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相思相愛

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相思相愛

2 - 第2話 トラウマ

2024年04月03日

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彼との出会いは、私が高校一年生のとき。

『付き合ってくれない?』

インスタで知り合った彼は三年生の先輩で、ある日突然DMで話しかけられた。

『いきなりごめんね~!投稿可愛くてDMしちゃいました。一年生?』

最初はびっくりしたけど、毎日話していくうちに彼と話すのが楽しくなったし、大好きな先輩で、友達だった。

だけどそんなある日、『付き合ってくれない?』

彼を友達だと思っていた私は、その一言で面食らった。

一時間ほど考えて、

『私でよければ、いいですよ』

友達としか思っていなかったけど、付き合っていくうちに好きになるかもしれないと思って彼の告白を受け入れた。

次の日の朝、学校の帰りで会う約束をして家を出た。

実際会ってみると、波長が合ってなんでも話せたし、帰り道で手を繋いで、別れ際にハグをした。それでも、彼を好きになれなかった。

次の日、三年生フロアの廊下を歩いていると、なぜかザワついていた。それになぜか、私のほうに視線を感じる。

気のせいかなと思いながら視線を無視して歩いていると、「あの子があいつの彼女かー」「まじか、せっかく可愛いのに。可哀想」という会話が聞こえた。

振り向くと、嘲笑うように私を見ながら何かを話してる様子の男女二人がいて、目が合うと焦ったみたいに目を逸らした。私に向けられた言葉だとわかった。

その日の放課後、私は彼に、「今朝、三年の先輩たちにあいつの彼女とか可哀想って言われたんだけど」と言うと彼は、「なにそれ、気のせいじゃないの?」と言うだけで私の相談に乗ってくれなかった。

一緒に歩く途中で彼の横顔を覗くと、怒っているような顔をしていた。もしかしたら、自分の彼女が嫌味言われてるってことに怒ってるのかも?と思って少し嬉しくなった。

それから1ヶ月ほど経ったある日、彼から夏祭りに誘われた。私はその日をすごく楽しみにしていた。だって、彼を好きになるチャンスかもしれない。

夏祭り当日、私は朝早くに起きて支度をした。約束の時間まで全然余裕があるのにメイクまでして、やることが無くなるとそわそわしてしまう。

なんとか暇を潰して過ごしていると午後六時、約束の時間はあと三十分後だ。

カバンの中身を確認しようと思ったその時、通知音が鳴った。

『今日無理』

今日、無理。一瞬理解できなくて、時間が止まったみたいに通知を押すのをやめた。

しばらくして、『どういうこと?』と聞いてみると、三十分ほど経ってから、『夏祭り行けないってこと』と彼からラインが来た。

流石に謝りもせず理由も言わないのは酷い。

楽しみにしてたのに。彼を好きになれるチャンスだと思っていたのに。

頭が真っ白になる中、必死に画面をタップした。

『え、まって、なにそれ』

『普通謝るよね、なんで行けないの?』

『私楽しみにしてたのに』

やっと通知が来たと思うと『なに?うざいんだけど笑』と言われ、私は頭にバットで殴られたような衝撃が入った。

ガチャッとドアを開ける音がして我に返る。

「百花?夏祭りの約束の時間過ぎてんじゃないの?」

振り向くと、お姉ちゃんがドアの前で不思議そうな顔をしていた。

「お姉ちゃん…」

「え泣いてんの?何かあったの?」

姉のその言葉と、顔を覗き込んで動揺しているのを見て少し安心した。

姉は泣き止むまで隣にいてくれた。

「彼氏に、ドタキャンされた」

彼とのライン画面を姉に見せてそう言った。

そのときの私はやけくそになって、彼とのやり取りを姉に見られるのは、別に恥ずかしくなかった。

「うわ、だめ。別れた方がいい」

姉は鬼のように怒った顔をしてそう言った。

綺麗な顔が台無し。そういえばやけに綺麗なメイクと服装をしている。

「お姉ちゃん、今からどこか行くの?」

「ん?あー…」

なぜか気まずそうな顔をしてスマホに目を戻すと姉は、「今から友達とご飯行ってきます」と言って立ち上がった。

「約束まであと五分だよ!忘れてたありがとう」わざとらしく元気な声でそう言うと、すぐにドアの向こうへ去っていった。

「…..私もせっかく準備したし、行こうかな」

彼のせいで一日を無駄にするのは腹が立つ。

カバンの中身を確認して、一人で夏祭りに行くことにした。

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