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「ねぇ!アキ君!、休み時間お友達といつも何して遊んでるの?」
アリスが明の食パンにバターを塗って渡す、明がもしゃもしゃとそれを食べて言う
「撮影会」
キョトンとしてアリスが訊く
「撮影会?なぁにそれ?」
「上級生のお姉さん達がくるの、すっごく楽しいよ、でも・・・・ 」
明が牛乳の入ったコップを見つめる、途端にアリスは不安になる
「え?上級生に何かされてるの?いじめられているの?」
アリスがずいっと明に詰め寄る、心配でたまらない
「ううん、みんなとっても優しくしてくれるよ・・・ただ・・ 」
明が慌てて首を振る
「ただ何?何でも言って!」
食い気味に聞くもう必死だ
「ちょっと・・・目が怖いっていうか・・・」
目が怖い?・・・どういうことだろう?アリスは首を傾げた
その時「ピンポーン」と母屋のインターフォンが鳴った
「誰かしら? 」
「僕ランドセル取ってくる~!学校いかなきゃ~」
アリスがいそいそと玄関に向かう
「はぁ~い!どなたぁ~?」
ガチャっとドアを開けたら、そこには3人の女の子が忽然と立っていた
「あら・・・・まぁ・・・・・ 」
あきらかに明より上級生だ、三人の女の子達はじーっとアリスを見ていた
一人一番背の高い、三つ編みでピンク色のランドセルの女の子が、優雅にアリスにお辞儀した
ペコリ「初めまして・・・アキ君のお姉様ですよね、先日入学式の時にお見かけしました。私・・・生徒会長の野々村静子と申します」
「覚えてるわ!あの(入学生への挨拶)をしてた子ね!」
アリスが顔の前で手を合わせて言った、とっても聡明でハキハキと最高学年生らしく堂々と挨拶をしてた子だ
「初めまして!私は同じく生徒会美化委員の浜田美月と申します。この子は写真部部長の永原由香さん 」
三つ編みピンクランドセル、生徒会長の野々村さんの横に、ずいっと並んだのは、水色ランドセルのロングヘアーの女の子だった
そしてその横にこれまた無言で並んだ子は、黒縁眼鏡のおかっぱ女の子、ランドセルは茶色だ
そして首からバズーカ砲のような、レンズのカメラを下げている
「え・・・え~と・・・・皆さん個性的で・・・よろしいわね、それで?今日は何かご用かしら・・・ 」
個性的な独特の雰囲気を醸し出している、この三人はなかなか迫力がある
アリスはどうしていいかわからず、愛想笑いをする
「ええ・・・本日は、ご家族様にもご挨拶をと思いまして、朝からこちらに参りました・・・そう・・・私達は・・・ 」
そう野々村さんが言うと、三人がいきなりビシッとアリスの前でフォーメーションを作った
ビシッ
「私達!」
ビシッ
「明君のファンクラブメンバー」
ビシッ
「『アッキーズ』です!」
「『アッキーズ』です!」
「『アッキーズ』です!」
綺麗に三人は組体操の「扇」ポーズを、アリスの前でビシッと決めた
練習してきたのであろう、掛け声までぴったり揃っていた
「私達の『推し』であるアキ君のお姉様に、本日はご挨拶を兼ねまして、私どもの活動をお認め頂きたく参りました」
「『推し』の幸せは私の幸せ!っ」
「清く!正しく!美しく! 」
「私達はアキ君が、麗しい学園生活を送っていただくために『推し活動』を通して死力を尽くすつもりです!」
これまた練習してきたのであろう、野々村さんの後に二人の掛け声が続く
そこへランドセルを背負った明がやってきた
「お・・・おはよう~・・・の・・野々村さん達~・・ 」
キャーッ!
「アキク―――ン(はぁと)」
「おはよう~(はぁと)」
「一緒に学校へいきましょう(はぁと)」
「うん♪」
明がにっこり三人に微笑んだ
ふぅ~~~~っと野々村さんと浜田さん、二人が倒れそうになる
「・・・今日も尊いわぁ~・・・・」
「本当に・・・・ 」
黒縁眼鏡におかっぱ永原さんのカメラが、アキの至近距離でカシャカシャ忙しく動いている
「遅刻しちゃう~~~~!」
明が急に走り出した
「あっ!待ってぇ~~~アキくぅ~ん」
「後で50の質問インタビューにこたえてぇ~~~ 」
カシャカシャカシャカシャカシャッ
走っていく後ろ姿の明を、写真部部長永原さんのカメラが忙しく追う
しばらくアリスはその光景を、あっけに取られて眺めていたが、永原さんがくるりと振り向いてアリスと目が合った、じっと永原さんがアリスを見つめる
「パシャッ!」
永原さんはアリスを一枚撮って、ペコリとお礼をして三人の後を追って走っていった
「アッキー・・・ズ・・・・ねぇ」
アリスは何も言えず、しばらくその場に佇んだ