「海生…」
いつからここにいたんだろう。
夏祭りの喧騒を離れた境内の裏手。俺と咲良の会話も、はっきり聞こえたに違いない。
「桜汰。私、とりあえず久保ちゃんと合流するね」
「あ…うん。みんなには先に帰るって連絡しておく」
黙ったままの海生の横を早足ですり抜けて、咲良はオレンジ色の参道に戻っていった。
「帰るの?」
「あー…うん」
「じゃあ俺も帰る」
海生が拍子抜けするほどあっさりと言うから、俺も何事もなかったかのように一緒に駅への道を歩いた。
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神社での出来事には一度も触れないまま、混雑した電車に乗り込み、並んで手すりにつかまった。考えてみれば、海生は友達の告白シーンに遭遇したって根ほり葉ほり聞いてくるようなタイプじゃない。そもそ*********************
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