🌩️🦒×🐝🤣
🐝が離れて行ってしまうかもという不安を抱えている🌩️が、不安で🐝に無意識に暴力を振ってしまう話。
(全部”愛”故の行動です。)
一応共依存です。
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🌩️視点
「…チッ、遅ぇな…。」
俺、宇佐美リトはオリエンスというヒーロー事務所に所属している。チク、タク…と一定のリズムで音を鳴らす時計を見ては、恋人の帰りが遅いことに怒りを覚える、暫くの間この繰り返し。
恋人というのは俺と同じオリエンス所属のスピード担当、緋八マナ。彼はヒーロー兼コメディアン。今日はコメディアンの仕事が長引いているようだ。
「ぁー…何やってんだ、マナ…」
家に着くと言われていた時間より30分過ぎている。何か仕事でハプニングでも発生したのだろうか。中々帰ってこない恋人に怒りを覚えると共に、今度は焦りも募ってきた。
(もしかして今頃俺に隠れて他の奴と…)
もしかして、と悪いことばかりを考えてしまう。俺のことをあんなに毎日好き好き言ってるマナを疑うべきでは無い。普通に仕事が忙しいのだろう。
…そう思うべきなのに、分かっているのに。
「…いつ帰ってくんだよ…」
内心焦りやすい俺は帰ってこないマナへの怒り、焦燥が募っていくばかりだった。
🐝視点
「やっばい、やっばいっ!」
必死に仕事服でリトの待つ家までダッシュする。仕事が予定より30分も押してしまった。リトに「遅れる」と連絡する間も無い程に忙しい1日だった。出演者の1人が遅れ、途中で大切な器具が壊れ一旦中止等々…ハプニングだらけで予定通りに進むことが無かった1日だった。
「はぁ、はぁっ、はぁ…」
家まで続く道を走り抜けてやっと家の前まで来た。扉を開ける前に走って上がってしまった息を落ち着かせる為に膝に手を起き、息を整える。
「はぁ、よし。」
息を整えた後で家の扉を開けようとする。だけど、扉を開ける前に手を止めてしまった。
リト…リトにはどうやって説明しよう…。
リトは俺のことをとても心配しているだろう。連絡も怠ってしまったし、もしかしたら今までに無いくらい怒っているかもしれない…。
中に居るであろうリトの様子を想像するだけでいつも通りではいけないだろうな、と分かった。
意を決して入ると決め、ドアノブへ手を持っていく。
ガチャ
「へ、?」
俺が扉を開ける前に扉が空いた。
なんで…あ、
「よぉ、マナ…。随分と遅かったな」
「あ、リト…」
中から出てきたリトは思っていたよりも鬼の様な形相だった。
(不味い、これは相当怒ってるな…)
「えっとー…これには訳があって…」
「まあまあ、とりあえず中に入れよ」
リトに腕を強く握られ家の中へと案内された。
「ちょ、リト!俺の話聞いてや!」
(はぁ〜?待って、リトやっぱり力強すぎんか!?)
腕が握り潰れてしまうくらいの力で掴まれたまま、部屋の奥へと連れていかれる。
「あ、、」
握られていた手をやっと離されたと思えばリトは無言のままで冷たい目で見つめてくる。
(あ、待って…そんな目で俺を見やんといてや…)
リトの冷たい目に恐怖を感じた俺は「ぁ、、ぁ」と声にならない声を出すことしか出来なかった。
「マナ、まず言うことは?」
「……あっ、」
パチンッ
「ッいった…」
リトに頬を突然叩かれる。あ、これヤバいやつだ…
「遅い、なんで俺が分かってるか分かんないか?」
「あ、違うッ!帰りが遅くなってごめんなさッ」
リトに怒りを抑えて貰う為、必死に謝罪の言葉を並べる。頭が真っ白になりそうだ。
「そうだよなぁ?恋人の俺を差し置いて他の奴らと何してた?」
襟を強い力で掴まれた。
あ、そんなに力強く掴まれたら仕事服がくしゃくしゃになってしまう。リトは俺が全然帰って来なくて心配だったのだろう。だから怒りが強まりこうなってしまった。連絡出来なかった俺の責任だ。それで今は…リトは俺が浮気をしているかもしれないと疑いにかかっているらしい。
そんなこと、俺がするはず無いのに…
「仕事がッ、予定通りに進まんくて、連絡も、忙しくて出来んやったッ…ほんまごめんなさぃ…」
先程叩かれた右頬がじんじんと痛みを主張してくる。俺は少し涙目になりながらリトに正直に訴えかけた。
「…そうか。本当だよな?嘘ついてたら承知しないぞ」
「もちろん!本当やでっ!俺はリトしか好きやないっ!!」
リトの目が先程と比べたら少しだけだが、ほんの少しだけ、柔らかくなった気がした。
「まあ、でも連絡怠ったのは良くないよなぁ?」
「え、うん…」
「またマナがやらかさないように躾、しないとだよな?」
リトは笑顔でこちらを見てくる。
このリトの表情を笑顔…と表していいのだろうか。狂気を含んだ笑み、と言った方が合っているかもしれない。
先程、俺はリトの目が少し柔らかくなったと言ったが、そんなことは無かったのかもしれない。
バチンッッ!!
「ぐぁッ、けほっけほっ、、」
「ほーら、マナ。何が悪かったんだっけ?」
リトは俺を一発殴ってから何が悪かったかを言うように強要してくる。最初は軽く殴られたのだが、少しでも嗚咽を漏らせば追加で暴行される。
「ッ、りとっ!りとに連絡しなかったッことッ!!」
「そ〜だよなぁ〜…他には?」
「ぅえッ、ほ、ほかっ!?」
怖い…リトにこんなに恐怖を抱いたのは初めてだ。リトが俺のことを心配して思ってくれていることは100も承知だが、流石にこんなに何回も殴られていると気が滅入ってくる。何しろ物凄く痛い。
「ん?何、言えないの?」
バチンッ!!
「いッ…違う!言えるッ!えっと、リトを不安にさせた、こ、とッ…?」
「うんうん。マナはやっぱり頭が回るな。じゃあ次な、」
このやり取りがかれこれ10回は続いた。
チュンチュン
「ん、、。」
小鳥のさえずりで目を覚ます。身体を起こそうとすると、
「いっっ、」
身体に激痛が走った。
あ、そういえば俺、昨日リトに躾されたんだっけ?今まで躾と称して怒られるのは数回あったが、今回がダントツで痛いし恐怖を感じた。
けど、それはリトが俺を思ってくれているという証拠でもある。だから俺はこの躾とやらを嫌いにはなれない。むしろ好きでもあるんだ。
「あ、マナ…起きたか…」
「ん、おはよーさん」
リトがものすごーく申し訳無さそうな顔をして俺が寝ているベッドへと歩み寄ってくる。
「はは、そないしてどーしてん」
「いや、マナ、本当にすまん!謝って許されることじゃないって分かってるけど…自分でもなんでこうなったか…本当にすまん!!」
90度に身体を折り曲げて謝ってくるリトがおかしくて笑ってしまった。
「ぷっ…全然気にしとらんよ。むしろ不安にさせちゃってごめんな、?」
「いやっ、手をあげるなんて最低だ。本当にすまん!」
「いや、聞いたってw」
暫くそのやり取りをしているとリトが俺の顔を覗き込むように見てきた。
「その、傷は大丈夫か?一応手当てはしたけど痛かったら全然言ってくれ。」
「ぜーんぜん大丈夫や!リトが手当てしてくれたお陰やな!」
リトが躾をしてくれるのは俺は別に本気で嫌と思っている訳では無いし、あまり気にして欲しくない。だからリトが大好きな俺のとびっきりの笑顔で返す。
「本当か…?もし痛いって感じたらすぐに言えよな」
「勿論やって!」
リトを不安にさせすぎてしまったらたまに起こるこの現象。
俺はリトが大好きだからリトから与えられる物は全て受け入れる。
それが暴力だとしてもリトから与えられたなら全て愛おしく思えてしまうんや。
だからリト…これからも俺の身体に愛のしるしを沢山付けてくれてええんやで?
俺は大丈夫やから♡
俺は恋人を異常なまでに愛している。
もしこれがおかしいと言われてもこの愛が冷めることは永遠に無いのだろう。
コメント
2件
わぉ…めっちゃ好きです🫶🏻🫶🏻 次の作品楽しみにしてます…‼️
好きすぎる、、、、 癖に刺さりすぎている、、、、