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青春恋愛小説を読んでるみたいでキュンとしましたし、後味サラリとして楽しく読みました✨ ありがとうございます!
さあ、後はくっつくだけ。
視点は再びもっくんに戻って、一気に明るいノリになります🤣
授業が終わった俺は、少し早いが練習室に向かっていた。教室にいると誰かしらが話しかけて来てゆっくりできないのだ。
ガチャっとドアを開けて中に入ると涼ちゃんがいてちょっと驚く。こんな時間にいるなんて珍しい。
涼ちゃんは俺が入ってきた事にも気づかず、ボーっと天井を見つめていた。
「どうしたの?涼ちゃん、大丈夫〜?」
涼ちゃんの前で手を振ってみた。ハッと気がついたように涼ちゃんが反応する。
「あっ、元貴…」
「今日は珍しく早かったんだね」
「うん…」
そう言ったままこちらを見ようとしない涼ちゃんに違和感を感じた。
「どうしたの?何かあった?」
「いや…、あの…」
そう口ごもり続ける涼ちゃんに俺は大きなため息をついた後、涼ちゃんの隣の椅子をなるべく近づけるように移動してから腰掛ける。
「何があったか聞くからさ、言ってみなよ」
そう言って話をうながすと、涼ちゃんがポツリポツリと話し出す。
「実は…今日同じ科の男友達から好きだって告白されたんだ」
絶対にあいつだ…。
「それで無理やりキスされて…」
なんだと!あいつ、涼ちゃんにキスしやがったのか!確かに煽ったのは俺だけど、それでも無理やりキスするなんて!
「そっ、そうなんだ…。大丈夫だった?怖かったよね?」
がんばって心を落ち着けながら、俺はそっと涼ちゃんを抱きしめキスしようとする。
「やめて!」
初めて涼ちゃんに拒否された…。その事にとてつもないショックをうける。
ここまで時間をかけて、やっと涼ちゃんとキスできるようにまでなってたのに。天然でにぶちんの涼ちゃんに俺の気持ちが伝わるように。
正攻法ではきっと理解してもらえないと思って、ゆっくりと絡め手で持っていってあと一歩!というところまできていると思っていたのに…。
くそ〜っ。あいつ〜!怒りのあまり握りしめた手に爪が刺さって痛い。
「…涼ちゃん、そいつと付き合うの?」
「えっ?もちろん断ったよ」
その言葉にとりあえずホッとする。
「でも、そいつに元貴とはキスしてるのに、なんで俺はダメなんだって言われちゃって…」
ああ、それで俺とキスしてる現状に疑問を持っちゃったんだ。
俺はガックリと肩を落とした。でもその後続けられた言葉に、えっ?と顔をあげる。
「俺、そいつとのキスすごく嫌だったんだ。でも…元貴とのキスは確かに最初ビックリしたけど、一度だって嫌だなんて思った事ないなぁって」
涼ちゃんは話しにくそうにうつむいていた。
「そいつ、俺の事好きだからキスしたんだって言ってた。俺、前元貴になんでキスするのか聞いた時、自分で考えろって言われたでしょ?…もしかして、もしかして…元貴は俺の事好きだからキスするんじゃないかなぁって。間違ってたらごめん!」
涼ちゃんは湯気を吹きそうなくらい真っ赤になった顔を両手で隠してうつむいている。
俺は一瞬、頭が真っ白になってから慌てて涼ちゃんの両肩をつかむと、涼ちゃんの顔を正面からみつめる。
「間違いなんかじゃない!俺は、俺は涼ちゃんが好きだからキスしてたんだよ。俺の気持ちをわかって欲しくてずっとがんばってたんだ!」
やっと、やっと伝わった。俺は嬉しくて泣きそうになる。でも涼ちゃんの答えはまだ聞いていない。
「元貴が俺の事好きかも?って思ってから、じゃあ俺の気持ちはどうなんだろう?って考えたんだ」
「涼ちゃん…」
「俺、本当は最初からなんで元貴は俺にキスしてくるんだろうって不思議だった。でも無意識になるべく理由を考えないようにしてたんだと思う。「もしかしたら俺の事好きなのかも」って期待するのがこわかったから…」
「それって…」
期待に胸が膨らんでドキドキする。
「俺も元貴の事が好きだと思う」
「涼ちゃん!」
俺は感極まって涼ちゃんを抱きしめてキスをしようとした…ところで「ドン!」と大きく壁を叩く音が聞こえてビクッと体を震わせながら音の方を振り向く。
「おい、そういう事は他人のいないところでやってくれ」
眉をしかめ、呆れた顔をした若井がドアのところに立っていた。
「あっ」
俺と涼ちゃんは顔を赤くしながら若井を見つめる。
「全く、ここどこだと思ってるんだよ」
そういえばここは練習室。盛り上がってすっかり忘れてしまっていた。
「そういう事は2人きりで部屋ででもやってくれ」
大きなため息をつく若井を見て、俺と涼ちゃんは顔を見合わせてからブッと吹き出す。
「練習にきたら2人のイチャイチャ会話聞かされた俺の身にもなってよ」
おかしそうにゲラゲラ笑う俺たちに若井はもう一度ため息をついた。
「どこから聞いてたの?」
「知らないよ。もうお互い好きなら好きで勝手にやってくれていいからさ」
「若井は俺たちが付き合ってもいいの?」
「いいも悪いも、ずいぶん前から俺に隠れてチュッチュッやってたじゃないか」
あっ、やっぱりバレてたか。へへっと俺は苦笑する。
「俺はバンド活動に影響なければ別にいいよ。まぁ、目の前でイチャつかれるのはちょっと…だけど」
「……善処します」
「お前する気ないだろ!」
練習室に怒る若井の声と俺と涼ちゃん2人の笑い声が重なっていた…。
今回はこれで終わりです。
あんなに重かったのなんて健全な…😅と思われた方も多いと思いますが、なんとなくこの終わり方がわたし的にはしっくりきたので💦
エッチの方は「その後」と言う事でもちろんちゃんといたしますので今回はこれで完結です。