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ibsm(未満。ただsmが落ち込んでるだけ。)
※ド遅れの🐙の日
自 ×未遂してます smがネガティブ思考
めちゃくちゃ弱ってるので閲覧注意
嘔吐やストレスによる体調不良等描写あり。
気分を害された方はその時点でブラウザバック推奨です。十分にお気をつけて閲覧ください。
8月8日。公休日。
蝉の声が、煩いくらいに鳴いていた。
外の気温は30度超だった。
昨日の晩から付けっぱなしの冷房で、身体は冷え切っていた。
なのに、内側は焼けるように熱い。
「あ゛、っう、ぁ………っ」
午前11時、暗い部屋でカーテンも締め切った部屋のベッドで、蹲っている男がひとり。
「…ぉえっ……ゔぇ、っ……」
吐き気が催し、びちゃびちゃと布団の中に胃の内容物を吐き出してしまった。朝から何も口にしていないから胃液だけ。シーツに嫌な色の染みが滲んで、今すぐにでも洗ってやりたいが生憎身体が動きそうにない。
ただ頭をぐりぐりと枕に押し付けるようにして嗚咽を繰り返す。
(なんで毎年、この日はこうなってしまうんだろうか)
心の中でそう問いても、誰も答えてくれない。
目の前が真っ暗になる。
耳鳴りがひどい。
酸素が足りない。
深く息を吸いたくても、それができない。
全身が冷えていくような感覚と頭の中を灼くような後悔が交錯して、もはやどちらが現実でどちらが幻覚かすらわからない。
こんなに辛いのに、涙のひとつも出ない。
涙腺はとっくに乾ききっているのか、はたまた己の心が枯れきっているのか。
自分を責める言葉の中に、ある考えが過ぎる。
─────(俺が代わりに、俺が……)
俺が飛び降りても彼奴は生き返らない。ましてや代わりなんて言葉もあってない。
でも一度そう思ったら止めることなどもう出来ない。今まで鉛のように重かった身体がふらりと簡単に持ち上がってしまった。
ベランダへの足取りは重く、けれど確かで。
我に返る瞬間も無いくらいに頭は鈍っていた。
ガララと音を立てた後、生暖かい風が頬を掠めた。
(俺はここにいちゃダメだ)
そういう強い思いのような呪いが、俺の足を進めさせた。
あれほど苦しくて、あれほど重くて、あれほど鮮烈だったはずの感情が、いまは遠くの音のようにぼんやりしていた。心臓は確かに動いているのに、「生きている」とはまるで思えなかった。
ベランダの柵に手をかける。鉄が陽に焼かれて、掌が火傷しそうなくらいに熱い。
心臓の鼓動が早まる。鼓動だけが現実感を与える。生きている、まだ。──俺はもう、もどれない。ここまできたんだ、もう、らくにさせてくれ………
いつの間にか、目的が香坂の代わり云々などではなく自分自身を楽にさせるためだけの行為に変わっていた。
今まで正解を選んできたはずなのに、こんな終わり方をするなんて思ってもいなかった。
「は………っ」
脚に力が入る。腕に力が入る。柵に体重が乗る。身体が地面からふわりと浮いた。
自然と視界を下に向ける。コンクリート。人。まるで自分がこの世に存在していないかの如く見向きもされない。
その方が良かった。
誰の目にも止まらずに、これ以上誰かの重荷になる事も無く、終われるなら楽だよなぁ。
なんて。
がた、
ずる、
ごつ、
どんっ。
白い。
最初にそう思った。
その次に思ったのは、
さわがしい。
「しまぁっ!!しま!!!っはぁ!!しぁっ!!!」
『病院内ではお静かにお願いします……!!ああっ、走るのもご遠慮頂けると___!!』
看護師の制止しようと必死な声と、同じく必死そうな男の声。
あれ。俺はなんでここに………………………
そうか、飛び降りたのか。
そこでなんとなく状況が理解出来た。俺は未遂に終わった。ただ、それだけ。
扉からバンッと鼓膜に突き刺さるくらいの音を立てながら入ってきた人物は、説明するまでもない。
「しま……!よかった、生きてる、生きてる……っ、よかった………」
そう言い、額に汗をかきながら顔を真っ青にした伊吹がベッドサイドに駆け寄ってくる。
……”よかった”。
世間にとって、周囲にとってはそうなのだろう。
でも、本人にとってはそうとは限らない。
自分自身がいい例だった。
なんとなく伊吹に目を向けられなくて、自身の包帯まみれの体に視線を逸らす。
割と高いところから飛び降りたというのにあまり致命的な怪我は見られないようだった。
だが肋骨がズキズキと痛み、擦りむけているのか背中全体もヒリヒリと痛む。
「っねぇ、志摩……何があったの。
聞かせて、俺に。」
「………」
まぶしいなあ。お前は。
こんな奴も、照らしてくれるんだから。
〇 読まなくていいところ
こんな終わり方を書き始めは自分でも思っていませんでした。
8月中にあげたすぎてこんな中途半端な終わりになっちゃったごめんなさい🙏🙏🙏🙏🙏🙏