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『拝啓、シンアイなる貴女へ』
私の人生に
愛とか
恋とか
そんなキラキラしたものは無いんだろう
これからも
この先も 。
そんな事を
ずっと ずっと
思っていた 。
貴女に逢うまでは
7月31日
日曜日
この日は夏休み最終日であり
高校生時代最後の夏休みだった
翌年には受験期を控えていた私だったが
1日のみ夏休みに参加することにした私は
まだ買ったばかりの新品の浴衣を着て
夏祭りに向かった
受験勉強で参っていた私には
丁度良い気晴らしだった
元々夏祭りで何か買いたいとか
そういった物欲が無かったから
連なっている屋台をただ眺めて通りすぎていた
それだけでも私は
充分満足だった
そうして歩いていると
誰かに肩を叩かれた
外で声をかけられるなんて
両手で数えられる程しか経験が無かった私は
少々困惑しながら後ろを振り返る
「 フランスちゃん、こんばんは !
フランスちゃんも夏祭り来てたんですね 」
そこには
軽く笑みを浮かべ
夏祭りなのに身軽そうにしている女の子が
浴衣姿で立っていた
「 日本ちゃん ?
こんな所で会うなんて、奇遇ね。 」
「 ふふ、そうですね!そうかもしれない !
だって、夏祭りって言うのに、
クラスメイトの誰1人としていないですし!」
そう言い微笑む彼女に
胸が熱くなった
実を言うと
私は日本ちゃんに恋をしているのだ
日本ちゃんは初めて出来た私の
『 友達 』
であり
『 親友 』
なのだ
高校入学後
期末テストでは毎回学年一位を譲らず
2年生でも副生徒会長になったり
3年生では可愛いけど厳しい風紀委員として
学校の中でも有名人だった日本ちゃん
対して私は中学生の時の友達も少なく
話しかけてくる相手も
話し相手さえもいなかった
次第に私は心に『壁』を作るようになり
私も
周りの人達も
傷つかないよう
皆んなと距離をとるようになった
でも日本ちゃんは
私が作っていた『壁』も拒むことなく
手を差し伸べてくれた
それからは
少しずつ話すようになって
次第に
一緒に遊んだり
一緒に勉強したり
学校以外の付き合いも増えていった
気づいたら私は
学校では
ずっと
日本ちゃんを
目で追っているようになっていた
もう
日本ちゃんしか見れなくなっていたのだ
ふと
日本ちゃんが
何か思いついたような顔を見せる
「 そうだ !
ここで会ったのも何かの縁、
一緒に花火でも見ない ? 」
「 え ?いいの ? 」
「 勿論!
寧ろ、私はフランスちゃんと見たいな ! 」
「 じゃあ、遠慮なく ! 」
「 そう来なくちゃ ! 」
嬉しかくて思わず笑みが溢れるも
私は心の中で焦っていた
好きな人から
“ 貴女と一緒に花火を見たい ”
なんて言われたら
期待してしまうから
期待なんかしたく無い
失恋した時に悲しむのは
私だから
こんな気持ちも
所詮自己防衛だ
私は私の事しか考えないし
貴女も貴女の事しか考えないはずなの
でも
私は貴女の事ばかり考えてる
私にとっての地獄は
貴女に
この気持ちを伝えられない事だと思う
気持ちを伝えられずに
未練たらたらのまま生きていくのは嫌
そんな事を考えていたら
日本ちゃんに手を引っ張られ
気づいたら
高台にある神社に居た
「 こんな所に神社があるなんて、
知らなかったわ… 」
「 ふふ、
ここは私のお気に入りの場所なの !
フランスちゃんには特別に教えてあげよう!
皆んなには秘密だよ ? 」
日本ちゃん曰く
ここは地元の人でも中々知らない
穴場の絶景花火スポットらしい
「 あそこに少し大きめのベンチがあるの。
そこで見ましょう ? 」
というと
またも彼女に手を取られ
ベンチまで連れてかれる
確かに普通のベンチより大きく
私達2人くらいなら余裕で横になれそうだった
軽やかに駆けて座った彼女の隣に座る
目の前にはビルやら建物やらの光が
星のように輝いていた
「 わあ、綺麗ね 」
「 ええ、本当に 」
単純な会話を交わし
私達はそれぞれ
目の前に広がる壮大な景色に
圧倒されていた
「 ねえ、日本ちゃん 」
こちらに振り向く貴女と目をあわせる
「 好きだよ 」
その言葉を言った直後
ずっと思い続けていた思いから解放され
体から力が抜けた
しかし直ぐに
後悔が募っていく
言ってしまった
言ってしまった
嫌われるかも
縁を切られるかも
緊張で身体が強張ってしまう
つい数秒前は
あんなに力が抜けていたのに
先程まで貴女と目を合わせていたのに
それさえも難しく感じた私は
俯いた後
ひらたすら呼吸をする
「 もう、フランスちゃんは
ロマンチックなことするね 」
日本ちゃんの言葉に安心するのも束の間
日本ちゃんが
息を吸った瞬間
次はどんな事を話すのだろうかと
また身体に力を入れてしまった
「 私も、好きよ 」
思わぬ返事に息を呑み
俯いていた顔を上げる
貴女は笑っていた
美しい笑顔で
そして
続けて話し始める
「 付き合ってくれませんか ? 」
嬉しかった
貴女に私が認められたみたいで
心から安心し
だんだんと気持ちが昂っていった
「 勿論 ! 」
嬉しくて 嬉しくて
思わず
貴女に抱きついた
優しく私を包み込むように
貴女も抱きつく
「 フランスちゃん、顔を上げて ? 」
言われた通りに顔を上げる
その瞬間
唇に何か柔らかくて暖かいものを感じた
初めてだ
生まれて初めてキスをした
顔がどんどん赤くなっていくのが分かる
惜しみながら
唇を離し貴女の顔を見つめる
優しく微笑んでいる貴女は
この世の中で1番
美しかった
綺麗
夜景や花火なんかとは比べようもないくらいに
フランスちゃんは綺麗だ
ここまで努力してきた甲斐があった
貴女に話しかけようとする人
近づこうとする人は
皆んな 皆んな
ねじ伏せてきた
ここで会ったのも偶然じゃない
私はフランスちゃんの行動を1秒たりとも
見逃したりはしないから
フランスちゃんが今日夏祭りに来るってことくらい勿論把握してた
フランスちゃんには私がいなきゃダメ
私以外は見てほしくないし
私以外からフランスちゃんが見られるなんて
そんな事あってはいけない
でももう大丈夫
貴女は私のもの
誰にも触れさせやしない
「 あゝ、やっと、
貴女を手に入れることが出来た 」
彼女が呟いたその一言は
花火に掻き消され
フランスの耳に届くことはなかった。