テラーノベル
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「む、睦月君、電話……」
「そんなのあと」先生に迫ろうと僕はさらに距離を詰めた。電話なんか知るか。
「だ、だめだよっ……緊急の用事かもしれないし……っ」
「……しょうがないな」
せっかくいいところだったのに!
こういう時に限って邪魔が入るんだ!
しぶしぶスマートフォンの画面を見つめた。着信名は『潤』になっている。おのれ…! 先生といちゃらぶを邪魔した罪は重い!
重罪に値するッ!!
僕は怒りに任せて電話に出た。「なんだよ潤っ、今いいところ――」
『睦月。大変だぞ。値動きによくない兆候が見られる』
「なに」
『先物(※)がおかしな動きをしているぞ。大きな下げが来るかもしれないから注意しろ』
※先物とは
先物取引で株価が上昇すると、買い手は約束した価格よりも高い価格で売却することができ、その差額が利益となります。
【仕組み】
先物取引では、株式相場の見通しに基づいて、価格が上昇すると予想した場合は「買建て(ロング)」、下落すると予想した場合は「売建て(ショート)」を行います。
買い建てた価格より日経平均が上昇したところで転売すれば、その差額が利益となります。
売り建てた価格より日経平均が下落したところで買い戻しを行えば、その差額が利益となります。
【リスク】
先物取引は、価格の変動次第では、預託した証拠金を上回る損失になる可能性があります。
株価指数先物取引は、少額の証拠金で多額の取引を行うことができますので、時として想定外の多額の損失を被ることがあります。
「注意しろったって今マーケット(※)開いてないのにどうするのさ」
※日本の取引は2024年8月段階では、午前9時から午後15時までとなっています。この物語は現在、2024年7月31日です。
『朝イチでヘッジ(※)入れておいた方がいいんじゃないか?』
※ヘッジ(hedge)とは、英語で「回避」を意味し、価格変動のリスクを回避するための手段や戦略を指します。買い(ロング)ポジションを持っている場合、株価が下落する場合は売り(ショート)ポジションを持っておく等、損失が広がらないようにする手法のことです。
「んー……わかった。見ておく」
もう今、株なんかどうでもいいっての!!(怒)
「電話、緊急のお仕事だったんじゃないの? すぐ行ってくれていいから」
先生は僕が離れた隙に体制を立て直し、もういつもの先生に戻っていた。甘い雰囲気は消し飛んでしまい、僕は最悪な気分だ。
「先生より大事なものなんかないんだけど」
「っ……!」
先生はどうやら冷静を装っていただけで、別に雰囲気を崩したわけではなさそうだ。
「仕事終わったら相手してくれるの?」
「そ、それは……」
真っ赤になって俯く先生は破滅的にかわいい。今すぐベッドに連れ込んで愛したい。
「少し待っていてね」
ちゅっと頬に口づけ、部屋に行った。昔デイトレーダーをしていた頃の名残で、部屋のパソコンにはモニターが6台繋がっている。これを見ながら銘柄をチェックし、日中に株の売買をしていたが、今ではデイトレ引退したので、株の保有は基本ロング(買い)のみ、インデックスファンドや新規の会社に投資でお金を増やしている。
しかし、株や債券等のリスク資産というのは、時々暴落に見舞われて資産がとんでもなく目減りしてしまうことがある。会社で行っている投資は一般の額とは違うから、潤はよくこうやって海外マーケット(日本時間では夜間になる)の値動きをチェックして僕に報告してくれるのだ。
「なにも今じゃなくてもいいのに」
パソコンの電源を入れながら思わず愚痴がこぼれた。あと少しで脱・童貞できるところだったのだと思うと、本気で潤の電話なんか無視すればよかったと後悔しかない。
でも、今、おとうさんいるもんな…さすがにマズイか。僕、佑里香先生を抱いたら多分歯止め効かなくなって、なにも見えなくなりそうだから。
コメント
1件
もう潤くんの電話のタイミングが絶妙すぎて笑っちゃいました😂 せっかくのいい雰囲気なのに…! 先生が真っ赤になって俯く姿、すごく可愛くてキュンとしました。でも最後の「おとうさんいるもんな…」で一気に空気が変わって、続きが気になりますね。
雨鈴蓮花🫧ラムネ中毒者🫧
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