テラーノベル
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1話 日常だった
「これはどうだ?」
「いや…高ぇよ」
「ならちょっと引いてこれでどうだ?」
「あともうちょっと…」
露店の前で買うのを渋っている軍服姿の男…
「何してんだよ…お前ならポンと買えるだろ?」
「ちょっ!?」
店主が値札を訂正している…アレ?値段上がってねぇか?
「なら安く要らないな?」
おぉ…すげぇ悪い笑顔だ…
「カイてめぇ!」
そんなに睨まれましても…
「あっカイ兄ちゃんおはよう!」
「おっなんだー?学校帰りか?」
「うん!今日も学校楽しかったよ!」
「良かったじゃねぇか」
「カイてめぇマジ許さねぇからな…!クソ高かったじゃ…ってガキかどうしたんだ?」
「カイ兄ちゃんと話してたの!でももう帰るね!ばいばーい!」
「元気だな」
「そうだな。ガキはあぁあるべきだよな」
「その為にも訓練頑張るぞ?レオ」
「分かってらぁ!じゃあ今日も懸垂少ない方がジュース奢りな!」
「えー?しゃーなしな?」
「今日も俺が勝つからよぉ?財布の準備しとけ?」
「今日も。じゃなくて今日はの間違いだろ?」
そのまま俺たちは訓練所へ向かった。
「いちにーさっしー、いちにーさっしー!」
「ちょっ…はや…カイ…おま…」
「知るかよ!お前の問題だ!」
とか言いつつ俺もそろそろやべぇ…!
「お…俺ギブ…カイ…すげぇな…」
「だろ?レオ。テメェとは違うんだよ!」
「まだやるのか?」
「流石に降りるかなーと」
スッと降り…アレ?腕上がらねぇな
「…やっぱカイ。テメーは締まらねぇな」
「うるせぇ!ミーティア操縦訓練行くぞ!」
「しゃー!俺のミーティア昨日やっと直ったからな!」
「整備兵に笑顔で詰められてたやつな?」
「それは秘密だよカイさん…」
「やっぱレオ。てめぇはバカだ…って言ってたら着いたな格納庫」
「楽しみだな!足ぶっ壊して足交換したから乗り心地良くなってるのかね?」
「さぁ?」
格納庫の扉が開くと大量のミーティアが並んでいる。
正式名称 MT-3.5AI 1C。俺達の乗る主力1人乗り型中戦車だ。モジュラー式で、各部を交換しやすく作られている。
「でレオのはどれだ?」
「…」
「どうしたんだ?レオ。そんなに黙って…ってあー…」
「なぁカイ?俺のコックピットないんだけど…?」
「おっエレナだ」
「どうかしたのか〜?レオくん?」
「エレナさん?なんか俺席無いn」
言い切る前にエレナのタレ目からは想像出来ない程の威圧感でレオを睨みつける
「まぁ冗談だ。すぐに組み付けるさ」
「良かった…」
「良かったじゃねぇだろ。何をどうしたらあのサスをぶっ壊して履帯破損させんだよ」
「怒らないでくださいね?エレナさん…あのー…ちょっとカッコつけてドリフトを…」
「それだけじゃねぇよな?」
「はい…ラリーだー!って行って無理やり走ったりしたら着地ミスって壊しました…」
「っぱレオはアホだなエレナさん」
「あぁそうだな」
「ひでぇ!?」
「まぁさっさと組み付けてやるから待ってろ」
「ありがとうございます…」
「まぁ俺は起動シークエンス完了してくるわな」
俺は13号車に乗り込みヘッドギアを付ける。スイッチカバーを開け、グッと押し込む。
ヘッドギアが起動する
《生体デバイスを確認…》
《搭乗者 カイ レンを認識》
《LINEA起動を確認》
《OS HUMANITAS MEMORIAの応答を確認》
《LINEA 稼働開始》
視界の端にVTuberのようなキャラクターが出てくる。
俺の視界に重なった仮想空間の中で、そいつは普通に立っていた。
『おっはよ〜カイ!今からAI起こしてくる!』
「あぁありがとな」
ヘッドギアに沢山の文字が現れ始める
《起動シークエンス開始》
《CABLE 接続開始…》
《接続完了》
《CUSTOSの起動を確認…》
《OS AEGISの応答を確認》
《CUSTOS 稼働開始》
《TALOSの起動を確認…》
《OS VESTAの応答を確認》
《TALOS 稼働開始》
《PANOPTESの起動を確認…》
《OS VIAの応答を確認》
《PANOPTES 稼働開始》
《エンジンを始動します…》
直後 V8ツインチャージャーの轟音が鳴り響く
《エンジン始動を確認》
《CUSTOS》
『戦闘システム…正常』
《TALOS》
『車体各部…異常無し。全開走行が可能です』
《PANOPTES》
『周辺情報を取得…脅威未確認、稼働中の僚機…6機』
『みんな起こしてきたよ〜カイ!』
「ありがとな〜」
「おぉー!カイ!いい音鳴らしてんねぇ!確かエレナに頼んだんだっけ?」
「そうだぞ!いい音だよな!バラバラバラ…って感じに空気を押し込む音とファンの回る音が聞こえんだもんな〜マジでエレナありがとうな!」
「そんなに褒めたって何にもないぞ」
そんな言葉とは対称的にエレナの顔が緩んでいる
「ずっとそんな感じならエレナってモテるんだろうけどなー…」
「なんか言ったか?レオ」
エレナが小さい手でパイプレンチを握りしめゆっくりと、笑顔でレオに迫っていく
『レオさんバカだねぇ…』
何故だろう…顔は変わっていないはずなのにリネアが凄く呆れている気がする…
「カイのリネアなんか辛辣じゃね!?」
「そっちはそっちで楽しんどいてくれ!俺訓練行ってくる!」
『オッケー行こ行こ〜今日の訓練内容は〜?動きながら打つ、偏差撃ち、あとみんな大好き退役戦車に実射!完全ランダムに動くようになってるって!』
「おぉ…中々に大変そうだな…」
「ちょっまっ…カイ!テメェ!」
そんなアホの声は無視し訓練場に向かう
「はぁっ…はぁっ…」
『訓練終了、お疲れ様!』
「なんで…なんで標的車両が撃ってくるんだよ!」
『だって〜不意打ち来るかもだし?伝えなくてもいいかな〜って!』
「お前なぁ…」
『許して?』
カイに顔を近づけて笑顔で告げる
「…まぁいい…今日は訓練終了だな?」
『そだよ〜』
「一旦運転するのも疲れたからな…レオも訓練終わってるだろうし通信繋いでテレビを出してくれ…」
『えぇ〜?だらしないなぁ…』
「誰のせいだと?」
『…私?』
「以外誰だと思った!?」
その直後レオと通信が繋がった
『…カイか…俺も今終わった所…』
「その感じ的にお前もやられたか」
『あぁ…俺なんて装甲1枚貫通した警告出たからな?』
「おぉ…それは恐ろしいな…」
【緊急放送!ヴォルグがセイルに戦争を仕掛けるとの事!】
テレビからアナウンサーの緊迫した声が聞こえる
「なんだと!?」
テレビはヴォルグトップの会見映像に切り替わる
【我々ヴォルグは、今日まで発展を続けてきた。
産業は成長し、人々の暮らしも豊かになった。
しかし、その発展を支える資源は、既に限界を迎えている。
我々はこれまで、資源の供給を求めてきた。
だが、状況が変わることはなかった。
我々はもう、待つことはできない。
我々の国を、家族を、友人を、そして未来を守るために。
セイルには、我々が必要とする資源がある。
我々はそれを確保する。
これは我々が生き残るために必要な戦いである。
我々の未来を守るための戦いだ。
ヴォルグ全軍、作戦開始。】
直後待っていましたと言わんばかりに雷のような爆発音と共に地響きが起きる。
そして聞いた事のない警報とアラートが聞こえる
『これ嘘の情報じゃない!来るよ!』
《PANOPTES》
『上空から高速で飛来する弾を確認』
《CUSTOS》
『戦闘システムを起動します。残り弾薬 即応弾11発 予備弾薬10発』
体が動かなかった。
『カイ!動いて!』
そんな言葉聞こえすらしない
その直後、目の前が鋭く光り、えぐれ、吹き飛ばされる
カイは爆発音で目が覚めた
「どうなって…」
『ヴォ…グの発射し…自…の榴…より吹き飛ば…たのよ』
また何も聞こえない。
アレはなんだ?
「は…?」
壊れたカメラでなんとか捉えたのは目の前で蜘蛛のような何かが壁に張り付いたりしながらミーティアや歩兵を蹴散らしている光景だ。
視界が暗くなってゆく…
『…!…!……』
何も聞こえない。
何も見えない
何も考えられない
いや…違う見たくないし考えたくないだけだ
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kana
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コメント
5件
うわ…これ、めっちゃ重い…。 最初の露店での軽い掛け合いとか、訓練所で競い合うカイとレオの空気、すごく好きだったのに。日常の細かい描写があるからこそ、最後の絶望が心にズシンと来たよ…。あの蜘蛛みたいな何かがミーティアを蹴散らす光景、頭から離れない。 「見たくないし考えたくないだけだ」っていう一文が、カイの心をそのまま表してて苦しい。続きが気になる…。