この作品はいかがでしたか?
102
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ヒーローみたいだった…あの人は…
颯爽と駆け付けて魔法獣を退治して…本業の人達はすごいな…
…と、いけない…フクロウの手当てをしなきゃ…
幸いにもお店は無事で、薬品も傷一つ無かった
動物用の魔法瓶を探してみたが…
そもそもフクロウに使えるような瓶は無いし、人間用の瓶しか無い
…が、ある魔法瓶を見つけた…なんだったっけこれ…
夜「…飲む?」
通じるわけないと思いつつ、フクロウに話しかけてみる
ホー……ホー…!?!?
正気か?とでも言うようにフクロウは羽をバタバタし、暴れた
動く度にフクロウの羽は散っている
夜「だっ大丈夫だよ!!死なないから!……多分」
ボソッと保険をかけたのが聞こえなかったのか、フクロウはぺろっと舐めた
…と、同時にフクロウがいた位置に男の子がぼんっ!と現れた
…ちなみに傷は無いから、きっと見ず知らずの人だろう…うん
いや、見ず知らずの人でもそれはそれでアレだけど…
???「…あれ?喋れる…わあ!?喋れる!!」
夜「…??お客様…?フクロウ…?…え??」
私が軽くパニック状態なのにも関わらず、男の子は目を輝かせた
茶髪のふわふわしたカール毛が小刻みに揺れている
???「庇ってくれてありがとう!助かったよ!…え~と…」
夜「夜…夜です…あなたは…?」
???「ん~?僕?…実は僕名前無いんだぁ…夜おねぇさんがつけてくれない?」
名前が無いなんてあるんだろうか…でも深堀りするのは良くないだろうし…
夜「フクロウのロウを消して「フク」…とかどうでしょう?」
私がそう言うと、彼は「フク」と静かに繰り返した
フク「いい名前!気に入ったよ!ありがとう!」
フク「…あと別にタメ口で大丈夫だからね?僕にとっては命の恩人なんだし」
…確かに彼にとっては「命の恩人」かもしれない
夜「…分かった…よろしくね。フク」
フク「うん!よろしくね!…あと…」
そう言って、フクはキョロキョロと周りを見渡した
夜「どうしたの?」
フク「さっき桜の男の子がいたでしょ?その人にもお礼言いたくて…」
桜の男の子…多分「奇跡・魔法能力部隊」の人だ
私も助けてもらったお礼を言わなきゃ…
でも、彼がどこに言ったか分からない
それを彼に伝えると…
フク「こういう時こそ文明の利器!!」
そう言って、机に置いてあるノートパソコンを私に手渡した
数分調べて気付いたことは…
奇跡・魔法能力部隊はここの近くにあること
そして…関係者以外立ち入り禁止だということ
私の後ろから画面を覗き見ているフクはというと…
フク「バレなければ犯罪じゃないよ。大丈夫」
いや、バレるでしょ…
そう思いつつ止めはしなかった
奇跡・魔法能力部隊に着いて、最初に思ったことは…
天井が凄く高い!美人しかいない!建物が綺麗!!
…と、ダメだ…圧倒されてる場合じゃない…あの人を探さないと
隊員の横を通り過ぎる度に、一般人だとバレないかヒヤヒヤしてしまった
一方、フクは緊張感が無いのかただゲームだと思っているのか…にこにこしたままだった
見習いたいものだ…
フク「…あ!」
フクは突然声を上げた
夜「どうしたの?」
私が聞くと、彼は1人の少年を指さした
…間違いない。あの少年だ
???「ね~おっさん~水霊起こしてよ~」
少年は短い金髪の男性の元に駆け寄り、言った
水霊というのは…横長のソファで寝息をたてている水色髪の男性のことだろう
???2「水霊だって疲れてるんだろ!寝かせてやれ~!」
???「いや絶対疲れてない。確実に、絶対、疲れてない」
金髪の男性が笑いながら言うと、少年は即答した
???「そんなだから『おっさん』って呼ばれるんだよ。おっさん」
???2「いや、俺まだ23歳だし関係ねぇだろ…!?」
少年は声を上げて笑い、金髪の男性はジーッと睨んでいた
…そこへオレンジ髪の女性が混ざってきた
???3「どうしました?咲さん、ジャスさん」
資料の束を抱えながら2人に聞く
少年は忘れかけていた本来の話題について話すと…
???3「安心してください!もし水霊さんが起きなかったら私がやります!」
任せてください!と付け足し微笑んだ
少年はダメだこりゃ…と言わんばかりに溜め息をついた
…とほぼ同時に…少年が私達に気付いた
???「…!?…さっきの人…」
???2「さっき?…あ~そういえばさっき緊急要請受けてたな」
金髪の男性が1人で納得していると…
???3「かっ…かわいいです~!!」
オレンジ髪の女性が目を輝かせた…あれ、なんかこっち来てる…
???3「同年代くらいの女の子なんて久しぶりに見ましたよ!!」
オレンジ髪の女性はにこにこしながら私達を見ている
フクの顔には『?』…私の顔にも浮かんでいるだろう
???「あ~気にしないで織姫…この人はそういう人だから」
少年もゆっくりとこちらに近寄る
オレンジ髪の女性はそういう人って何ですか!と頬を膨らませている
…が、少年は完全スルーし、私達に話しかける
???「なんでここ来たの?関係者以外立ち入り禁止なんだけど…ここ」
私は少年にお礼を伝えに来たことを説明した
少年はそんな人初めて見たと言い、目を見開いた
???「…それは嬉しいけど…怒られるから早く帰っ…」
そう言いかけた時、1人の男性の声が広いエントランスに響いた
???4「…皆さん、お静かに…今日の仕事内容をお伝えします」
続く
コメント
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あー、これ絶対バレるやつや、
天井…w なつすぎる…。