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#.1 ちょっぴり苦手
⚠ gslt、mmlt要素あり
_lt side_
もう見慣れてきた景色。桜の咲き誇る校舎に入る。春の暖かな香りに包まれながら、騒がしい靴箱へ向かう。
mm「今年も同じクラスですよltさぁんっ!!」
lt「うわぁ!いきなり飛びつくな!!」
朝からドでかい声で抱きついてきたのは、一年前にできた親友のmmさん。暑苦しいと感じつつも、なんだかんだ仲良しだ。mmさんを引き剥がして、革靴を靴箱へ置く。
lt「お~2組じゃん」
mm「待って元1年3組少なくない!?」
lt「えがちじゃん、大丈夫かな…」
他愛ない会話を交えながら、新しい教室へ足を運ぶ。見慣れた一年生の教室を通りすぎ、二年の教室の扉に手を掛ける。扉がガラガラと音を立てながら開いた。
mm「…なんか騒がしいですね」
教室の後ろの方で、大きな人溜まりができている。何事かと座席表と名簿を確認する。すると、あっと声をあげて、mmさんが1人の名前を指差した。その名前を見て、私も声をあげた。
mmlt『gsoさん!!』
注目の的_それはまさしくgsoさんであった。一年生の頃からいい意味で噂の人。一年で何度も告白を受けたらしい。
それもそのはず、容姿端麗、頭脳明晰、おまけに人格者。1つ欠点をあげるならば、運動が苦手なところ。ただ、そんな欠点すら愛おしく思えるのが、彼女の凄いところだ。
lt「そりゃ人溜まりもできますわ」
mm「待ってltさん席隣じゃないです?gsoさんの」
lt「…え?」
思わぬ発言に無意識に声が漏れる。黒板に貼られた座席表に再度目を通す。すると、gsoさんの隣の席には「lt」の文字。
lt「マジかよ…えあの人混み掻き分けて座らなきゃならないの?」
mm「お疲れサマンサーネクロマンサー」
lt「なにそれ…」
少し嘲笑を含んだ顔でこちらを見つめてくるmmさんに若干の苛立ちを感じた。朝のチャイムが鳴るまではmmさんの席をウロウロし、なんとかやり過ごした。
キーンコーンカーンコーン
今学期はじめのチャイムが鳴る。人混みは徐々に減っていき、私の座席がようやく視界に映った。mmさんに手を振りながら、自分の席に腰を下ろす。
gs「あの、ごめんなさい…!席、なかなか座れませんでしたよね?」
可愛らしい声に目を向けると、黄緑の透き通った目を揺らし、こちらを覗き込むgsoさんの姿があった。少しどきっとした。咄嗟に言葉を繋ぐ。
lt「大丈夫ですよ!流石の人気ですね…!」
gs「いえそんな…!次からはみんなに退けるよう言いますね!」
いや、それはそれで気まずいからやめてほしいのだが。
変な気遣いをされて周りの目の敵にされては逆に困る。陽キャたちはそういう変な気遣いをよくするから、苦手だ。
遠慮がちにいえいえと返事をしたところで、担任らしき先生の顔が見えた。
『…これでHRは終わりです。』
『明日から新学期、共に頑張ろう!』
始業式、HRとスケジュールをこなし、教室に騒がしさが戻ってくる。数少ない荷物をスクールバックに押し込み、電車の時間を確認する。
gs「初めまして!ltさんですよねっ!」
gs「隣なので、仲良くしたくて…!」
周りに花を咲かせるような愛らしい笑顔で話し掛けてきたgsoさん。正直、眩しすぎて私は苦手だが、この席で1ヶ月過ごすのは確定だろう。隣だから、そう思って笑顔を顔面にくっ付けて答えた。
lt「勿論です!仲良くしてください!」
gs「はい!これからよろしくお願いします!」
gs「よければ連絡先交換しません?」
lt「しましょしましょ!」
どうせ社交辞令だろうと思いながら、交換を済ませる。じゃあまたね、と軽く会釈をして、gsoさんは去っていった。また、と返事をして、私もmmさんの方へ向かう。
mm「結構コミュ力高いよねぇltさんって」
lt「ぇ、そう?別にそんなことないよ」
mm「絶対gsoさんと仲良くなってそのまま一緒に人気者ルートじゃーん」
mm「えーんmmちゃん悲しい」
lt「ないない、私苦手だもん。住む世界が違いすぎて」
本当に何もかもが違いすぎて、違う星から来たんじゃと思うくらいだ。そんな人と私が仲良くできて尚且つ一緒に人気者だなんて、夢のまた夢だ。
lt「早く帰るぞ~」
そういって朝と同じように扉に手を掛け、生暖かい廊下へ出た。