「今日は田中先生と宅飲みか」
そんな独り言を溢してノートパソコンへと目をやる。幸い仕事はほぼ終えており何とか残業は避けられそうだ。すると通知音と同時にスマホを手に取る田中先生が見えた。
そっちが飲み誘ったんだから仕事くらい先に終わらせようとするのが礼儀でしょ。
これだけ忙しいと気も抜きたくなるだろうとそっと心に仕舞う。そんなことを考えていると、またピコンと聞き馴染みのある音が聞こえてきた。連絡頻度がやけに多い。相手は女性なのだろうか。若くて収入も安定して、その上高身長のイケメンとなれば女の子が食いつくのも否定はできない。それに比べ俺は恋人が出来てもすぐに振られてしまうような奴だ。こんな調子ではいつ田中先生に振られてしまってもおかしくない。もしかすると不機嫌にさせてしまっているのではないかと思考が働く。
男性と付き合うのは向いていないのだろうか。
ネガティブなことばかりがぐるぐる廻っている。考えてばかりでは体にもよくないだろうし、さっさと終わらせよう。
「先生、お時間あります?」
「ああすみません考えごとしちゃってまして、どうしました?」
しまった、田中先生のことばかりを考えて仕事を放棄するとは。こんな調子では気が狂う。なんとか平常心を装わなければ。
コメント
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最高、文才過ぎだよ才能分けてくれそれと祥平ちゃんかわよ