テラーノベル
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私立青葉学園の校門前は、いつものように登校する生徒たちで賑わっていた。
ブレザーの襟元を緩めた一般クラスの男子たちが他愛のないお喋りに興じ、特進クラスの生徒が熱心に単語帳をめくっている。
そんな、いつもと変わらない退屈な朝の日常が、突如として破られた。
低い、けれど重厚で上品なエンジン音が響き渡る。
生徒たちが一斉に振り返った先、学園の狭い正門前に滑り込んできたのは、見たこともないほどに長く、黒く輝く最高級リムジンだった。
「おい、なんだあの車……」
「芸能人? それとも政治家?」
ざわめきが波のように広がり、校門前が静まり返る。
運転席から素早く降りてきたのは、仕立ての良い黒いスーツを完璧に着こなした若い男
――執事の橘蒼太だった。
橘は周囲を鋭い一瞥で威嚇するように見回すと、音もなく後部座席のドアを開け、深く頭を下げた。
「お嬢様、到着いたしました。ここからはご自身の足で歩む、未知の世界でございます」
車内から、一歩、白いローファーが地面に降り立つ。
現れたのは、青葉学園のブレザーを身にまとった一人の少女だった。
「ありがとう、橘。みなさん、随分と熱烈に歓迎してくださるのね」
白鳥詩織が顔を上げた瞬間、周囲の生徒たちは、まるで息をすることを忘れたかのように固まった。
風に揺れる艶やかな髪、透き通るような白い肌。
何より、その場にいる全員を圧倒するような、気高くも美しい佇まい。
一般クラスの制服を着ているはずなのに、彼女の周りだけ、まるで異世界の王宮であるかのような錯覚さえ覚える。
「……おい、嘘だろ。めちゃくちゃ美人……」
「転校生? あの車、何?」
ひそひそ声が響く中、詩織は自分のカバンを肩にかけ、真っ直ぐに校門を見つめた。
過保護な両親からは「校庭まで車を乗り入れなさい」と泣いて止められたが、せめて門からは歩きたいと、詩織が必死に突き通した妥協案がこれだった。
「お嬢様、お忘れ物なきよう。……では、いってらっしゃいませ」
橘が静かに見送る中、詩織は一歩、また一歩と敷地内へ足を踏み入れる。
背後からは、まだ事情が掴めない生徒たちの騒ぎ声が聞こえてくる。
けれど、詩織の胸にあるのは恐怖ではなく、純粋な好奇心だった。
(これが、外の世界……。私、本当に普通の学校に来てしまったのね)
いつも通りの授業が始まる前の、慌ただしい朝。
白鳥詩織の、あまりにも型破りな「編入初日」が、今幕を開けた。
コメント
6件
ついに学校に到着…!✨️ お嬢様感隠しきれてない笑
いや、第3話読んだんですけど、もう冒頭から「リムジンで登場!?」ってマジで声出たんですけど!?😳💦 しかも執事の橘さんが「未知の世界でございます」って…もうそのセリフだけで尊すぎません!?✨ 白鳥詩織お嬢様、気高くて美しいのに「一般クラス」なギャップがたまらん…!「外の世界」への好奇心を抑えきれない感じ、もうこれから何が始まるのか予感しかない…😭💕 続き早く見たい!
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