいるというのに
「あら、一葉おかえりなさい」
「ただいまー」
繰り返して同じことを言った一葉はそのまま。リビングの祭壇へと視線を向けた。
「今日でお兄ちゃんが亡くなってから1年経つんだね__」
「そうね。海唯は今頃私たちのこと見てるわよ」
その2人の会話で全てがわかった。
僕が亡くしたのは。
僕の人生なんだ________
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