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今回は藤原くんの回想多め シーンです。
うと視点
毎日が退屈でたまらない。
みんなが面白いというゲームをやっても、漫画を読んでみても、気分転換にスポーツをやってみても、何も思わなかった。
家柄は良かったけれど、だからといって俺は特別友達が多い訳じゃなかった。
他人に合わせられるほど器用じゃなかったし、俺自身、友達が欲しいとは思わなかったから。
でも今周りの人にいいように見られているのは、そうした方が良いと言われたから。
兄からよく言われている。
愛想を振りまいていれば、きっといいことがあると。
周りに褒められたりはしたが、でもやっぱりどこか満たされなかった。
ある日、クラスメイト達が恋バナ?を吹っかけてきた。
「なあ、藤原ってさ、めっちゃモテるわけで告白とかよくされてるけど、好きなやつとか居るの?」
好きな人か。考えたこと無かったな。
今まで告白されてもずっとなんとなく付き合って、なんとなく別れてたし…
「いないかな…」
「あ、やっぱりそういう感じ?だと思ったわー」
……そう思ってたのか。
その日の昼休みのこと。
「…わっ」
ボーッとしながら歩いていた。
「あ…え、えと、ごめんなさい…」
綺麗な声…。
「…あ、こっちこそごめんね。えーと…名前…」
「深山みほり…です。」
「みほりくんか!確か同じクラスだよね?席が隣だった気がする…。ごめんね、僕人の名前覚えるの少し苦手で…。怪我は無い?」
「あ、うん、大丈夫…」
少し驚いたような顔をして彼は言った。
そうして、もう1回謝って行ってしまった。
「……かわいい」
顔が熱を帯び、鼓動が高鳴る。初めての感覚。
恋なんだろうな、きっと。
初恋。自覚したこの瞬間が1番純粋な恋心だった。
次の日、みほりくんに挨拶してみた。
少し戸惑いながらも、返事を返してくれた。なんか可愛い。
どうしても、2人で話したくて移動教室、昼食、放課後、一緒にいて欲しいと誘った。悩んだ後いいよ、と返事をしてくれた。うれしいなあ。
しかし、俺の恋心は真っ黒なものになってしまった。
みほりが他の人と話しているとどうしても遮りたくなる。楽しそうにしていると他の場所へ連れ出したくなる。
君が笑いかける相手は俺だけでいいのに。俺だけ見てくれればいいのに。みほりの周りのやつらが羨ましい。妬ましい。いっそみほりの前から消えてしまえばいいのに。そうすれば嫌でも俺だけ見てくれるのに。
決めた。
ずっと俺の傍にいられるように絶対君を手に入れよう。どんな姑息な手を使っても。
やっと、やっと。ここまで来れた。
たった数ヶ月だったけれど、長かったな。みほりくんのこと彼女に出来た…!
困ってるところに付け込むようで少し申し訳ないけど、でもいいよね。しょうがない。だって今やらなければいつか君はどこかへ行ってしまうから。
今度こそ家に誘ってみよう…。きっと、絶対、断らないよね?
みほり視点
「みほりくん、良かったら家おいで?」
どうしようか。
恋人になってから初めてのお誘いを断るのってちょっと心苦しい。別に断る必要も無いし行ってみようかな。
「藤原くんがいいなら、行きたい」
「!わかった、じゃあ○○公園で待ってて?迎えに行くよ」
「うん」
ちょっと楽しみ。