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初兎side
幼い頃の俺はまだ
腐りきったこの街を知らなかった
××××年 1月___
この街に来た初めての日の出来事
俺は両親が他界してこの街に送られた
この街に出されて初めに目に入ったのは
腸が飛び出している人間の屍
頭が無く、真っ赤に染まった動物の死体
ボロボロで今にも崩れ落ちそうな家
不気味にちかちかと光るネオンライト
そして不気味な笑顔で人を殴るマフィアの姿
俺の事に気づいたマフィアがこっちを見た時
怖くて足が子鹿の様に震えたのを覚えている
俺はその時まだ幼かったから
「殺しがいがない」
と見逃された
でも当然、完全に逃がして貰える訳はなく
俺はそのマフィアの元で飼われる事になった
そして16になったら殺すと宣告された
今からするのはそんな俺がマフィアに
なるまでの話だ
16になったら殺される
そう宣言された時の俺はまだ齢6歳
まだ10年もの有余があった
例え何があろうと生き延びて逃げる
そう胸に誓って
提供されない食事や
気を失うまで終わらない暴力に
ひたすら耐え続けた
無論、学校で受けるような教育は一切無し
代わりに人の殺し方や銃の扱い方を教わった
そして15になった頃
俺は初めて人を殺した
銃弾を回収するために傷に指を入れて
ナカをまさぐるあの感覚を
血で手がべとべとになって帰った道を
俺は死んでも忘れないと思う
でもその時人を殺した事に対する罪悪感は
一切無かった
きっと殺した相手が悪かったんだと思う
だって
僕が初めて殺した人は
僕を拉致していたマフィアのボスだったから
ボスを殺した事に罪悪感は無かったけど
問題が一つだけあった
今までずっと拉致されていたおかげで
一夜を過ごす家が無かった
金も無ければ親だって居ない
それに、長い間拉致されていたお陰で
この街の事なんて一切知らなかったから
客棧や旅肆のあり所も分からなかった
そんな絶望的な状況に置かれてしまった僕に
話し掛けてきたのが”彼”だった
「ねぇ,そこの白髪の若人さん♪」
「っ!?」
「辞めてよぉ…闘いたい訳じゃないからさ」
背後から声を掛けられた刹那に攻撃をした
僕はさっきまで居た組織の中で1番攻撃速度
が早かったから,確実に仕留めたと思った
それなのに…彼には通用しなかった
振り翳した左手は彼の右手に包まれていた
思わず力が抜け,その場に座り込む
冷や汗が出てくる
彼は一体何者なのだろう
髪と瞳は吸い込まれる綺麗な桃色をしている
「君…居る所無いんでしょ」
「ぇ…」
何故,君がそれを知っているのか
しゃがんで僕を真っ直ぐに見詰める瞳に問う
「やっぱりね~…図星だ?笑」
とけらけらと笑う彼に少しの苛立ちを覚える
けれど,図星なのは事実
寝る場所がないし,食事も採れない
腹を括って小さく頷く
この時,僕はきっと
不満気な顔をしていたと思う
それでも彼は笑顔を崩す事無く
「じゃあうちの仲間になってよ」
「そしたら拠点の部屋貸してあげる」
と意味のわからないことを言った
僕を仲間にする?
攻撃なんか1ミリも通用しなかった
それが怖くて崩れ落ちた
そんな僕を何故拾おうとするのか
「君の事、気に入っちゃった」
「ちっちゃい体して良く闘おうと思ったよね」
「その威勢、気に入った」
そう、僕の心を呼んだかのように話せば
大きいくて優しい手を差し出してきた
「……意味が分からん」
無意識に出た一言
本当に意味が分からない人だった
桃色の髪をした考えが分からない大人
そんな怪しい人だというのに
僕は手を取った
だって、僕を認めてくれたのは
僕の人生の中でその人しかいなかったから