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「おは……って。なに、この独特な香り」



「…………おはよう」



「あぁ……先輩の湿布か」



「見てほら。手、震えるの」



「良かったですね。筋肉痛、早よ来て」



「……そんなこと心配してなかったよ」



「来月はもっと、先輩に易しいイベントやといいですね」



「あ。もうお知らせ来てたよ。なんだと思う?来月」



「あ、10月か。

それやったら、ハロウィンしかないでしょ。

メイド服一択ね」



「需要あるのかなぁ……神崎くんのメイド服」



「なんで俺やねん」



「そしてハロウィンでもない、と」



「えぇ。じゃあ何すんの?」



「『[秋祭り]に参加しよう』だって」



「……それ、会社のイベントとして行く必要あんの?

社外の祭りでしょ?」



「よくわかんないけど……

イベント実行委員のお子さんが主催って書いてる」



「ほな普通に客寄せやん」



「秋祭りって、何するの?」



「うーん。地域とかによって、ちゃうんやないかなぁ。

関西おったとき、よう行ってたよ。”けんか”や”だんじり”。熱量が最っ高やった」



「ほほぉ。楽しみ。

あ、”よさこい”って書いてた」



「えー!めっちゃいいやん。

あの一体感、たまらんよなぁ」



「私はじめてみる。わくわく」



「はしゃぎすぎて、迷子になるんだけはヤメテくださいね」



「てか。別に、私とばっかり居る必要ないんだよ?

だから次回は——」



「それ以上言うなら、

どうなっても知りませんよ?俺が」



「え……どうなるの?」



「まずは一旦、泣く」



「可哀想。そっとしとくね」



「ほんと鬼」



「や、やば。気付いたら、朝礼始まってんじゃん」





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