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最近LINEVOOMの方で活動復帰したので、連載スピード遅くなっててすみません…。
そして、最近肩の筋を痛めました(要らん報告)
中国「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」
どこへ向かうべきかもわからないのに、ただただがむしゃらに走る。
中国「す、すみませんっ、通して下さいっ…」
沢山の人混みの中を掻き分けて進む。
そして、すれ違った人達からこんな声が聞こえる。
「あそこの川で誰か落ちたらしいよ。」
その声を聞くたびに、背筋がブルっと震える。
と、その時。
プルルルル…プルルルル…
ポケットの中に入れていた、スマホのバイブ音が鳴る。
慌ててスマホの液晶画面をみると、
中国「病院から…?」
病院の電話番号が映っている。
もう何となくわかっていた。
それに、今日は外出許可が出ていると言っていた。
色んな事を考えながらも、思い切って電話に出た。
中国「もしもし…」
看護師『あっ、中国さんですか⁈』
中国「そうですけど…」
看護師『今日、日本くんの外出許可が出ていたのですが…』
『途中で川に落ちて、今手術してて_』
現実を突きつけられるって、きっとこういう事だ。
多分、最初からわかっていたんだ。でもわかりたくなかったんだ。
中国「…わかりました。すぐ向かいます。」
そう言い残し、電話を切る。
そして、病院の方向へ再び走り出した。
どれだけ走っただろうか。
よたよたとしながらも走り続けながらそう思う。
中国「っ…着いた…。」
一度膝に手をつき、呼吸を落ち着かせてから病院内に入って早歩きで進む。
足が震えていた。走り過ぎたのもあるかもしれないが、それよりもきっと、恐怖からの震えだった。
受付「あ、中国さん…ですよね?
日本くん今丁度手術が終わったので部屋にいますよ。」
中国「…分かりました。」
手術はどうだったのか。そういう事を尋ねる余裕も無かった。
そのままスタスタと歩いて行き、部屋のドアを前にする。
正直、このドアを開ける勇気が出ない。でも、震える手足を落ち着かせようとしながら、思い切ってドアをそっと開けた。
すると、
????「あ…」
日本「……」
????「ちうごくさん…?で合ってるんね…?」
中国「え…」
日本と同じくらいの年代の子供に、自分の名前を呼ばれて、どう対応したらいいかわからなくなる。
その子は、首から古びた赤いスカーフを巻いていて、少し汚れた白と黒のボーダー柄のTシャツとデニムの膝までの丈のハーフパンツを履き、ぼろぼろになった靴を履いていた。
何があったんだというくらいボロボロだった。
中国「えっと、君は…」
????「あ、えっとioは…」
イタリア「イタリアなんね。よろしく。」
中国「イタリア…」
初めて聞いた名前だ。
中国「日本の友達アルか…?」
イタリア「ともだち…まあ、クラスメイトではあるんね…」
少し意味深な答え方に、首を傾げる。
イタリア「…手術は成功したらしいんね。でも、目覚めるかどうかはわからないって…」
中国「そうアルか…。
…お前、なんかあったアルか?」
イタリア「えっ…?」
中国「いや、なんかボロボロだなって…」
言わない方がよかったのかもしれない。
でも、
イタリア「…あのね、io…さっき、日本が川に落ちたとこ、見ちゃってさ…
助けなきゃって思った時にはもう遅くて…
でも、川から引き上げて救急車呼んだんね。
それで…」
そこまで言うと、言葉が詰まったのか困った顔をして次に言う言葉を一生懸命に考えているようだった。
中国「…いいアルヨ。ありがとうアル。
お前は…こいつの命の恩人アルな。」
我がそういうと、イタリアはなんとも言えない表情をした。
イタリア「…違うよ。」
イタリア「ioは…いや、ioの所為でこうなった んだ…」
一気に表情が曇って、遂には目から大粒の涙が溢れ出した。
中国「…」
我は一瞬、声を掛けようかと思ったが、より気まずくなるだけだと思い、伸ばした手を引っ込めた。
イタリア「ioの所為で…日本がっ…
生きる理由を失っちゃった…」
中国「ぇ…」
言葉を発そうとも思ってなかったのに、ぽろっと飛び出てしまった。
生きる理由を…?
それが、イタリアの所為というのもどういうことだ…?
イタリア「…ごめん、io…帰るんね。」
中国「え、あっ、ちょっと…!」
俯いた小さな背中を呼び止めようとしたが、呼び止めていいのかもわからず、中途半端になってしまう。
イタリア「…日本に、よろしくね。
『ごめんね』って伝えておいて。ちうごくさん。」
中国「あ…」
小さな背中は、そのまま部屋を出ていった。
それからという事、イタリアの事が色々と気になり、調べてみようかと思ったが…
ドイツ「イタリア…?イタリアは、ちょっと前に転校したんだ…。俺も、詳しい事はよくわからないけれど…」
日本の他の同級生にも聞いてみたが、転校したから、よくわからないと言っていた。
だが、そんな中でこんな事を言っている奴がいた。
「イタリア?あ〜…可哀想だよねー…日本くん。」
「イタリアの所為でいじめの標的が日本くんに代わったっていう…」
そいつは、元々日本やイタリアとは同じクラスだったけど、
当時、イタリアがいじめられていて、そのイタリアと日本が友達になったからいじめの標的が日本に移ったという噂が流行っていたらしい。
中国「…お前、名前なんて言うアルか?」
「僕…?僕は…」
フランス「フランスだよ。よろしくね。」
中国「日本とは友達アルか…?」
フランス「うーん…友達になりたかったよ。
でも…多分、僕じゃダメだからさ。勇気が出なかったんだ…」
フランスという奴は、俯いて、そう呟いた。
中国「…今からでも間に合うと思え。」
フランス「えっ?」
中国「何勝手にもう間に合わないと思ってるアルか。」
フランス「で、でも…」
フランスは、そう言うと暫く黙り込んでから、こう言った。
フランス「…僕、弱いからさ。」
そう言い残すと、走って帰ってしまった。
でも、その背中はどこか寂しげに見えた。
そんな事をしてる間も、毎日病院に通い続けていた。
そして、今日も病院へと向かう。
部屋に入り椅子に座ると、なんとなく日本に向かって話しかける。
これはいつもの事だった。
返ってくるはずのない日本からの返事を、永遠に待ち続ける。
中国「…って言ってたんアルが…。
日本も、やっぱり色々苦労しているんアルな…
でも、イタリアとはどんな関係だったのかはどうしても気になるアルな…
今度嫌じゃなければ教えてほしい…」
目元が急にブワッと熱くなる。
いや、これはきっと元々我慢していた熱なんだ。
中国「…なんて、返ってくる訳ないのに…」
掠れ声でそう呟き、視界が大きな涙の粒で滲む。
中国「何も…出来なくてっ…ごめん…」
そう言った、その瞬間だった。
涙の粒が病院のベッドで寝ている日本の手の平にぽたっと落ちると、ピクッと、日本が動いたのだ。
中国「っ!日本⁉︎
え、えーと…ナースコール…」
日本「…ちゅごくさん…?」
久しぶりに聴いた声だった。
ベッドの方を向くと、日本が重たそうな目蓋を開けていたのだ。
中国「え、ぁ…」
我は戸惑って、言葉を発することさえも出来なかった。
日本「あり、がとう…」
途切れ途切れになった日本の声は、棘の刺さった我の心にじわっと滲んだ。
中国「っ…!にほんっ…!」
咄嗟に日本に抱きついてしまう。
日本は少し驚いたような顔をしたが、まだ動きにくい手を持ち上げ、我の頭をそっと撫でた。
中国「っ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁん…‼︎」
こんなに思い切り泣いたのは久しぶりだった。
だって、我は日本のお兄ちゃんでいなくちゃいけないのだから。
我は、日本に恋心を抱いてはいけないのだから。
すみません、めっちゃ番外編長くなっちゃって…
なんなら、この小説過去の話がメインになってくるかもです…