ニキしろ BL 注意
救いは無いです。BAD。
本当に微量のr18
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「 なぁニキ 。 俺さ。お前のこと好きや。ごめんな 。 」
それを聞いた瞬間。俺の世界から色も音も何もかも抜け落ちた。悲しそうに、どこか満足そうに眉を下げ笑う自分の右腕とも言える存在に、困惑が隠せなかった。泣きそうな顔をしている彼。あまつさえごめんなんて謝罪も付いているものだ。 ただ一言。俺が同意をすれば。好きと、これだけ言えればハッピーエンドとして俺達はこれから第二章に歩んでいける。
立ち尽くし、何も言わない俺を見て。ぼびーは静かに笑い、きっと涙が零れそうなんだろう。瞬きをする前に目元を抑え、少し下を向いたあと俺に背を向けた。咄嗟に体が動き、手を掴んだ。
「 待てって 、…俺、俺もさ。 すき、だよお前のこと。 」
この、口に出してしまった好きの感情が。何なのかは自分でも分からないが。このまま消え去ってしまいそうな相棒を、止める手段として使ってしまったのは。本当に申し訳ないと思った。
「 ニキのそれはさ、きっと俺のとはちゃうよ。よーく、考えてみ。 」
きっと、ぼびーはよく考えたんだ。考えた上で、伝えてくれた。
ただ、活動の事もこれからの事も。気まずくなってしまうような告白をしてくるのは、少し無責任とも感じたが。頭のいい彼が抑えきれなくなってしまうほど、好意を寄せてくれていたのだろうか。
「 ほんと、 ほんとだから。行くなよ。 」
良く考えれば会話になっていない言葉を吐く。握った手を離すつもりはなく、そのまま抱き締めた。体感、数時間は経ったかと思った。が、きっと数十秒程度しか経っていない沈黙の後、最初に口を開いたのはぼびーだった。
「 なら、好きなら、ニキは俺と ヤれるんか。ノンケの、お前が。 」
ぼびーの目はいつもより潤んで見えた。きっと、涙の膜が張られていたのだろう。
「 できるよ。証明する。 」
なんて、端的に答えた。そのまま、二人ベットの上で世を明かした。俺は深夜に目を覚まし、胸に残ったのは罪悪感と消失感だった。
あぁ、やはり俺の恋愛対象は女で、相棒は相棒に過ぎなかった。もちろん大好きだったし、手放したくなかったから。手離したくないから。少しの希望に賭けたんだ。もしかしたら、俺はぼびーが好きかもしれないって。抱いたら好きになれるかもしれないって。1人立ち上がり、ベランダで煙草を吸う。今までで1番、クソみたいな味のする煙草だった。細いぼびーの腰を掴んだ時、女のようで。女のようだったから、少しでも興奮できたわけで。俺はぼびーに興奮した訳ではなかった。自覚したくなかった。これで良かったのかな、そんなつぶやきは。副流煙と一緒に空に舞った。
何回もぼびーと体を重ねた。その度に相棒から通さがっていくような気がして。勝手に苦しくなった。一緒にいれば好きになれるかもしれない。何回か、ヤッたら好きになれるかもしれない。何度も何度もそう思った。それでも、俺はぼびーがすきになれない。恋愛感情が湧かない。行為の最中。あまり彼の顔が見れない。嫌な罪悪感だけが心に積もる。
「 ぁ、゛ッぁっ、 …くっ゛、 ♡ 」
抑えているんだろう。小さな、女のような声で鳴くようになったぼびーを、可愛いとは思えなかった。俺だけが聞いていたいと感じなかった。俺だけのものと、思えなかった。
ぼびーと体を重ねた日は、上手く寝れない。飯が喉を通らない。俺の選択は正しかったのか。煙に巻かれて消えてしまいたい。
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告白を。した。何ヶ月も前から、何年も前からこの気持ちには気付いていたし、何度も何度も何度も。頭の中で考えた。勘違いだろう、一時の感情だ。そう思うようにしていたのに、最近は惨めにも嫉妬なんて感情も湧いてきてしまって。もう、耐えられなかった。俺が楽になりたいがために、ニキを苦しませる結果となることはわかっていたのに。夜。まだ深夜とは言い難い時のこと。ふと、口に出してしまった。慌てて謝罪も入れたが、ニキの顔が見れずにいた。黙っているニキの顔を確認し、諦めてしまうかと考え、ニキの方を見た。まるで俺を見る目ではなく、俺が好きな優しい目はどこにも存在していなかった。困惑一色で染められたニキの目に、罪悪感と涙が込み上げてくる。ニキを好きなってから、俺は随分と女々しくなってしまったものだと悲しくなった。涙を堪えるのが限界になった頃、俺はニキの前から居なくなろうと思った。これからは、1相棒として。メンバーとして、関わっていこうと思った。それなのに、ニキの口から出たのは 好きなんて言葉。嘘に決まっているのに、舞い上がってしまった俺が馬鹿みたいで。さらに虚しくなる。よく考えてみろと言ったのに、すぐに答えを出したニキは、きっと俺を相棒としてみているんだろうと感じた。そして俺は、ニキに最悪な提案をした。簡単に言えば
「俺を抱け」
それだけ。そうして、ニキを逃げられなくさせてしまった。体の関係なら割り切ってくれるかもしれない。俺と繋がっていてくれるかもしれない。そう、思ってしまった。案の定セフレのような関係が続いた。俺を抱いてる時のニキの目は、やはり俺なんて見ていなく。目は一度も合わなかった。何度も妄想したような、夢の世界とは違い。現実はやはり厳しかった。ニキはノンケ。俺には興奮できないし、俺のことを好きにはならない。それが完全にわかってしまい、かなり苦しかった。それでも、行為後も行為中も行為前も。ニキは優しくて。どんどん好きなってしまうだけだった。一種の、自傷行為のようにニキに抱かれる。 俺を抱いた日、あいつが泣いたり死んだような目をしながら煙草を吸うのを俺は知っている。
俺は俺の好きなニキを壊してしまった。自制ができなかったが故に。今更もう謝罪は言えない。貴方が。貴方がせめて。俺だけのものでありますように。
あぁ。 貴方と一緒になりたかった。
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