その夜、大阪はひとり寝室で悩んでいた。東京との関係は確かに深まってはいるものの、どこか物足りなさを感じていた。いつも主導権は東京にあり、自分は受ける側に徹している。だが最近思うのだ。もっと積極的に東京を誘惑したい。
「あいつはオレのことどう思ってるんやろ……」
東京は常にクールで感情を表に出さない。だからこそ大阪は不安だった。自分の身体に満足しているのか、それとも単に義務感で付き合っているのか。
「せや!自分で準備したらどうや?」
大阪は突然思いついた。東京が求めやすいように自分で事前準備をしておけば、きっと彼も喜ぶはずだ。そうと決まれば早速行動開始。まずネットで検索を始める。
「男同士のセックス……事前準備……」
画面には様々な情報が溢れていた。ローションの選び方からアナルプレイのコツまで。最初は顔を赤らめながら読み進めていた大阪だったが、次第に真剣な表情になっていく。
「これでええんか……」
購入ボタンを押す指が震えていた。翌日届いた段ボール箱を開けると中からローションとゴムが出てきた。東京との関係を考えれば必要不可欠な物資だが、実際に手に取ると妙な緊張感が漂う。
「よー考えたらこの姿勢ごっつ恥ずかしいな…」
それでも勇気を振り絞って準備を始めた。右手の人差し指を恐る恐る肛門に近づけると……
「ん……」
思わず声が漏れた。違和感はあったが痛みはない。ゆっくりと第一関節まで入れてみる。
「まだ平気や……」
更に第二関節まで。ここまでは問題ない。しかし第三関節まで行こうとすると……
「ぐっ……」
圧迫感に襲われた。慌てて指を引き抜く。やはり初心者には難しいようだ。大阪は作戦を変更することにした。まずは入り口だけほぐすことに集中する。
「こんなんでええんかな」
時間をかけて入り口部分を柔らかくしていく。正直、この時点では全く快感は感じなかった。
「やっぱエロい気分にならなあかん気いすんなあ」
大阪は何か興奮材料が必要だと考えた。
東京が昨日着ていた白いワイシャツ。それを羽織ってみたのだ。腕を通すと袖から手がほとんど見えない。裾も膝上まで届きそうだ。
「やっぱサイズ違いすぎやな」
大阪は苦笑した。
部屋には自分一人。いつもなら恥ずかしくて絶対にやらないことを今からしようとしている。
「オレは何をやってんねん……」
そう思いながらも手は動いてしまう。見たサイトによれば『胸や腰を愛撫することで感度が上がる』とのこと。大阪は恐る恐る自分の胸に触れてみた。
「んっ……」
東京に触れられている時とは違う、じわりとした快感が広がる。
「ここ……気持ちええかも」
次第に指の動きが大胆になっていく。円を描くように撫でたり軽く摘まんだりすると、
「あっ……♡」
甘い声が出た。大阪は慌てて手で口を覆う。隣の部屋に誰もいないことを確かめると再び指を動かし始めた。乳首を転がすように刺激すると、
「ひぁっ♡」
痺れるような感覚が走る。もっと強い刺激が欲しくなって爪の先で引っ掻くと、
「あうっ♡」
体が跳ね上がり腰が浮く。大阪は戸惑いながらも快感に飲み込まれていった。
「嘘や……自分で触ってるだけやのに……こんな……」
東京のシャツから香る、自分のとは違う柔軟剤の香りが快感を倍増させる。大阪は躊躇いつつもそっと自分の尻に指を伸ばした。
「んっ……」
今までにない場所への違和感に戸惑うが、
「東京やったらこうしてくれる……」
想像力を働かせながらゆっくりと入口を撫でてみる。ヒクヒクと反応する自分の体に戸惑いながらも少しずつ中へと進めていった。
「あっ……♡ここ……ええかも……♡」
ある一点に触れた瞬間、
「ひっ♡あぁっ♡」
雷に打たれたような衝撃が走る。思わず指を止めてしまったがすぐに続きを始める。そこを重点的に刺激すると、
「やっ♡あかん……♡止まらへん……♡」
どんどん体が熱くなり息遣いが荒くなる。同時に胸も愛撫しながら快感を高めていった。そしてついにその時が訪れる。
「あっ♡何か来るっ♡すごいのが……♡」
「あぁぁぁぁっ♡♡」
大阪は全身を痙攣させながら絶頂を迎えた。ベッドの上で丸くなり荒い息をつく。
大阪の体はまだピクピクと震えていた。余韻がなかなか抜けずシーツを強く握りしめる。
「やばいなこれ……癖になりそうや……♡」
大阪は恍惚とした表情で天井を見上げた。汗で張り付いた前髪をかき上げる仕草にもどこか色香が漂っている。
大阪は携帯電話を手に取った。東京がいつ帰ってくるか聞こうと思ったのだ。
ところがメッセージアプリを開こうとして間違って東京に電話をかけてしまった。
「お前から電話とは珍しいな」
スピーカー越しに聞こえる東京の声。
「はっ、すまん…っ、間違えてかけたわ、っ」
大阪は慌てて電話を切ろうとした。だが——
「待てよ」東京の低い声。
「息が荒いぞ。何かあったのか?」
大阪の指が止まる。そうだ、今日こそ自分の変わりように気づいてもらうチャンスだ。
「……なぁ東京」
「なんだ」
「実は……」
大阪の言葉が途切れる。スマホを持つ手が汗ばんでいる。
「どうした?」
「……今、自分の……触っててん」
「どこを?」
「…………胸とケツ」
「…………」
沈黙がしばらく続く。
突然電話が切れた。画面上に通知が表示されている。
『家帰ったら覚悟しとけよ』
ある程度いろいろ想像して大阪は真っ赤になった。
「東京が帰ってきたら……なんて言うたらええんやろ……」
東京が家に帰ってきたのは深夜近くだった。玄関の鍵を開ける音がした。
「ただいま」
東京の声だ。大阪は慌ててベッドに飛び込み毛布を被った。
「おかえり……」
ベッドから起き上がろうとしたが下半身に力が入らず再び横になってしまう。
「大阪?何隠れてんだ?」
東京の声が近づいてくる。大阪は毛布をぎゅっと掴んだ。しばらく沈黙が続いた後、
「大阪……」
東京の優しい声が聞こえた。毛布越しに彼の体温を感じる。
「出てこいよ、お前の顔が見たい」
その言葉に勇気をもらってそっと毛布を持ち上げると東京が目の前に立っていた。彼は驚いたように目を見開いた後、ゆっくりと微笑んだ。
「大阪……それ……俺のシャツ?」
「……せや」
大阪は真っ赤になって俯いた。東京はそっと毛布を取り払うと大阪を抱き寄せる。
「可愛いな。でも何で隠れてたんだ?」
「やって……こんな格好恥ずかしいやんか……」
大阪は東京の胸に顔を埋めながら答えた。東京の大きなシャツは彼の体をすっぽりと覆っている。
「全然恥ずかしくない。むしろ可愛くてたまらないよ」
東京は大阪の髪を撫でながら言った。その手つきはとても優しい。
「俺のお嫁さんみたいだな」
冗談めかして言う東京に大阪は思わず吹き出した。
「何言うてんねん!オレは男やっちゅーねん。」
「わかってるさ。でもいつか本当に嫁にしてやるよ」
だんだん恥ずかしくなってきた。東京という男は此方が恥ずかしくなりそうなセリフでもサラッと言ってしまうのだ。
「はいはい、雑談はええから!!その…はよ…」
「……なんだ?」
分かっているくせに意地悪く追求してくる。東京のこういうところは嫌いだ、と顔を真っ赤にしながら大阪は思う。
「…せっかくケツ準備したんやから…はよ触って…」その一言で東京の最後の抑制が破られた。大阪の首筋に強く吸い付きながら、東京は自分の服も脱ぎ捨てる。
「今日は手加減しないぞ」
「んっ♡ あぁっ♡ 東京……そんな強く吸ったらあかんて……♡」
大阪の健康的な肌に赤い痕が刻まれていく。首筋から鎖骨へと移動する唇が触れる度に大阪の体がビクビクと反応する。その度に甘い嬌声が漏れ出ていた。
「こんなに綺麗になるなんてな」
東京は大阪の胸を優しく撫でる。柔らかくなった胸は、東京の手の中で自在に形を変えていく。
「やっ……♡ あかん……触ったら……あかんて……♡」
大阪の抗議は完全に無視され、東京の指先が先端を転がし始める。固く尖ったそれをコロコロと弄ばれる度に大阪の腰が跳ね上がる。
「ひぁっ♡ そこ……あかん……♡」
「じゃあやめるか?」
東京が意地悪く問いかけると、大阪は一瞬迷ったような表情を見せるが、
「や……やめんで……もっと……してほしい……」
消え入りそうな声での要求に東京の加虐心が満たされていく。彼は満足げに微笑むと、片方の乳首を口に含んだ。
「ひゃあっ!?♡」
突然の刺激に大阪は大きな声を上げてしまう。舌先でチロチロと舐め上げられる感覚に身悶えしながらも、
「あっ♡ あぁっ♡ 東京……それあかん……♡ 気持ち良すぎて……あぁっ♡」
快感を隠すことなく訴える大阪。もう一方の胸も同時に指先で攻められ、左右異なる刺激に翻弄されていた。
「可愛いな、大阪」
「やっ……♡ 東京……♡ もう……むりやって……♡」
大阪は泣きそうな声で訴えながらも、全身が快楽に震えていた。東京の手は止まるどころかますます激しくなり、執拗に大阪の弱い部分を責め立てる。彼の体が変化する過程を楽しんでいるかのようだった。
「あぁっ♡ そこばっかり……やめてや……♡」
「でも気持ちいいんだろう?」
意地悪く囁く東京に反論できない。現に大阪の下腹部はもうすっかり濡れそぼっていて、
「あぁんっ♡」
少し触れられただけで全身が痙攣してしまうほど敏感になっていた。その様子を見た東京はさらに嗜虐的な笑みを浮かべ、
「じゃあもっと気持ちよくしてやろう」
そう言うと同時に大阪の秘所へと指を差し込んだ。
「あっ!?♡ やっ……♡ そこ……あかん……っ♡」
突然の侵入に驚く大阪だったが、抵抗する間もなく東京の指が奥まで到達する。内壁を擦るように動かされると、
「ひゃっ♡ あぁっ♡ やめ……東京……っ♡」
悲鳴のような嬌声が漏れる。その反応に気をよくした東京はさらに深く指を押し進め、
「ここが好きなんだろ?」
一点を重点的に刺激し始めた途端、
「あぁっ!♡ そこっ……♡ ダメやて……っ♡」
大阪は半狂乱になって身を捩るものの逃げることはできず、
「あぁっ♡ イクっ……イってまう……♡」
涙を流しながら絶頂を迎えてしまった。その瞬間、
「あぁあぁぁっ♡♡」
全身を弓なりに反らせながら激しく痙攣する大阪。その姿を見た東京も興奮を抑えきれずにいた。
「可愛いな、大阪……」
耳元で囁かれながら強く抱きしめられると、
「東京……♡ 好きや……♡」
涙目で訴える大阪の姿に、東京の欲望は限界に達する。彼は大阪の体を優しく抱きしめながら、自分の下半身を押しつけた。
「俺も好きだ……大阪……」
互いの体温を感じ合う二人。大阪の腰が自然と動く。東京を求めているかのように、誘うように動いていた。その動きに応えるように東京も少しずつ押し進めていく。
「あっ……♡」
「痛くないか?」
東京が気遣うように尋ねると、大阪は小さく首を振った。
「痛ない……むしろ……もっと……」
大阪は恥ずかしそうに言葉を濁すが、その要求は十分に伝わる。東京は微笑みを浮かべて腰を動かし始めた。
「んっ……♡ あぁっ……♡」
抽挿の度に大阪の口から甘い喘ぎ声が漏れる。その声が東京の脳髄を溶かしていくようだった。大阪は次第に快楽の波に溺れていき、
「東京……東京……♡」
何度も東京の名前を呼びながら腰を振り続ける。その姿は非常に扇情的で、東京の欲情をさらに掻き立てた。
東京の動きは徐々に激しさを増し、部屋には二人の荒い息遣いと甘い喘ぎ声が響いていた。結合部から響く水音も相まって、異様な熱気に包まれている。
「あっ♡ 東京……東京……♡ これ……ヤバいわ……♡」
大阪はシーツを握りしめながら必死に快感に耐えている。しかし彼の体はもう限界を超えていた。
「もう……あかん……♡」
そう言うや否や、
「ひっ♡ あぁっ♡ 東京……それあかんて……イクっ♡ イクぅっ♡」
再び絶頂を迎えてしまった。体を大きく仰け反らせながら痙攣する大阪を見て、東京も堪えきれなくなる。
「俺も……限界だ……」
大阪の中で東京のものがさらに大きくなる。その質量が増したことで大阪の快感は更に強まり、
「やっ……東京……大きくしたらあかん……♡」
「大阪……愛してる……」
その言葉と共に東京は一気にスピードを上げた。パンパンという肉同士がぶつかる音が響く中、
「あっ♡ あっ♡ 東京っ……♡ 好き……♡ 好きや……♡」
「俺も好きだ……大阪……」
二人の想いが交錯する中でついにその時は訪れる。東京はラストスパートをかけ、
「あっ♡ また……くるっ……♡ イク……イクぅっ♡」
大阪が絶頂を迎えると同時に、
「っ……出すぞ……」
「あぁっ♡ 中……出して……♡ 全部……欲しい……♡」
東京も大阪の中で果てた。熱いものが注ぎ込まれる感覚に大阪は恍惚とした表情を浮かべ、
「あぁ……♡ 東京……♡ あったかい……♡」
二人はお互いに強く抱きしめ合いながら深いキスを交わした。
「愛してる……大阪」
「俺も……好きや……東京」
こうして二人の情熱的な夜は幕を閉じた。大阪の体は以前よりもさらに艶やかになりつつあった。しかしそれが幸せへの新たな一歩であることを、彼ら自身が一番理解していた。
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