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【お知らせ 】
これからこの小説の投稿頻度が遅くなります。
理由は書き溜めがなくなったこと、この作品の閲覧数が低いからです。
すおさくの方はまだ書き溜めが残っているので続ける予定です。
それでは、いってらっしゃ~い(^_^)/
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放課後のざわめきが校内に満ちる頃、夕日が窓から差し込み教室を橙に染めていた。
見回りの日ではないため少し早い下校時間に、教室に妙な声が広がる。
ク:「なあ、あの車と人。…誰なんだ?」
ク:「見かけねえ奴だな。やけに時計見てるし、誰か待ってんのか?」
桜は何気なく窓の外に視線をやる。
高級感のある黒塗りの、少し使い古された車。
そこには、ボンネットに腰をかけ、片手に手帳を持ち、腕時計を見ながら眉間に皺を寄せる男がいた。
桜:「…国木田。」
その姿を確認した瞬間、桜の動きが止まる。
国木田がああして時計を見ているということは。緊急だ。
桜は窓際へ歩み寄り、低く息を吐いた。
桜:「…異能力・人間(ヒトマ)の絆。」
その瞬間、桜の背後にふっと影が揺らぎ、黒い和服の異形・縫櫻が現れる。
桜はためらわず窓の鍵を開けて跨ぎ、そのまま宙へ身を投げた。
蘇:「桜君!?」
楡:「え、ちょっ!?桜さん!!」
その声に桜は耳を傾けず、代わりに小さく呟いた。
桜:「縫櫻、着地の補助をしろ。」
空気を裂くように、縫櫻がすかさずその体を抱きとめる。
脚をすぼめてゆっくりと地面へと降り立つ。
桜が舞い落ちるように、ふわり、と着地。
桜は無駄なく足を地に着け、縫櫻は静かに背後へと消えた。
そして目の前には、腕を組んだ国木田が立っている。
国:「おい桜、緊急時でも階段を使え。仮にもここは学校だし、生徒が驚くだろ?」
桜:「…わりい。」
国木田は小さくため息をつき、すぐに言葉を切り替えた。
国:「時間がない、乗れ。全員参加の緊急会議だ。詳細は社で話す。」
桜は短く頷き、後部座席に滑り込む。
国木田もすぐに運転席に座った。
エンジン音が立ち上がり、車は静かに門を離れていく。
窓の外に映る校舎が夕日に溶けて遠ざかる中、桜はループタイをそっと握りしめた。
その右肩に、縫櫻の皺が浮かぶ。
嵐の前の静けさのような空気が、車内に満ちていた。
・・・・・
車から降り、二者とも何も言わずに歩く。
だが目指す場所は同じ、武装探偵社の会議室だ。
国木田が重厚な扉をゆっくりと押し開けた。
必要十分な部屋の壁の一面には、大きなスクリーン。もう一面にはホワイトボードが置かれ、長机の周りを十数人分の椅子が囲んでいた。
その椅子には、一人を除き、社員が全員座っていた。
国:「おい敦、太宰はどうした?」
国木田が白髪の少年、敦に声をかける。敦はビクッとして、恐る恐る答えた。
敦:「新しい自殺方法を試したいからパス、とのことです…。」
国:「あの自殺嗜癖(マニア)が…!」
国木田の手が怒りでプルプルと震える。
誰もが太宰の不在をまたかと受け止めている中、一人だけ口を静かに開いた。
社:「…来ぬ者を待っても仕方あるまい。始めよう。」
低く穏やかな声の主、社長福沢諭吉が会議室全体に緊張を走らせた。
桜は無言のまま席に腰を下ろし、国木田が前に出る。手にした資料の端を整えながら、小さくため息をついた。
国:「…では、緊急会議を始めます。」
国木田が会議室の照明を落とす。すると、スクリーンに時刻とある街が表示された、倍速モードの防犯カメラの映像が流れた。
しばらくすると、街並みにうすい靄のようなものがかかった。
桜:(…霧、か。)
霧はゆっくり濃度を増し街を飲み込んでいく。
そこで国木田が映像を止めた。
国:「これは三年前の深夜の台湾、迪化街(ディーホアジエ)の映像です。見ての通り、霧が数分という短時間で発生、消失しています。ですが、これはただの異常気象ではありません。」
映像が新たなものに変わった。
そこには、路面に這いつくばり、真っ黒に炭化した、
“元”人間の姿が映っていた。
ざわ…と微かに椅子が揺れる音がする。
その後も、一年前のシンガポール、半年前のデトロイトと、そこで見つかった変死体の写真がスクリーンに映された。
敦:「ひどい。」
敦が眉をひそめ、誰もが凄惨な現場に口を紡ぐ中。
ポリポリと駄菓子を食べる音が響いた。乱歩だ。
乱:「この人たち、異能力者だね。」
国木田がしっかりと頷いた。
国:「確認されているだけでも同様の案件が128件。死者は500人以上と言えるでしょう。異能特務課では、『異能者連続殺人事件』と呼んでいます。…自殺と言えば。まったく、大宰の阿呆は!」
国木田が苛立っているそばで、急に乱歩が呟いた。
乱:「…そうか。」
そして何を思ったか、大事に抱えていた駄菓子を近くにあった金庫に詰め始めた。
賢:「何をしてるんですか?」
首を傾げる賢治に、乱歩は秘密と言いニコニコしていた。
谷:「この霧に触れると異能者は全員自殺するってことですか?」
谷崎が不安な表情をした瞬間、ナオミが谷崎に強く、強く抱き着いた。
ナ:「もう、兄様!ナオミを置いて自殺なんて、許しませんからね!」
谷:「ナ、ナオミ?ちょっ、苦し…!」
死んじゃう死んじゃう!と叫ぶ谷崎をの声を聞き流しながら、資料を見つめていた与謝野が冷静な声をあげた。
与:「どうせ『妾らも異能力者だから気を付けよう』とかじゃなくて、異能特務課からの捜査依頼なんだろ?」
国木田が神妙な顔になる。
国:「ええ、この事件に関与していると思われる男が、ヨコハマに侵入しているとの情報があったそうで、捜査および捕獲を依頼してきました。」
国木田がリモコンのボタンを押し、スクリーンの映像が変わった。
国:「澁澤龍彦二十九歳。何らかの異能力者であり、蒐集者(コレクター)という通称しか分かっておりません。」
賢:「蒐集者(コレクター)…。」
賢治が国木田の言葉を繰り返す。
そのすぐに、桜が隣の敦に向かって呟いた。
桜:「敦、どうかしたか?」
敦がハッとした表情をし、すぐにかすかな笑みを浮かべた。
敦:「なんでもないです、ぼーっとしてました。」
桜は敦を少し見つめた後、小さく口を開いた。
桜:「…そうか、ならいい。」
ぱちりと音がして、部屋が明るくなった。そして、社長が告げる。
社:「この事件は、大きな禍を社会に及ぼす予兆を感じる。よって、探偵社はこれより、総力をあげて、この男の捜査を開始する。」
社長が、鋭い眼差しで宣言した。
社員がはい!と返事をする中、桜だけが沈黙を貫き通していた。
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今回はここまで。
文ストファンにはお気づきの方もいるのではないか。
なんとここから、[文豪ストレイドッグス DEADAPPLE]に入ります!
普通にネタバレ注意☆←おい、早く言えや。
次の投稿まで期間が空くので、長めにしました。(感覚)
正直モチベも理由かな。
なので、♡、フォロー、コメントしてくれるとマジで嬉しいです!
では、またいつか。すおさくの方もよろしくね(^_-)-☆