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とんとん、と肩を叩かれる。
「…っ、 」
後ろを振り返らずに、下を向く。rir-だろう。過去の事を思い出したこと、rir-が自分のせいで怪我をしたこと。全てが辛くて、苦しくて、自分は今、泣いて、醜い顔をしている。そんな顔を、見せるわけにはいかない。そんな自分に気付いたのか、優しく背中をさすってくれる。その感触は、なんだか幼い頃、自分に声をかけてくれた女の子と似てる。
「…澪、」
澪、それは自分に声をかけてくれた子、給食を分けてくれた子の名前。その子とは、顔が全く違うのに、照らし合わせて見てしまう。一瞬手が止まったのは、知らない名前に驚いたからだろう。
rir-目線
htmnさん、おしゃれに興味あるのかな?結構こだわりあるみたい。
「…あっ、危ない!!!!」
私が積んでいた漫画がhtmnさんの上に落ちそうになっている。自分は、考える間もなく、htmnさんの背中を押し、庇う。視界が真っ暗になる。本の下敷きになり、視界が暗いだけのようだ。
「htmnさん、大丈夫ですか!? 」
そう声をかけても、返答は返ってこない。
(こういう時に不便なんだよなぁ…)
そんなことを思っていると、視界に、光が入ってくる。htmnさんが本を退けてくれたようだ。
(無事で良かった…)
htmnさんの方を見ると、後ろを向いている。お礼を言おうと、肩をとんとん、と叩くと、下を向く。
(な、泣いてる…?)
自分は、背中を優しくさする。
(…あの時と、変わってないな。)
「…澪、」
「…はは、覚えててくれたんだ。八、ちゃん。」
驚いて一瞬手が止まったが、そのまま背中をさする。
htmngu
落ち着いてきた頃、自分はやっと、rir-の方を向く。
「…ごめんなさい。」
rir-は、焦りながら、両手を横に振る。いやいや、と否定している様子だ。自分は、スマホを取り出し、rir-にDMを送る。
『…名前、なんていうの?』
あの子に似ていて、気になり、そう送ると、rir-は、はっ、としたような表情をし、少し悩む。
『無理だったら、言わなくても…』
『神楽澪』
「えっ、」
『…それ、本当?』
『嘘つく理由がないですよ。』
『自分のこと、覚えてる?』
『覚えてないわけ、ないじゃないですか。望月、八ちゃん。』
『…はは、ほんとに覚えてるんだ。』
『だって、私の生きる希望でしたから。』
『それ、ってどういう?』
『貴方が学校に入ってくるまで、私はいじめられてたんです。陰キャで、眼鏡でしたから。八ちゃんが学校に入ってきて、良い子ぶる為にも、わたしのいじめを中断して。八ちゃんの事情を知ったら、そっちにヘイトが切り替わって。でも、いじめが止まったと同時に、あなたの顔を見た瞬間胸のドキドキが止まらなかったんです。』
『え?』
『恋、なんだって。思いましたよ。生きる希望がなかった自分に、生きる希望が舞い降りてきたみたいに。でも、八ちゃんがいじめられている間、私はなにもすることができなかった。悔しかったんです。陰キャじゃなかったらなって、何回も思ったんです。そして、今、こうして二つ結びをして、可愛くなって。君に、好かれるため、でもあったんでしょうかね。 』
『…うん。』
『htmnguさん、いや、望月八さん!私と、付き合ってくれませんか?』
「…あっ…!?????」
目から涙が零れ落ちていく。
「…う、そでしょ…?き、こえる…」
「えっ、聞こえる!?」
音が、聞こえる。
あ、そっか…!
自分は、ずっと、君に会いたかったんだ。初恋の相手であり、手を差し伸べてくれた人。 女同士なんて、変だって、勝手に決めつけてた。だから、苦しかったんだ。変ってずっと言われてきたから。
「…ありがとう、澪。」