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「空」
魈が空のもとに駆け寄る。パイモンも続いた。
(意識がない…。望舒旅館に運ぶか?いや、それでは恐らく混乱を招くだろう。 …あのとき、業瘴で気を失っていた我を助けてくれた不ト廬を頼るか?だが…また助けてくれるだろうか…。)
しかし、迷う時間などない。空は今にも死にそうな状態なのだから。
「お前のためなら…」
魈は空を背負い、パイモンは魈につかまりその場を去った。苦しむ蛍術師をおいて。
まもなく、彼女は死ぬ。
「店主!助けてくれ!!」
突然背に血まみれの空を背負った魈と、泣きじゃくるパイモンが入店し白朮は目を見開いた。が、空の状態を見るとすぐに適切な処置を施してくれた。七七も手伝ってくれた。
「一体何が…」
空の状態は酷かった。口や身体中が切れていて、体温は高い。傷の方は処理したが、熱がなかなか下がらないし、目もまだ覚まさない。
なので七七は先刻、解熱剤の材料となる薬草を採りに出た。
「すみませんが、空さんが目を冷ますまで見ていてもらえませんか?」
白朮が魈に尋ねる。
「ああ。」
魈は短く返事をして、空の眠るベッドの近くの椅子に座った。