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自分の手を見ながら鑑定！ と念じた。
すると同時に、ピーン！｛鑑定のレベルが4に上がりました｝と聞こえてきた。
ゲン Lv10
年齢 17
状態 通常
【従魔】シロ（フェンリル）
ＨＰ 73/94
ＭＰ 122⁄134
筋力 54
防御 55
魔防 62
敏捷 44
器用 49
知力 93
【特殊スキル】 時空間魔法（U） 身体頑強 状態異常耐性
【スキル】 鑑定（4） 魔法適性（全） 魔力操作（4）
【魔法】 風魔法（3）
【加護】 ユカリーナ・サーメクス
鑑定がLv4になったとしても特に期待はしていない。――どうせ鑑定なんで。
それで何か変わったのか？
うーん、おおおっ！ ステータスに 状態 の項目が増えているじゃないですか。
体の状態がわかるのか？ 凄いじゃん鑑定さん。使えないとかいって悪かった！
洗脳・呪い・魅了・毒など数えたら切りがないよな。
この異世界においてはすごく重要だよな。――テンション上がってきたぁ！
あとは鑑定できる距離なんだが……。
いや、今確認するのは止めておこう。なーに明日すればいいんだ。明日に。
先程もふり倒したシロは俺の隣で伏せをしている。
「なあシロ、今日シロが見ている景色が映ったんだよ。これって感覚共有（超）のお陰だよね？」
シロは顔をこちらに向けてコクコク頷いてくる。
「それで、感覚共有（超）って他にどういう事ができるんだ？」
すると、シロは立ち上がり、いつものように目の前で回りだした。
おお、考えてる 考えてる。――可愛い。
そして、考えがまとまったのか俺の目の前でお座りをした。
んっ、どした？
すると、シロは右足を上げてお手のポーズだ。
「なんだー、お手かぁ？」
俺の出した手にシロは前足を乗っけてくる。
お手をしたままシロの頭をやさしく撫でてあげた。――よしよし。
『うれしい、おて、たのしい、あそぶ、いっしょ、いつも』
「はふぇ！」
変な声が出てしまった。
シロのことばが直接 脳に飛び込んできたのだ。いきなりの事にビックリしてしまった。
……意思 (ことば) を伝えられるのか。
いかん涙出てきた。
気が付くと、俺は涙を流しながらシロを抱きしめていた。
『いたい、どこ、いっしょ、あそぶ、なく、かなしい』
「いや、すまん大丈夫だ。どこも痛くないんだ。嬉しくて泣いただけだよ」
そうか そうか、共に過ごせてシロも嬉しいのか。
もちろん俺も嬉しいさ。これからはずっと一緒だからな……。
小さくなった竈の火に薪をくべる。
その薪を利用して、再びインベントリーの検証を行なっていた。
まずは薪だが、すでに火がついているヤツを用意する。
その薪を手に持って収納する。
出すときは掌をすぼめて根本を持っているイメージで排出。
すると、火がついた薪がそのまま出てきた。ドキドキしたがなんとか成功だ。
しかし、出す時は向きに気をつけないと大やけどするな。
これで松明でも火がついたまま収納しておける。
次は、インベントリーに収納している水筒だな。
水筒の中に入っている水を分離するようにイメージしていくと…………出来た！
表示は ”水・最良” と出ている。
水量はml単位で表示されるようだ。
水筒を取り出すと、ちゃんと空の水筒が出てきた。
そして、また水筒をインベントリーに収納。その水筒の中に水が入るようにイメージしてみる。
うん、出来ているな。――さすが俺！
まあ、今日はこれぐらにしておくか。
残りのスキル検証は明日することにして、この後は交代の時間までゆっくりと過ごすことにした。
空を見上げればふたつ月が輝いている。
月が二つだと潮の満ち引きなんかはどうなるのだろう。――複雑そうだな。
それにしても夜は明るい。遠くまでは無理だが近くは十分見えている。
魔獣さえ出なければ夜歩きだって出来るはずだ。
夜警は続けているが今夜はシロも居るし大丈夫そうだな。
小さい獣や魔獣では近寄ることすら出来ないだろう。
あ～、早く魔法の検証もしてみたいな。
それから、剣も使えるようにならないとな。
ショートソードを持ってはいるけど、使えないのでは意味がない。
『生兵法は大怪我のもと』なんていうが、しっかり訓練もしていかないとな。
やることは沢山あるなぁ。
女神さまに若くしてもらって本当に良かった。
おっさんのままでは何かと大変だったよな。
パチパチと燃えている薪をぼーと眺めながら、夜はしずかにふけていった。
おっ、コリノさんが起きてきた。
挨拶の代わりに手を上げてきたので、こちらも手を上げて答える。
それじゃあ寝るとしますか。ふぁ～あぁ。
俺が毛布を取り出していると、コリノさんが毛皮の敷物の方を指差している。
んっ、どゆこと？ 今度は寝るジェスチャーのあと毛皮の敷物の方を指差した。
あぁ～なるほど。それを使えってことね。
シートは持ってなかったので正直助かるのだが……。
まぁ、せっかくの好意だしね。シロも一緒で良いかと聞くと何度も首を縦にふってきた。
俺はシロに声を掛けると、毛皮が敷いてある場所に移動して一緒に眠りについた。
うん、いい夢が見れそうだ。おやすみ～。
ぺしぺし！ ぺしぺし！
『おきる、あそぶ、はやく、たべる、あさ、はやく』
うぅん、目を覚ますとシロがお座りして右前足を額の上に乗せていた。
……シロさんちょっとひどくね？
もう、みんな起きているようだね。
そのまま空を見上げると、今日は少し曇っていた。
すぐに、どうということはないが移動するなら急いだ方が良さそうだ。
俺は素早く立ち上がると敷物を片付けて馬車の中へ返却する。
川に向かい顔を洗う。その後は水を汲んで浄化してからインベントリーに収納した。
この作業もだいぶ慣れてきたな。顔を拭きながら竈の傍へ座った。
「はーい、朝ごはんですよ～。沢山食べてね～。」
カイアさんは今朝も相変わらずのテンションである。
朝食を済ませ、後片付けを終えた俺たちは早々に出発した。
いやー、旅慣れているのであろうが準備が早いのなんの。
流石は行商人ということだな。
空を睨みながらもテンポよく歩く。休憩を挟みつつまた歩く。
そして、お昼に差しかかった頃、空は今にも泣きだしそうになってきた。
あと、半刻 (1時間)も歩けば村があるそうだ。
さてさて、雨が降りだす前に 俺たちは村に辿り着けるだろうか。
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