「…!?」
トグロスの頭の蛇が、いち早くそれに反応する。
すると、トグロスの体から、ムラムラオーラが風船から空気が抜けるように抜け始めた。
そのオーラは校庭に吸い込まれるように向かっていく。
「んぐっ!なんだこれは!?力が~っ!」
トグロスがいくら抵抗しようと無駄で、とうとうムラムラオーラは完全にトグロスから抜けきった。
トグロスは元のメドゥーサの姿に戻り、自分で破壊していた建物の瓦礫に落っこちた。
「うううっ…こここ…これは、どういうことだぁ~!?」
メドゥーサは怒り心頭のようだ。起き上がり、皆の方向を睨んでいる。
「まだ分からないの?」
フブキは瓦礫の上に立ち、メドゥーサを見下ろすと、愉快そうに笑った。
「あなたの集めた『行き場のない思春期の衝動、いわゆるムラムラ』が、『行き場』を持ってしまったのよっ!」
フブキが満足げにキメるも、未だによく分からないジンペイ達。
瓦礫の下で怒り狂うメドゥーサや笑うフブキ、
ラブラブの応援団とチア部の面々、自分達の隣で満足げなアゲハを代わる代わる
見ては、どういう仕組みか分からずにいる。
ムラムラオーラを完璧に吸いとった応援団とチア部達。
メドゥーサは怒りを抑え、言った。
メドゥーサ「…ならば奥の手、切り札、ファイナルウェポンを使うしかないねぇ…」
アゲハ「そんなに色々な言い方が…」
アゲハが人知れずツッコむ。
それも気にせず、メドゥーサは空に魔法陣を描いた。妖しいオーラ満々だ。
魔法陣の中で小さな稲妻が轟いた。
そして、学園の上空が、先程までの青空が嘘みたいに不気味な色に変わっていく。
ゴゴゴゴゴ…
地鳴りなのだろうか、恐ろしい音が響く。
あまり事態は楽観視できる状況じゃなさそうだ。
YSPクラブは集まって警戒を強める。
みんな「なんだ、この音は…?」
するとメドゥーサは、愉快そうに高笑いした。
メドゥーサ「おっほほほっ!この町も全て終わりだ!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
地鳴りのような音はさっきより大きくなってきている。
皆が危機感を最大限に高めた、その時!
ジンペイ「あれはっ!!」
ジンペイが、皆の真上を指差した!
ジンペイにつられて、皆も空を見上げた。
すると!
皆の視界に、現実とは認めがたい状況が入ってきた!
なんと、妖しい空のはるか上から、Y学園の塔に向かって巨大な隕石…そう、『メテオ』が落下してきていたのだ!
メテオは赤く燃えていて、とにかく皆は唖然としてメテオを見上げるしかない。
九尾「隕石!?」
九尾がとっさに言う。
メドゥーサは皆の呆然とした表情に満足そうな笑みを浮かべる。
メドゥーサ「契約したのだ。私に力を与えてくれた者たちとね」
アゲハ「あんな大きな隕石が落ちたら、Y学園の敷地どころか、学園のある町までただじゃ済まないわよ!」
アゲハもただ事じゃないこの状況に、慌てて叫ぶ。
一方、マタロウは赤い月のような隕石をただただ見上げていた。この隕石は、見覚えがある…!
マタロウ「……」
全てが始まった入学式の日にマタロウが見た、赤い隕石により学園が破壊される恐ろしいビジョン。
「たまたま」と気にも止めなかったあのビジョン。一番実現してほしくなかった、あの…
マタロウ「あのビジョンが、現実になった…!!」
メテオは愉快そうに笑うメドゥーサ、そして呆然とする皆、学園シティへと、どんどん迫ってきている。
アゲハ「こ、こういう時こそ、人生は捨てたもんじゃない訳でして…」
アゲハは皆を勇気づけようと試みる。
マタロウ「その昔のお友達について教えて、冥土の土産に…」
マタロウが縁起でも無い事を言い出す。これには皆慌てる。
アゲハ「やだ、縁起でも無い!…えーっと、何かね、色々壮大なお話なの!ジンペイとかコマ君には話したと思うけど…」
ジンペイ「え?話してたっけ?」
アゲハ「話してたわよ!私の家におじいちゃんとおばあちゃん来た時、
昔話だ~、っておじいちゃんのこと話してたじゃない!」
コマ「僕は覚えてます!半分ほど」
そんな危機感の無い会話をする皆。
アゲハ「えーっとね、とにかくスケールが大きいの。まずおじいちゃんやおばあちゃんや
イツキさんが住んでたのは、私達と同じさくら元町で…」
アゲハが話し始めようとすると、体育館の屋根の上から、学園長の拡声器越しの大声が皆のもとにも聞こえてきた。
校長「超校合体ガッコウガーY!出撃準備!!」
一体何の事だろう?皆で首を捻っていると、突然学園シティ中にサイレンが鳴り始めた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!