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遠なりの声

とある星の子がいた。

仲良しの友といつも遊んでいたけどひとつ、他の仲良しの子たちとは違うところがあった。

陽だまりの中の草原を一緒に走るときも

目を見張るほど満開の花々を摘むときも

友から手を差し伸べてくれた時だけしか手を握らなかった。

それもあまりないことだった。

友は手を差し出してくれるときはいつもとても眩しい笑顔だった。


あるとき、いつも遊んでいる友が見つからず空を飛び、走って探しても見つからず。

気づけば夕方だった。

雲の上のたくさんある小島のうちの小さな孤島にうずくまり独り泣いている友を見つけたその後ろ姿はどこか息が詰まりそうになる友をどこかに連れていくように追い風が常に静かに吹いていた夕陽も沈みだし暗くなっていく。夕陽でほのかに赤くなっていた黄色いケープも暗くなっていくその後ろ姿は哀しげだったなぜ泣いているのかはわからなかった抱きつきたい衝動に駆られるが結局ただ隣に座ることしかできなかったそれぞれが旅をしていた銀河を探してそのまま夜が過ぎていった

夜が明ける前友は寝ている星の子の手を握ると振り返らず夜の空を飛んでいった黄色のケープがいつもより星の光をうけて輝いていた

次の日、目が覚めて隣を見ると見慣れた姿がないある不安を覚え探しても探しても見つからない精霊様に聞いてもどこにいるのかわからないそれを見た星の子から探している子は独りで”暴風域”に向かっていったと聞かされた友は”暴風域”に行くのが怖くて泣いていたことに気づく危険な場所だから星の子を連れて行くつもりがなかったこともそれから来る日も来る日も”暴風域”の扉の前で待っていたあの日、友が泣いていた日にどうして抱きしめて一緒について行くことができなかったのか悔やんでも悔やみきれずに転生してきた子を世界でたった1人の友かどうか確認しながら待った時の経つうちに体からは光がなくなっていきそのため表情もわからなくなったまるで石のようになった星の子が暴風域の大きな扉の横にうずくまっているどれくらいのときが経ったのかふと”暴風域”の扉から友が呼ぶ声が聞こえて星の子もまた”暴風域”に消えていったただ、光の消えた目とケープには光が蘇り幸福に溢れていた


やがて・・・星の子たちの間にこんな噂が立つようになった“暴風域”で数えきれないほどいる光が消えた星の子の骸の中に、とある星の子の片手を両手で握りしめている星の子の骸があると…

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