うぅん、どんなして消そうかな…
中々こう言う時悩むな…
この元素力が使えなくなる縄を買ったは良いものの、そこからどうしようかと悩んでいた。
あれには心底腹がたった、痛い思いをして欲しい。
とりあえず両手、両足を調理包丁で切って、気が済むまで殴って…
まぁそのとき考えるか、と思いながら徹夜で疲れたのか倒れ込むように寝た。
ばっと起き、今何時だ、と寝ぼけながらも時計を見た。
まだ9時前で安心した。
なぜなら、公子様があれの近くにいないのは午前中くらいであるからだ。
けれど、だらだらしていればあれはまた何処かへほっつき歩くからだ。
きちんと汚れても良い服に着替え、縄を持ち外に出た。
こんなに公子様の事を考えていても璃月の朝は相変わらずだった。
港が見下ろせる階段辺りまで来たとき、あれがいた。
見るだけで反吐が出そうだが、公子様のため。と思いながら鍾離に近づいた。
ファデュイに気づかれずに後を付ける事ができたのだから、と思いながらあと一歩まで近づいた。
なにか目に止まったのか、あっさり捕まえら事ができた。
「動かないで、じゃないとわかるよね?」
縄をこれの両手に回して抵抗出来ないようにし、ちゃんとしたナイフを突きつけた。
「お前は…以前の店員か」
なんていつもと変わらない表情で淡々と喋っていて、このまま刺してやろうかと思った。
けれど、まだまだお楽しみがあるのでそのまま家に連れ帰った。
椅子にこれと縄をくくりつける。
中々力がいる作業だったが、公子様の為ならと力を振り絞ったら案外簡単だった。
「なにがしたいんだ?」
そんな事を縛っているときにぺちゃくちゃ質問してきて気味が悪かった為口を一発殴り、縄を口にも縛った。
あぁ、これが私も、公子様も望んでいた光景…!
なんて嬉しいのだろう。
初めて雪で遊んだときより、中々譲らない商人を譲らせたことより途轍もなく、嬉しかった。
自分の倍あるだろう身長のこれをこんなに軽々監禁できるなんて、夢に見ていた事だ。
さっさとこうしていればよかったとほんの少し後悔した、があの失敗があってこその今だと思う。
ならば今の方がいいだろう。
邪魔者も黙ったし、私はちゃんと正式に公子様とお付き合いができる…!
笑いを堪えようと口を覆いながらこれからのことを考えていた。
付き合って、買い物して、旅行に行ったり、2人の故郷に行ったり…あわよくば実家にご挨拶…なんちゃって…ふふっ
あぁ、まだこれの存在は消えていなかったか。
そう思いながら事前にわざと脆くした調理包丁をキッチンから持ってきた。
手と足どちらから切ろうかと悩んでこれの周りをぐるぐる回っているとき、なにかが手辺りで光った気がした。
じっくり見てみると、左手の薬指に、指輪を嵌めていた。
「は…?なんっで…公子様は…!」
「なん、で…あ、ぁ…」
私じゃなくて、これを愛してる…?
なんで…?
私の方がいいじゃない…どうして…
嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ…!
「あぁ、ぁああぁぁあぁ‼︎」
…それからの事はよく覚えてない、ただ起きたら切り傷ばかりのこれがいた。
私が起きたら目を見開いて、包丁持ってちかづいたら目つぶってた、多分暴れたんだろな。
下にもなんか、血の痕ついてるし
掃除、たいへんそう
後ろみたらこれの指だけ切り落とされてた
…なんでそんな暴れたんだっけ…
…!ゆび、わ…?
嗚呼やっと私、公子様と、いやタルタリヤと結ばれたんだ!
嬉しいな、嬉しいな…嬉しいはずなのにな…
なんでこんなに腹たってんの…?
「ねぇ、目開けてよ」
「っ…」
血、目に入ってんのかな、片方だけ変な色。
「私、タルタリヤさんと結ばれたんだ、どう?悔しい?」
…なんかずっと怯えてるし、話にならないな。
「でも腹たつんだよね、だからもっかいね」
手を振り上げた瞬間泣き始めた、気持ち悪い。
そんなこと気にする事もなく、そのまま肩辺りに向かって振り下ろした。
そこから、首、足、すね、頭を殴ったり蹴ったり、包丁でかすめたりした。
これが泣いてたのは始めだけで段々絶望しているようにぼーっとしていた。
それに気づいたのは…大体一時間ちょっと後にしか気づかなかった。
そのとき、腹がたっていたのが治った。
なんなら良いことでもあったくらいの気分になった。
逆に生かして、すっと痛め続ければと思い、殺すのはまた今度にしようと部屋を出てった。
血塗れだったので風呂にはいって、お気に入りの服を着けてから、旦那の所へ向かった。
私に会ったら途轍もなく嬉しい顔になるだろう。
あの時よりもふわっと笑ってくれて、もしかしたら嬉し泣きをするかもしれない。
そんなことを考えながら、万民堂へ向かった。
すると旦那の姿が見えてきた。
まだ此方に気づいていないようなので、後ろから驚かせてやろうとそっと近づいた。
すると、
「…ねぇ、もう気づいてるよ」
驚いた、前よりか強くなった証拠かもしれないと、旦那の成長に喜んでいると
「…!それ、なんでお嬢さんが…」
「なんでって…私達結婚したじゃない?それにお嬢さんって、他人扱いしない」
がっと左手を掴まれた。
さっきの仕返しだろうかときょとんとしていると
「先生を返してよ、ねぇ何処やったの」
急に睨まれて驚いたが、あぁ、これも冗談かと思いつつ
「私の家にあれはいるよ、行こうか?」
旦那もあれの醜い姿を見たらきっと笑ってくれるだろう。
家に着いて、玄関を開けたとき
「…っ」
あれの泣き声がした。
本当、いつになったら壊れるのか、と呆れて瞬きをしたら旦那がもうあれの部屋に入っていた。
「鍾離、先生…?」
「そんなに見たかったの?ちょっと意外だなあ、どう?面白いでしょ?」
少しニヤニヤしながら話してみると、後ろから
「動かないでね、公子様の御命令だから。」
視線を後ろに移すと、ファデュイが大勢いた。
「もう、ドッキリ仕込みすぎ!そんな、部下まで集めないでよ〜」
と言って旦那の肩をとんとんと叩くと
「まだ自惚れてんの、それ先生のだから返してよ。」
左手を痛いくらいの力で掴まれ、指輪を取られた。
「ちょ、ちょっと、冗談きついって、返してよそれ…」
手を伸ばして奪い返そうとしたら、あの時と全く違って冷たい深海のような目で睨まれた。
なん、で…?どうして…?
どうして、あれに見せる顔はあのときに似てるのに、今はなんで、そんな…
全力で暴れたが、逆効果だったのかすぐに外に出されそうになった。
「なんでよ!どうして!私のなのに‼︎お前なんかに私の旦那が合うはずない‼︎」
どれだけ叫んでも、どれだけ嘆いても旦那が此方を見る事はなく、ただあれを心配そうに見つめていた。
私が最後、扉が閉まるまで此方を見ることはなく、旦那とあれが目に涙を溜めながら抱き合っていた。
…あれ、私とそんなことしてないじゃん…
コメント
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伸びろビーム…なんちゃってぇぇ…