第1話「その輝きに誘われて」
Kr視点
初めて見た瞬間、グッと心臓を鷲掴みにされたような気がした。
誰もを魅了する不敵な魔性の笑み。
視線を独り占めする透き通ったアメジストの瞳。
秀麗さをより一層際立たせる指先まで意識されたダンス。
そして一度見てしまったら二度と逸らすことの出来ない圧倒的なオーラ。
その全てに魅せられた俺は画面の前から動くことさえままならなくて、体の奥底から揺さぶられるような身に覚えのない感覚に指先が震える。
👓
「す、凄い…」
それが精一杯の感想で、それ以上は俺の語彙力で言い表しようがなかった。
彼に近づきたい、俺も彼の隣に並べるようなアイドルになりたい。
俺はいつの間にか彼に惹かれてしまった。
名前も知らないたった1人のアイドルに、憧れてしまった。
👤
「お疲れ様でした!」
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「はい、お疲れ様でした!」
MVの個人パートの撮影が終わり、若干乱れた髪を手櫛で直しながら楽屋へ戻る。
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「あ、終わったの?お疲れ〜」
🦈
「そこにある弁当食べていいってよ。」
“White Tails様”と書かれた張り紙を確認してから横の扉を開ける。扉の先では既に個人パートの撮影を終えていたメンバー2人が俺を出迎えていた。
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「まじ?さんきゅー」
🦈
「午後はジャケットの撮影だからな。」
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「大丈夫、分かってるよ。」
🦈
「確かにきりやんよりBroooockの方が心配だわ笑」
📕
「ちょ!何それどういう意味ー!?」
ご丁寧に箸とお茶まで一緒に用意されたお弁当の蓋を取りながら、けらけらと笑い合う2人の会話に参加する。
すると突然楽屋のドアが大きな音を立てて開かれた。
🐼
「疲れたー!!俺だけ個人パート多くね!?」
🦈
「パート決めたのNakamuだろ。」
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「それに俺とあんまり長さ変わんねぇし。」
📕
「長くなったのって、僕が終わる時間くらいにNakamu沢山取り直してたからじゃないの?」
🐼
「揃いも揃って正論で俺を虐めないでよ!!!」
途端にがやがやと騒がしい空間に変わる。
話して、弄って、弄られて、笑って。
騒がしいと同時にそこは俺にとって心地いい空間だった。
📕
「まぁまぁ、午後はみんなで撮影だし頑張ろ〜?」
🦈
「NG出すなよNakamu。」
🐼
「そっちこそ表情硬いって怒られないでよね!」
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「どっちもどっちだろ笑」
先に行って確認してる〜、とBroooockが楽屋を後にする。シャークんもそれに着いていき、スポドリ買ってくる!とNakamuも楽屋を後にした。
3人ともかっこいい衣装に身を包み、セットされた前髪の隙間から覗く瞳はどれもキラキラと輝いている。
そして楽屋に置かれた鏡を見れば、俺もそんな彼らと同じようなかっこいい衣装を身に纏い、普段くるくると主張する天パの髪が主張はそのままに、しかし垢抜けたようにセットされている。
きっと過去の俺が見たら驚いて腰を抜かすだろう。
👓
(あの人に追いつくにはまだまだ遠いけど…)
今の俺は新星アイドルグループ”White Tails”の”きりやん”。
あの日憧れた彼と同じ舞台に足を踏み入れた新人アイドルだ。
To be continued.
コメント
3件
何かもう、愛してる(*´ω`*) 目指して芸能界入るとか、もう大好きじゃん((殴
この人のノベルの第一声って見たくなる書き出し方だよね(語彙力皆無ですいません🙏)