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ビルの上を飛び越え、夜に染まった練馬の町を海達は移動していく。

下を見れば人々が歩き、車が走っている。


「これ、下あるいてもいいよね?」


桃華が前鬼の背中の上で無陀野に言葉を投げ掛けた。

無陀野は「見つかると面倒だから」という風に桃華を言いくるめ、海の方を見た。

「海」と名前を呼ぶと、海は少し後ろを見た後に言った。


「後ろに桃がいる。無人兄さん、迎撃するか?」


海の言葉に無陀野は少し横に首を振り、身を翻した。


「俺一人で迎え撃つ」


無陀野は心配そうに瞳を揺らす桃華の頭を撫で、海達の前から姿を消した。



無陀野と別れてしばらく走ると、守と皇后崎の行った病院に着いた。

だが、夜の病院特有のひっそりとした寂しい薄暗さなど無く、辺りが明るく、人だかりができている。


「もえてる」


桃華が呆然と呟いた。

四季と皇后崎が人の合間を縫って走りだし、そこに海と桃華も続く。

病院の中はもうすでに炎がそこら中で燃えており、四季だけが平然と歩けている。

桃華が四季を見上げて尋ねた。


「ねぇ、あつくないの?」


四季は桃華の問いに少し間を置いてから答えた。


「熱くは…ねぇ。たぶん、鬼神の力?」


どうやら炎の鬼神である炎鬼の力を持つ四季は熱に強いらしく、他三人が熱に顔を歪める中でも平気な顔で歩けるらしかった。

海が顎に手を添え、考えてから口を開いた。


「一ノ瀬が患者を助け出すのが最善か…」


一人に負担をかけさせるわけにはいかないので海もやるが、どうしても四季に負担が多くなってしまう。

それでも、海がやるのとやらないのでは大違いである。

海は続けた。


「皇后崎、桃華。お前達二人でナビを頼む」


桃華は狼達と視界を始め、感覚、思考の共有が可能である。つまり、桃華が聞いた情報を前鬼と後鬼に共有させることが可能なのである。

そして、皇后崎が薫の血液で患者の位置情報を把握、桃華に伝え、桃華が情報共有し、ナビをする。

桃華が位置情報を把握すれば手間が無いのでは?と思われてしまうのだろうが、まだ幼い桃華はすぐにダウンしてしまうのでかえって手間になってしまうのだ。

役割分担が決まった所で実行である。


「きをつけてね、ふたりとも」

「そっちもな」


四季が前鬼と、海が後鬼とそれぞれ歩きだした。

桃華は視界を共有し、皇后崎が視たものを伝えられたままに前鬼と後鬼に指示としてとばす。

右目で前鬼、左目で後鬼の視界を覗き、それぞれが患者を見つけた事を確認して皇后崎に伝える。

伝えると、少し皇后崎が気持ち悪そうにしながらも桃華の頭を撫でた。

それが嬉しくて、桃華は張り切って仕事をこなす。

何人も、何人も外に送り届けたが、皇后崎の探す女の子はまだ最後の一人として病室で眠っていた。

皇后崎ががくりとバランスを崩し、膝をついた。


「じんくん!」

「…もう、少しだ」

「むりはだめだよ?」


情報の奔流は、その力の代償に大きな吐き気を催させる。皇后崎も四季達ほどではないが吐き気と戦っているようだった。

皇后崎の背中をさすり、桃華は女の子が部屋から出たことを確認した。

少し経ち、海や四季の声が聞こえてくる。

皇后崎が立ち上がると、桃華は海達の方へと走り出した。


どこからか、何かが崩れる音がした。


がらがらと天井が崩れ、桃華を襲う。

四季達は咄嗟に桃華を守ろうと駆け寄ろうとしたが、桃華自身に「うごかないで!」と止められる。

桃華は何かを床に叩きつけ、破裂させたかと思うと天井の崩落を止めた。


「これは、アイツの…」


天井を覆うのは縦長の六角形に固まった血液。

皇后崎は、それに京都で見た守の血触解放の姿を思い出した。


「姉さんが渡したのってこれか…」


海もほっとしたのか脱力している。

その中で、桃華は言った。


「そこまでながくもたない。いまのうちにそと!」


こうして、桃華達は病院を後にした。

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