テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
Mrs.Vampireから
深夜二時、鼻歌を歌いご機嫌にスキップをするピエロの男が人気の少ない町を通る。
綺麗な満月の夜、向こうに微かにしゃがんでいる人が見えた。
人?ではない、人の形をした、何かを。
頭に着いている2つの三角はピクリと動き、お尻に着いた長い毛がフワッと動く。
こちらの視線を感じたのだろう、瞬時にこちらを振り向く。
狼。 狼男。
毛並みの整っていない、服もボロボロの狼男が目の前に立ち尽くす。
💜 ほお…?
💚 ………
警戒はしていない、しっぽがピンと立っている。
私はなにかしただろうか?彼に、と疑問が浮かぶが、考えている間に距離が近付いてきた。
手の匂いを嗅がれる。挨拶か?
しばらく嗅がせると、耳が垂れ下がる。
💜 どうした…?
💚 ………っ
口をもごもごと動かしている、喋られるのか…?
💚 …っ、ち、の、…におい
💜 …!
バレたか、流石に。
さっきまで血で染めていた手袋に気づいてしまったか。
💚 っ、なに、した…?
💜 ………何も。
💚 ………
自分の手をしばらく見つめ、罪が重く乗っかかる感覚に陥った瞬間、
狼男はその手に顔を擦り寄せる。
乾いた血が頬に付こうとも。
💜 怖くないのか
💚 …っ、ち、とも。
手に血以外の温もりを感じたのは初めてで、
この狼男を守りたいという気持ちが、心の底から芽生えた。
💜 あんた、俺のペットになる気は無い?
💚 ……、ぺ、っと……?
💜 あぁ、ペットだ。
💚 …い、い…も、の?
💜 もちろん
しばらく考え、顔が少し明るくなったと思えば、しっぽを振っていた。
💚 っ、な、まえ
💜 健だ。
💚 けん、おれ、まさや
💜 まさや な、よろしく
血に染った手袋を捨て、まさやの頭を撫でようとした。
それに答えるかのように、耳が垂れた。撫でやすいように。
💜 ふふっ、面白い奴
自分の手が、こんなにも温かいものに触れていることが、なんだか不思議だった。
💜 あんた、あったかいな。
💚 …
目を細めている。
眠いのかもしれない。
それとも、ただ困っているだけなのかもしれない。
ピエロの男にはわからなかった。
わからなかったけれど。
もう一度、頭を撫でた。
今度は、さっきよりもゆっくりと。