千里が見た事ないという彼…柊 周
心優(千里は生まれた時からこの町にいる訳だし…)
そんな千里が彼を見た事ないなんて有り得ない
心優(なら、私と同じで最近越してきた子なのかな)
まぁ取り敢えず彼が居そうな駅に私は
足を進めることにした
心優『居るかな…柊くん…居ますか?』
駅周辺で彼を呼ぶ
周『あれ…?花崎さん?』
柊くんは最初に出逢った時と同じ場所
古びたベンチにポツンと佇んでいた
心優『柊くん…良かった…いて』
周『うん?えっと…どうしたの?』
『俺を探してるみたいだったけど…』
心優『あ、えと…柊くんに聞きたい事があって』
不思議そうな顔をする柊くんに私は
千里との会話を話した
心優『だから…柊くんってこの町の人なの?』
周『………』
柊くんは暗い表情で少し黙ってしまった
心優(あ、あれ?聞いちゃダメだったかな…)
『ひ、柊くん…なんかごめんね…その』
周『え?あ、大丈夫だよ。ちょっと…ね』
心優『?』
周『その…千里さんって言う方が俺を見た事ない』
『っていうのも無理ないかも』
『俺、最近、こっちに来たばっかだから』
心優『あ、やっぱりそうだったんだ』
どうやら私の勘は当たっていたようだ
どうりで千里が見た事ない理由が分かった
心優『あれ?そういえば柊くんって何歳?』
周『俺?俺は17歳だよ。』
心優『なら私と一緒だ…学校に居なかったみたいだけど』
周『…あー学校には通ってないんだ。色々あって…』
心優『そうなんだ…』
私はそれを聞いて少し肩を落とした
柊くんが同じ学校だったらもっと
楽しい高校生活を送れる気がしたからだ
心優『残念だなぁ…柊くんと喋るの楽しかったから』
周『それなら、またここに来なよ』
『そしたら喋れるよ。俺ここにいつも居るし…』
心優『え?いいの?やったぁ!』
また柊くんと喋れると思うと
この町にやってきて良かったと思えた
この時、柊くんが暗い表情をしていたのを
彼がこの時、何を思っていたのかを
私はまだ知らなかった。
彼にあんな秘密があったなんて。
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