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この日記を見る限り少女は兄を探しているということだろうか
“お供え物で願いが叶う”
そんなうまい話はよく恐ろしい化け物に襲われるなんてパターンが多い小さな鳥居があったり、墓地があるのならそこを探索すれば早いと思うが
あいにく、その場所もあるのかどうかも分からない行きずまりか?
俺は日記帳をじっと見るすると目の前が一瞬にして真っ暗になったような気がした
しばらくして夜中の景色が見える街灯は一つしか立っておらず周りは暗くて見えないほどだった
そこには大きな赤い鳥居と小さな神社が見えたしかし何故だろう1度ここに来た気がするいつだったか…覚えてない
小さな小鳥が鳥居の前に飛び降りるちゅんちゅんと可愛らしい鳴き声が響きわたった
神社のお供えものらしき木箱が置いてあった俺は鳥居に近づき箱の中を見ようと手を伸ばすすると箱の下から赤く染った液体が染み込み、ついには箱の上の隙間からドロドロと流れてきた
背筋が凍るような感覚伸ばしていた手を戻そうとすると何かが前へと引っ張ってきた
手首を掴まれる感覚慌てて外そうとするがどんどんと箱の近くへと手が進んでいく
怖くなり強く目を瞑った
「……殿?…ィン殿。カイン殿!」
レーアさんが俺の肩に大きな手でポンっと叩くと同時に声をかけられ俺はハッとする
「…ど……どうしたんですか?声をかけても反応ありませんでしたよ?」
シスターさんが心配して聞く冷や汗が残る中、周りを見る
ザペル達は他のところを探索しているのが見えた
俺は手元を確認するそこには日記帳を開き破かれた部分があった日記帳の内容を見てて…一時的に意識を失ったのだろうか
俺は何事も無かったかのように応える
「…大丈夫です。少し考え事をしてました」
これは後で考えるとして日記帳をしまう
すると遠くからモフテルの声が聞こえた
「みなさーん…!こっちに何かありましたよー」
全員が教室を出て、近くにある倉庫へと向かった
中に入るとザペルとモフテル、白狐さんが居た白狐さんがこちらに近づき持っていた小さな紙切れを渡してくれる
「これは……紋章?」
ネズミの紋章がそこには書かれていたレーアさんが紋章をじっと見る
「どうかしましたか?レーアさん」
俺が問掛けると珍しそうにして見つめながら言う
「これは…闇の魔力がこめられておりますなぁ…憎しみと恨みが混ざりあっている」
レーアさんは魔力などが見えるらしい
先程の化け物も黒いモヤが見えたのだという
憎しみと恨みこれを解消出来ればいいのだろうか…
少女を救うと言われても彼女は幽霊に見えるしかし考えている間にどんどんと数が減っていくなぜなら遠くから悲鳴がいくつか聞こえてきたのだから
俺たちは重要だと思う紋章が書かれた紙と日記帳を持ち先へ急ぐ
途中モフテルが化け物に食われそうになったがザペルが大盾を使い、グシャリと音を立てながらそいつの触手をちぎった
そして上手く逃げることができ、鳥居があるであろう場所を探す
化け物から逃げながら目的地へと向かうギリギリ避けながら撒いて、ようやく外へ出れた外へ出るとそこは校庭ではなく草むらが広がっており、真ん中の道を通ればそこに赤く染った鳥居が立っている
少女の幽霊はいつの間にか鳥居の前に立っていた
俺たちが近づくと突如として周りの景色が変わる
そこは綺麗な夕日が見える高台のような場所
小さな鳥居の周りで子供たちが話していた3人の男の子が何やらヒソヒソとしている
「ケロケロ様って何でも願いを叶えてくれるんだろ?ならさぁ……あいつを消してくれることも可能ってことじゃね??」
1人の言葉にほか2人も賛成する話から分かることはあいつというのは少女の探している兄であろう
男の子が持っている写真を見て少女と似ているような姿の男の子であったから、そう考える
白狐さんが怒りに任せ彼らを止めに行こうとするがレーアさんが止めて肩に乗せられていたそんな光景を少し見たあと、子供3人は小さな紙切れを用意する
紙切れを小さな鳥居の近くに置くそして目を閉じながら唱えている
「ケロケロ様。ケロケロ様。願いを叶えてください。僕たちの願いはこの愚か者を消して欲しいのです」
ひとりがそう言うと同じように何度も何度もその言葉を繰り返した
すると紙切れから黒くにごったオーラがじわじわと周りに浮遊していく
「ななな…何してるのあの子たちは……!頭いかれてるよ……」
モフテルがカタカタと震わせながら話す
すると後ろから少女の幽霊が立っていたみんなびっくりしたが彼女は悲しそうに話し始める
〈みんなお兄ちゃんをいじめてた。私になにかできないかなって考えたけどやっぱりダメだった…だからお兄ちゃんを探して〉
と言われど…どうやって探せばいいのだろうかあの化け物から逃げながら──
俺たちは学校内へと戻り、別れて探索し始めた途中で何度か食われそうになるが回避して探索を続ける
他のプレイヤー達も必死だったのか強引な奴も何人かいた
まぁそんなやつは大体無視だやっとの事で見つけたものと言えば呪いの御札を見つける
これをあの化け物に付ければクリアだと紙に書いてあった
「簡単じゃねぇか。なぁカイン」ザペルがそう言う俺はため息をつく「足引っ張るなよ?」
俺はそう言ってみんなに見つけたら報告をお願いしたそうしていると何やら助けてと大声で叫んでいる奴がいた
確か俺が優先だと言わんばかりのイカれたやつ助けたく思わなかったがそんなことはさておき、俺はすぐさま行動に移る剣を抜き、遠くから化け物に向かって走り出す
その後にレーアさんとザペルも後ろから追いかけるザペルは高く飛び、大盾を大きく振りかぶり平の状態で化け物の上に乗った
黒の液体で出来た化け物の体は凹んで動かなくなる
「レーアさん!!おなしゃす!」
ザペルがそう言うとレーアさんは片手に大鎌を構えながら走る
「承知した!」
そう言いながら大鎌を振りかぶり、化け物の触手達を切り刻んだ
化け物の叫び声がうるさく、耳が痛いみんな耳を抑える
…がそんなこともつかの間、化け物の触手は1本だけ復活しゲールさん達の方へと勢いよく伸びていった
白狐さんの目の前へと
「我が子!!!!」
レーアさんが気づき大声で叫ぶ化け物をほっておいて白狐さんの所へと向かおうとしていた
しかしその時には白狐さんが頭を下に向き、怖がって後ろの影に隠れていた
彼女の目の前には白く毛深い獣の体に触手が腹に突き刺さっているのがよく分かる
モフテルが庇ったのだ彼女の口から血が飛び出し、床へポタポタと垂れるすぐさま伸びていた触手は引き抜かれ俺が触手の根元をぶった斬るそれと同時に俺は化け物の核であろう白く光る宝玉のような玉を剣で突き刺し壊した
パリンっと割れる音が響き渡り化け物の体は徐々に灰と化していた
シスターさん達がモフテルの所へと駆け寄る俺はザペルの方に顔を向けたあいつは悔しそうに歯を食いしばり、モフテルの所へと向かおうとせずその場に佇んでいる
「モフテルさん…!!しっかりしてください!!」
シスターさんがモフテルの頭を起こし、必死に声をかける
「目を覚ましてください!」
ゲールさんも後に続いて言う白狐さんは隣でその光景を目にし、カタカタと震えるだけだったそんな彼女をレーアさんが抱き抱える彼も無言のままモフテルを見つめた
「行かねぇのか?」
俺はザペルに声をかけるしかしあいつは黙ったまま
現実は受け入れなければならないあいつの背中を勢いよく押す
「ちょっ……?!何すんだ!」
あいつは驚きながらこちらの方に体を向け睨みつけた
「行ってやれ」
2年の付き合いだあいつは少し頑固なとこがある
それゆえ不器用だこうでもしなければあいつは行かないだろう
少しお互いを見つめたあとに、あいつは走ってモフテルの所へと向かった
大事な大盾を置いていってな全く世話の焼くやつだ
俺は化け物の灰を強く踏みつけたこの怒りはゲームマスターと自称しているあいつにぶちまけるか
レーアside
なんとも複雑な気持ちだ我が子しか知り合いがいない今だからこそ不安になる
しかし彼らとならこの化け物を潰せると感じた我は元々力があったはずなのだがあまり発揮が出来なかったのだ
何故なのかは不明だが今は生き残ることを専念するしかない
黒とかいう娘少し琴音さんに聞こえたような気がしたが見た目も違う違和感はあれど今はゲームに集中せねば
そんな時──我が子が刺されそうになる瞬間、何もかもが真っ白になった
しかしモフテルさんが守ってくれたのだ感謝と同時に悲しさが込み上げてくる死というのはこの事なのであろう
我なら魂を保管しておきたいが、今の状態では力が足りぬ早くこの哀れなゲームを終わらせて仇を晴らしたい
「はは……」
我が子は涙を流しながら我に抱きつく目の前でのプレイヤーの死これほど辛いことはあってはならぬもしかしたらラケルタ殿達も──
いやあの人達なら大丈夫であろう
我はそう思いながら彼らの姿を後ろから見ていた何も出来ぬ今その死を受け入れ、来世でも幸せになることを祈るただそれだけだ
これがデスゲームだと改めて実感した瞬間だった
ザペルside
モフテルの腹辺りは服に血が滲む鉄の匂いが広まっていた見たくもない受け入れたくなかったこれはデスゲーム死ぬというのは当たり前のゲームだ
俺は何ができたのだろうか分からない不安と悲しみが溢れる
しかし1番辛いのはテテルだろうなんてったっていつも2人で行動していたから
アスレチックに挑む時も謎解きだってみんなと挑む時なんか2人のお陰で出来たものも多々ある
それに──モフテルは俺のライバルだバトロワゲームをする時だっていつもキル数で勝負していた仲だ
「……モフテル」
そう言いながらあいつの傍に座り込む泣きそうになる涙をグッと堪えてあいつを見つめた息が荒くなりながらも俺の方に目を向けてきた
「本当に………ちゃんと…周りを見なさいよ…あんたはいつも……」
ムッとしながらゆっくりと言葉を発するモフテル
ゲールさんやシスターさんもごめんと泣きながら謝るばかり
俺には謝ることさえ許されない何も出来なかった
自分に腹が立つもう少し早く反応出来ればもっと守ることに専念しておけば
──ライバル失格だよな
そろそろ時間も迫っているプレイヤーが死ぬと段々と体が下から消えてゆくもう下半身は消えていた
「…ザ……ぺル…」
モフテルが必死に俺を呼びながら袖を掴む
「……なんだ」
「いきろ………もしこっち……きたら…かくごしとけ……」
お前はいつもそうだよな本当にお人好しなやつ
「…わーってるよ。テテルのことは任せとけ。安心してそこで眠れ」
立ち上がり俺はカインから返された大盾を持ち少し離れた場所でみんなを待った俺も馬鹿だな本当の気持ちも言えずにか──
シスターside
モフテルさんが死ぬ信じたくありませんでした
しかし現実は受け入れなければなりません私は天国に行けることを願って彼女の手を強く握りしめるだけですザ
ペルさんは特にお辛いでしょう
彼は彼女の事が好きなのですから
通話をする時もバトロワのゲームしながら喧嘩してましたし、たまに推しの話をしてたりなど楽しそうにしているのをいつも見ていましたずっと楽しく話していたイツメンの1人大切な仲間の1人が死ぬ心が苦しくなります
涙も止まりません
そんな中ザペルさんはモフテルさんと話終えるとカインさんの所へと向かいに行く
その背中は悲しそうでした彼女は笑顔で静かに消えていきました
私は自身が持っていた十字架をギュッと握りしめ祈りを捧げる
どうか天国でゆっくりとおやすみください
モフテルside 周りはいつの間にか黒い空間に突っ立っていた私は死んだのかあっけないなぁ…ダサいところで死んでしまったか?そんなことを考えていたら昔の事を思い出した
いつも元気な妹と一緒だ遊びから帰ってくると必ず服は汚すし、怪我してくるし──
そんなやんちゃな妹だったしかしある日、母から電話がかかってきたあの子が事故にあった
交通事故だったらしい私は悲しい気持ちでいっぱいだった
父親は子供の頃に他界し、母親一筋で育てられ母はうつ病になってしまい妹が天国に行った次の日に自殺した
私は1人だけ何が幸せなのかも分からなくなってしまった
帰る場所も楽しく感じていた時間までも時が経ち、私はメタバースという世界に興味が湧いた
そこで初めて出会ったのがテテルとカインそしてザペルだ
テテルとは女子同士での会話が弾むくらい仲良くなり、カインとザペルに関してはバトロワゲームで仲良くなった仲だ
シスターさんやゲールさんにも会えてとても良かったと今思う
あいつには本当の事──言いたかったなぁ
私はあいつの事が好きだ言葉に出来ない程なのかもしれない
しかしあいつに言えたことは言えたと思う
あいつがこっちに来たら蹴り飛ばすか
私は目の前に光り輝く道へと進んだ
『……ゆっくりとおやすみなさい…』
カインside俺たちは静かに出口から学校を出るするとアスレチックのような所に連れてこられ、ラッパの音が響いた
「パンパカパーン!!みんなお疲れ様〜!」
デスゲームのゲームマスターカルメのお出ましだあいつに苛立ちが走るしかしここは落ち着けまだそのときでは無いと───
「それじゃあ!次のゲームに移るよー!」
カルメの元気な声が響きわった